FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:取引一巡後は上値の重い展開に

好決算を発表した個別銘柄への買いが指数を支え、日経平均株価はしっかりの展開となった。特に半導体関連株が堅調で、上げ幅は一時200円を超える場面もあった。ただ、買いが相場全体へ広がる動きにはならず、取引一巡後は小動きとなった。鉄鋼株や半導体関連株が買われた一方、不動産株は軟調に推移した。結局、前営業日比86円高の2万7670円と4日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:131円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、一時131.88円付近まで上昇した。米長期金利が一時3.68%台へ上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、次期日銀総裁人事の行方や14日に発表される1月米消費者物価指数(CPI)を見極めたいとの雰囲気から、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、131円台半ばへ押し戻された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、やや値を上げて131.70円を挟んでもみ合いとなった。その後、雨宮日銀副総裁が衆院財務金融委員会に出席し「イールドカーブ・コントロール(YCC)には副作用がある」と発言すると、ドル売り・円買いが強まって131.50円付近へ下落した。しかし、雨宮日銀副総裁は同時に「現段階でさらなるYCCの柔軟化が必要とは考えていない」との見解も示したため、ドル売り・円買いは続かず、値を切り返して131.60円前後で取引された。ユーロ/ドルは、1.0720ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

トルコでは5つの選挙は予定通り実施する意向

トルコ南部で6日に起きた大規模の地震でトルコ側の犠牲者数は1万7000人を超えたことが報じられ、被害は更に拡大することが予想されている。被災エリアは同国人口の約15%が住み、GDPの10%近くを生産しているとされている。依然として救助活動が続く中では、復興への道筋はまだ立てられていない。なお、5月の選挙について、エルドアン大統領は予定通り実施する意向を示していたが、政府関係者からは延期を検討すべきとの声も出始めている。

 

南アの大統領の一般教書演説ではサプライズなし

昨日行われたラマポーザ大統領の一般教書演説では、これほど南ア国民や市場からの期待が低かった。そして、実際の演説自体も、国民及び市場関係者にとってサプライズがないものだった。注目された電力問題については、電力危機に対応するために全国的な非常事態宣言を発令し、危機に対応するために電力大臣を任命すると述べている。また、財務省は、太陽光発電に対する税制上の優遇措置を発表する予定であり、企業が太陽光発電の資金調達を申請できるようなローンスキームを調整すると発表した。発表後も専門家の反応は悪いままである。電力大臣を新たに任命するという話について、これまでのエネルギー相や公共事業相もいる中で、新たに3人目の大臣が任命されることで、より協議が進まない可能性が指摘されている。また、太陽光についても、長期的なエネルギー政策としては良いが、現時点の電力不足については全く解決策にならない。通常は一般教書演説の後には、ご祝儀相場で一時的でもランドは強含む傾向があるが、今回は全くそのような動きになっていない。本日のランド相場も、上値の重い動きになる。

 

米利下げが遅れるリスクシナリオ:エバコア

エバコアISIは9日のリポートで「米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長が1月の大ヒット雇用報告に対する最初の反応を抑えたことで、FRBが3月会合後に利上げを一時停止せず、2022年12月に想定していたよりも長期にわたって金利を引き上げる必要があるとの結論に飛びつくのではないかという懸念が和らいだ」と指摘。仮に米労働市場の強さが続けば、FRBがより高い金利をより長く維持するとの懸念が再び強い関心としてあがってくるといい、「我々はこれを資産市場にとって第一級重要性と見ている」とも指摘した。金融引き締めにも関わらず米労働市場が堅調さを保っているのは、①引き締めの影響が遅れてやってくる、②景気を熱しも冷やしもしない中立金利の水準が上がっている、ことが考えられ、現時点では前者の可能性が高いとみている。その一方で、「今から数カ月後に、政策の遅れがより深刻になったとしても、労働市場が依然として非常に堅調であるならば、短期的な中立性は我々が考えていたよりも高いと結論付けなければならず、したがって、一定の抑制を達成するためには、金利をより長く高くする必要がある」と指摘。FRBの追加的なな引き締めに対する市場の無関心は、中立金利の水準が非常に低いという前提に立っていることから、「もし、中立金利がより高いということであれば、単純に23年後半か24年に利下げせざるを得ない。短期的な高い中立金利が1、2年継続して高ければ、この急速な反転(市場の利下げ織り込み)を危うくする」とし、こうしたリスクシナリオに警戒感を示した。

 

米国のリセッションの行方を探る:NY市場の視点

米国債市場では、長短金利差が逆転する商状が一段と深刻化し、景気後退懸念は根強い。2年債と10年債の逆イールドは80年代初期以降で最大を記録した。米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言を受けて利上げ長期化の思惑が強まり2年債利回りは4.5%を突破。強い1月雇用統計を受けて、短期金融市場では今までのハト派色が払しょくされた。オプション市場では政策金利が最高で6%まで上昇することを織り込む動きが引き続き活発化している模様である。今年に入り、パンデミックの特需で雇用を活発化させたハイテク企業のみならず、需要の停滞やコストの高騰で利益率が低下した企業の雇用削減の動きが活発化。しかし、人員削減の影響が雇用関連指標や経済には今のところ全く見られない。
リセッションが証明されるには時間がかかるとの見方。米国債券市場ではリセッションが示唆される中、本年の人員削減による影響がいつ経済に現れるのかが、焦点となっている。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月英国内総生産(GDP、予想:前月比▲0.3%)
○16:00   10-12月期英GDP速報値(予想:前期比横ばい/前年比0.4%)
○16:00   12月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%/前年比▲5.3%)
○16:00   12月英製造業生産高(予想:前月比▲0.2%)
○16:00   12月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:164.00億ポンドの赤字/28.00億ポンドの赤字)
○16:00   12月トルコ失業率
○16:00   12月トルコ鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
○16:00   1月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%/前年比6.5%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○21:00   12月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.5%)
○21:00   12月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.1%)
○22:30   1月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.50万人/失業率5.1%)
○23:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○23:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、イベントに参加
○23:10   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○24:00   2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:65.0)
○11日01:00   1月ロシアCPI(予想:前月比0.7%)
○11日02:30   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○11日04:00   1月米月次財政収支(予想:630億ドルの赤字)
○11日06:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)
○米・ブラジル首脳会談(ワシントン)

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