FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米CPI発表を控えて警戒感から上値の重い展開

前日の米国株高の流れを受けて前日比278円高で寄り付いたが、買いが一巡すると上げ幅を縮小し、その後は伸び悩む展開となった。米消費者物価指数(CPI)は伸び鈍化のペースが緩むと予想されており、利下げ観測が後退することで、株安要因となるのではないかと警戒され、買い手控える動きにつながった。結局、前営業日比175円高の2万7602円で反転して終了した。

 

東京外国為替市場:売り買い材料交錯で132円を挟んでもみ合い

ドル/円は、米長期金利低下を眺めたドル売りが先行し、132.10円台へ下落した。しかし、仲値にかけて本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み、132.30円付近へ値を戻した。仲値発表後は、今晩発表される1月米消費者物価指数(CPI)を控えた持ち高調整のドル売り・円買いが優勢となり、132円を割り込んで131.90円付近へ下落した。政府が日銀正副総裁人事案を国会に提示すると、材料出尽くし感が広がる中で海外短期筋のドル売り・円買いも観測された。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、132.15円付近へ値を切り返した。午後は、1月CPIのイベントリスクを警戒したドル売り・円買いが持ち込まれ、一時131.78円付近までじり安となった。ただ、下値では日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いも見られ、値を切り返して131.90円前後で取引された。ユーロ/ドルは1.0735ドル前後で膠着した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

年末の英金利見通しに変化あるか:英賃金動向に注目

1月英雇用統計では、前回7カ月ぶりに4%台まで悪化した失業率がポイントの1つである。より注目したいのが3カ月間の週平均賃金(賞与を除く)。前回は前年比6.4%上昇と約1年半ぶりの高水準を記録した。英中銀は春以降からインフレ鈍化顕著になると予測しているものの、賃金の上昇圧力が高まったままであれば、中銀見通しの上振れが意識されるかもしれない。現在のところ短期金融市場が英金融政策の先行きをどのように見ているかを確認すると、夏までに2回の0.25%利上げ(合計で0.5%引き上げ)が織り込み済み、秋にかけて据え置き、年末に小幅な利下げ予想が増えつつある。賃金動向で年末の見通しが変わるかに留意した。

 

トルコは対ドルで終値としては過去最安値を更新

昨日発表された12月トルコ経常収支は59.1億ドルの赤字と予想より赤字幅を広げた。リラは対ドルで軟調に推移し、引け水準も18.84リラ台と1日の終値としては過去最安値を更新した。なお、トルコ南部で起きた大地震から1週間たち、被害の拡大が多くのメディアで報じられている。まだ被災者の救助や支援の段階であり、復興への道筋は全く見えていない。また、5月に予定されていた大統領・議会選挙についても、延期を見込む向きが増えてきた。ただ、7月以降にするには憲法の修正が必要であり、そのためには議会で3分の2の賛成票が必要とされている。
現在、トルコ南部で発生した大地震を受け、イスタンブール証券取引所は8日から取引が停止されている。当初、15日には再開の予定だったものの、一部報道によればトルコ当局は停止期間の延長を検討しているもようである。

 

南ア電力の負荷制限と政治的混迷がランドの重し

ランドの売り要因としては、連日コメントしているように記録的な電力の負荷制限と、政治的な混迷が足を引っ張っている。与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率が凋落していることもあり、ANCは地方自治体レベルで野党・経済的解放の闘士(EEF)との連合を求める傾向が最近強まっていることも、投資家の心理に悪影響を与えている。電力・政治ともに解決の特効薬がなくいことがランドの重しになる。

 

ソロス氏のファンドではテスラやウーバー買い増しでズームは売却

米著名投資家のジョージ・ソロル氏が率いるヘッジファンド・ソロス・ファンド・マネジメントが2022年10月~12月期に電気自動車(EV)のテスラや配車サービスのウーバーテクノロジーズの株式を買い増したことが分かった。13日に米証券取引委員会(SEC)に提出した四半期の保有有価証券報告書で明らかになった。テスラ株は22年12月末時点で買う権利も含め33万2046株を保有。9月末時点の保有株数は8万9647株だった。ウーバー株も買う権利を含め買いましたほか、バイオ製薬のホライゾン・背ビューティクス株を新規に取得した。一方、EVのリヴィアン・オートモーティブ株の保有を減らした。ビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズは22年9月末時点で保有していた9万8600株を全て売却した。

 

市場は良いニュースを過大評価しリスクを無視:JPモルガン

JPモルガンは13日付リポートで「(S&P500種株価指数)株価が昨年夏の最高値に近く、平均以上のマルチプル(想定倍率)で取引されている中で、収益が弱まり、最近の金利の急上昇にもかかわらず、市場はインフレに関する最近のニュースを過大評価しており、リスクを無視していると我々は主張している」との見解を示した。株式市場は今月の中央銀行の会合をハト派的と受け止めている一方、22年10~12期の業績低迷や堅調な米労働市場が金融政策と企業利益率の両方に及ぼす影響については軽んじているといい、「株式リスク・リワード(リスク退避の運用収益)は下振れ方向い偏っていると見ている。つまり、バリュエーション(投資尺度)が引き伸ばされ、金利が高い状況では、市場の上昇余地はかなり限られている可能性が高い一方で、例えば経済活動がさらに弱まったり、インフレが持続したり、ターミナルレート(利上げの到達点)が上昇したり、地政学リスクが復活したりした場合には、下振れは意味を持つ可能性がある」と指摘した。モデルポートフォーリオではアンダーウエートの国債をややオーバーウエート方向に動かし、株式、クレジット、コモディティのリスクを減らすなど、ディフェンシブな傾きを強化したという。同時に掲載した顧客調査の結果では直近の米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の会合に関する市場のハト派的解釈は正当化されないとの見方がそれぞれ68%と59%で過半数を占めた一方、FRBが今月の会合で最もハト派的だったとの見方が65%を占めたという。

 

米国市場では1月消費者物価(CPI)コア指数が公表:予想は前年比+5.5%

12月実績は前年比+5.7%だった。財の上昇率は鈍化したが、サービスの上昇率は高止まりとなった。住居費の伸びも堅調だった。1月については、財の伸びは鈍化する見込みだが、サービス部門の上昇率は高止まりが予想されており、上昇率は12月実績に近い数値となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   1月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00   10-12月英失業率(ILO方式、予想:3.7%)
○16:00   10-12月期ノルウェーGDP(予想:前期比0.8%)
○16:30   1月スイス生産者輸入価格
○19:00   10-12月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比0.1%/前年比1.9%)
○22:30   1月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比6.2%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比5.5%)
○23:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、インタビュー
○15日01:00   ローガン米ダラス連銀総裁、討議に参加
○15日01:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○15日01:30   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○15日04:05   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○欧州連合(EU)財務相理事会
○北大西洋条約機構(NATO)国防相会議(ブリュッセル、15日まで)

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