FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米CPIへの警戒感くすぶりポジション調整売り

米長期金利が上昇基調いある中、米消費者物価指数(CPI)への警戒感がくすぶり、イベント前のポジション調整の動きも観測された。米CPIは直近の景気指標などから強めの結果への警戒感が燻っている。もし市場予想を上回るようなら、米利上げ長期化の思惑が高まりかねないとの声が聞かれた。結局、前営業日比243円安の2万7427円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:金融緩和継続観測から円売り優勢に

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、131円台半ばから131.75円付近へ上昇した。先週末に次期日銀総裁に起用される見通しとなった植田元日銀審議委員が、金融緩和の継続に言及したことも、引き続き円売り要因として意識された。仲値発表後も堅調地合いが続き、131.95円付近まで値を上げた。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、上値では利益確定などのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて131.70円を挟んでもみ合いとなった。午後は、海外短期筋などがドル買い・円売りを持ち込み、心理的節目の132.0円を上抜けして132.20円付近へ上昇した。日経平均株価の下げ幅縮小で、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め長期化観測を手掛かりとしたドル買いが一巡すると、1.0665ドルを挟んで方向に欠ける値動きとなった。

 

今週の本邦長期金利は0.5%の攻防

今週の債券市場は一進一退となりそうである。黒田日銀総裁の後任人事を巡り、日銀は新体制のもとで大規模な金融緩和の修正に動くとの思惑が高まっている。日銀は共通担保資金供給オペ(公開市場操作)などを通じて金利上昇を抑制する姿勢だが、海外勢は中心に緩和の修正観測が根強く長期金利は日銀が許容する変動幅の上限である「0.50%程度」での攻防となりそうである。前週は10日に長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが0.50%まで上昇(価格は下落)し、日銀の上限に達した。政府が日銀の次期総裁に経済学者で元日銀審議委員の植田氏を起用する人事を固めたと伝わり、有力視された現副総裁の雨宮氏が外れたことで大規模緩和の修正観測が高まり長期金利の上昇を促した。政府は14日に日銀正副総裁案を国会に提示する予定で、今週も日銀が緩和修正に踏み切るとの思惑が長期金利の上昇圧力となる。しかし、植田氏は10日に記者団に対して「現状は金融緩和を続ける必要がある」と利上げには慎重な姿勢を示すなど、4月以降の新体制でも早期の政策修正には動かないとの見方もある。市場では前週末の金利上昇が「短期的な反応」との受け止めもある。日銀も金利上昇けん制をしている。14日には幅広い担保を裏付けとして資金を供給する「共通単包資金供給オペ」で5年物を実施すると予告している。15日には残存期間「5年超10年以下」など4本の定例の国債買い入れオペを実施する予定で、買い入れの増額に動けば長期金利の上昇も一服するだろう。

 

CTAは日経先物のロング転換寸前で相当な規模に:BofA

BofAセキュリティーズは10日付のクオンツリポートで、商品投資顧問(CTA)のポジショニングについて、S&P500種株価指数先物で買いスタンスを維持しており、今後5日間においても強気トレンドが続くことから、下落局面での下支え役になりうるとの見方を示した。ナスダック100先物について中立のポジションであるとしつつも、指数が上方にブレイクした場合はロングに転換する可能性も挙げた。日経平均先物のポジショニングについて、ロング転換寸前であると推計したほか、ロングに転換した場合は「その規模も相当なもの」となると見込んだ。リスク・パリティ型戦略について、株式市場のボラティリティの低下を受けて、12週連続で株式のポジショニングを拡大しているとも推計した。

 

ドル買い比率が1カ月ぶりに上昇:前週のFX概況

QUICKが13日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計の建玉状況によると、「ドル/円」取引の総建玉に占めるドル買い比率の割合は10日時点で60.3%だった。前の週末から4.8ポイント上昇し、1月中旬以来およそ1カ月ぶりの高水準となった。日銀の次期総裁人事を巡って急速な円高・ドル安が進んだ局面で、相場の流れに逆らう「逆張り」戦略を取る傾向が強い個人投資家は円売り・ドル買いに動いた。前週末10日には政府が日銀の次期総裁に植田氏の起用を固めたと伝わった。有力視された現副総裁の雨宮氏が外れて大規模な金融緩和政策が修正に向かうとの思惑から円は一時1ドル=129.80円まで上昇した。市場では「個人投資家の様子見姿勢は強かったものの、円高・ドル安が進んだ場面で基本の逆張り戦略を取った人もいた」との声が聞かれた。対円ではドル以外でも外貨の円買い比率が上昇した。「ユーロ/円」取引では、ユーロ買い比率が前の週末から5.2ポイント高い34.3%、「豪ドル/円」取引では豪ドル買いの比率が66.0%と同0.6ポイント上昇した。

 

トルコでは大規模地震の初動の遅れから被害を大きく拡大

トルコ南部の大規模な地震発生から1週間が経ちましたが、エルドアン大統領も認めた『政府の初動の遅さ』もあり、被害は大きく拡大してしした。被災エリアにはトルコ人口の約15%の人々が住み、同国GDPの10%近くを生産しているとされている。経済損失への警戒感からトルコ株は売り一色となった。異常なボラティリティなどを理由に、イスタンブール証券取引所は14日まで取引停止を決定した。今週は取引再開後の動きが注目される。

 

南アランドはスタグフレーション懸念による売りに反応しやすい

ランドの上値の重い展開が予想される。要因として、電力の負荷制限が続いていること、ラマポーザ政権に対する求心力が急速に低下していることがあげられる。電力の負荷制限は、昨年は205日の最長期間を記録した。今年に入っても改善は全くみられず、これまで毎日電力制限が行われている。経済的なダメージだけではなく、政権内からは『国民の不満が爆発し、暴動がおこる可能性』も指摘されている。電力制限の水準には注意しておきたいところである。経済指標では、15日に1月の消費者物価指数(CPI)と12月の小売売上高が発表される。CPIが高止まりしていることで南アフリカ準備銀行(SARB)は先月、政策金利を引き上げたが、景気が低迷している現状では利上げは避けたい方針である。CPIが市場予想を上回った場合は、金利高によるZAR買いよりも、スタグフレーション懸念によるZAR売りに市場は反応しそうである。

 

予想外のメキシコ中銀の利上げ幅と利上げ継続示唆がペソの下支え

メキシコ銀行(中央銀行)は9日に政策金利を現行の10.50%から過去最高水準となる11.00%へ引き上げることを決定した。市場予想は10.75%への引き上げであったため、サプライズな結果となった。これまでメキシコ中銀は米連邦公開市場委員会(FOMC)と歩調を合わせるように利上げを実施してきたが、前回のFOMCが25bpの利上げであったことに対し、今回メキシコ中銀は50bpの利上げ幅を維持するなど、米金融政策とのデカップリングの道を歩み始めた。また、声明文でも『次回の政策会合に向けて利上げ幅を小さくすることができると考えている』と言及するなど、次回以降の追加利上げも示唆した。各国際機関や格付け機関が今年のメキシコ成長率は鈍化すると予想するなか、利上げ継続による経済への影響も懸念されるが、基本的には対米金利差拡大への思惑は、メキシコペソにとってプラス材料として意識される。

 

米消費者マインドは22年1月以来の高水準:US Dashboard

米ミシガン大学が10日に発表した2月の消費者態度指数は66.4と、1月の64.9から1.5ポイント上昇し、2022年1月以来の高水準となった。上昇は3カ月連続で市場予想65.0を上回った。今後の見通しが小幅に低下したものの、現在の景況感は大幅に上昇した。1年先のインフレ期待は4.2%と、前月から0.3ポイント上昇した。インフレ懸念は22年よりも鈍化しているが、新型コロナウイルス流行前と比較すると高水準のままである。同大学の担当者は「インフレが鈍化しているにもかかわらず、物価高は引き続き消費者の重荷になっている」と指摘した。「失業率上昇の懸念もあり、消費者は今後数カ月、より慎重に支出を行う構えだ」と分析した。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月トルコ経常収支(予想:55.0億ドルの赤字)
○16:30   1月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○21:00   1月インドCPI(予想:前年比5.90%)
○22:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○14日01:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合

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