FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:緩和修正への過度な警戒感後退で買い優勢に

日本経済新聞が政府が日銀の次期総裁に雨宮副総裁を打診していると報道し、ひとまずは現状の金融政策が維持されるとの思惑から、緩和修正への過度な警戒感が後退した。先週末の堅調な米雇用統計を受けて為替はドル高/円安となっていたが、本日の東京市場で一段と円安が進み、輸出関連株を中心に買いが入った。ただ、午後は利益確定売りに押されてやや伸び悩んだ。結局、前営業日比184円高の2万7693円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:次期総裁報道でドル/円は乱高下

早朝に一部メディアが「政府が日銀の次期総裁について、雨宮副総裁に就任を打診した」と報じた。金融引き締めに消極的と見られる雨宮副総裁が有力候補となったため、日銀の大規模な金融政策が修正されるとの思惑はやや後退した。本日オセアニア市場のドル/円は、日銀の金融緩和が当面続くとの観測から、3日のNY市場の終値より大幅なドル高・円安となる132円台半ばまで窓を開けて取引が始まった。しかし、鈴木財務相が「日銀総裁を巡る報道について何も聞いていない」と発言すると、一転してドル売り・円買いが強まり、132円を割り込んで一時131.52円付近まで下落した。その後、米長期金利の上昇を眺めたドル買いが入り、132.10円付近へ値を切り返す荒井値動きとなった。東京市場では、仲値に向けて本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み132.40円付近へ上昇した。仲値発表後は急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、131.70円台へじり安となった。磯崎官房副長官が雨宮氏への次期日銀総裁打診報道について「そのような事実はない」と否定したことも、円の買い戻しにつながった。その後、先週末に発表された1月米港長兄などの指標が好調で、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ停止観測の後退を背景にドル買い・円売りも見られ、132.00円付近へ値を戻した。午後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、131円台後半でもみ合いとなった。次期日銀総裁に関する報道で情報が錯そうしているため、ポジションを積極的に傾けにくくなっている。ユーロ/ドルは、1.0795ドルで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日経225の今週末SQ算出は2万8000円前後か

今週末10日、株価指数オプションとミニ日経平均先物2月物の特別清算指数(SQ)の算出を迎える。日銀の黒田総裁の後任人事を巡る思惑で、外国為替市場で円相場が激しい動きとなっている。6日の日本株相場は急速に進行した円安・ドル高を支えに上昇した。株価指数はオプション市場では権利行使価格が2万8000円台のコールの取引が増えている。市場では「SQ値は2万8000円を巡る攻防になる」との見方があった。

 

日銀次期総裁で雨宮副総裁に打診との報道:大和証券

『政府が日銀の黒田総裁の後任人事について雨宮副総裁に就任を打診したことが5日わかった』と報じた。大和証券は6日のレポートで「当面は他の報道が追随するかに注目が集まる。荒井首相秘書官の更迭によって国会日程は後ろ倒しになる可能性もあり、なかなか確定しない可能性もありそうだ」としながら、現在の金融政策に携わってきた雨宮氏が総裁となれば、「現在の政策が否定され、突然撤廃される可能性は低い。政策の方向性はこれまでの政策がゆっくりとほどかれる流れとなろう』と指摘した。リポートでは、大規模な量的緩和で始まった異次元緩和が2016年に『量』の限界に達し、イールドカーブ・コントロール(YCC)を導入したことについて「政策のターゲットを『金利』に戻すための出口戦略ツールと言える」と指摘した。さらに、足元では金利をコントロールすることの限界が意識され、YCC撤廃という更なる正常化に向けた動きが始まったと考えられる」とみていた。ただ、「明確な利上げとなるマイナス金利解除にも着手する理由は今のところなさそうにみえる」とも指摘し、抜本的な金融政策の正常化はまだ先と見ていた。

 

ドル買い比率が3カ月半ぶり低水準:前週の概況

QUICKが6日算出した3日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は55.5%と前の週末から3.9ポイント低下し2022年10月中旬以来、約3カ月半ぶりの低水準となった。前週(1月30日~2月3日)の外国為替市場で、円相場は週末にかけて水準を切り下げた。3日発表の1月の米雇用統計が市場予想を上回る強さだったことを受け、3日のNY市場では一時1ドル=131.20円と1月中旬以来の安値を付けた。円安・ドル高が進んだ場面で、相場の流れと反対方向の「逆張り」の取引をする傾向の強い個人のFX投資家は円買い・ドル売りに動いたようだ。円に対するユーロ買い比率は前の週末と比べて1.8ポイント低い29.1%だった。前週に円は対ユーロでも下落し、3日の海外市場では一時1ユーロ=142.32円付近と1月中旬以来の円安・ユーロ高水準を付けていた。個人投資家の間では、利益確定を目的とした円買い・ユーロ売りが優勢だった。

 

トルコからの資金流出を裏付ける:テロのリスクの高まりもリラの重し

先週末に発表された1月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比57%台と、3カ月連続で前回から鈍化した。ただし、既に物価上昇の波が高まっていた1年前との比較であり、モノの値段自体はかなり高いままである。実質金利が大幅マイナスに変わりはなく、通貨価値の下押し圧力は強い。またトルコの12月貿易赤字も97億ドルと、トルコからの資金流出を裏付けている。また、トルコ国内でテロの可能性が懸念されていることも、リラにとってはネガティブ材料である。イスタンブールの米国大使館は先週、教会や西洋人が頻繁に訪れる地域の危険度が高まっていると警告した。複数の欧州の総領事館も一時閉鎖を決定した。欧州の一部地域で起きた反イスラム行動に対する報復行為が懸念されている。実際にテロが起きてしまった場合、拡大基調にある観光業の腰折れにも繋がりかねない。

 

南アでは10日に大統領による一般教書演説

南アからは市場を動意づける経済指標の予定はない。しかし、政治イベントとしては、10日にラマポーザ南ア大統領による一般教書演説が予定されている。今回の演説では国営電力会社エスコムの債務問題の詳細や、今後のエネルギー問題についても演説する可能性が高まっている。演説内容に具体性があるのかに注目が集まっている。ここ最近は大統領および与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率が大幅に低下していることで、どのような内容を示すかにより今後の政権運営にも関わってくる。また、南アの電力負荷制限は今年に入り一度も中断がない。電力制限のステージ状況がさらに悪化した場合は安堵がさらに弱含む可能性が高い。

 

メキシコでは1月CPI次第では利上げ停止するサインを示す可能性も

今週の注目はメキシコの最新インフレ指標とメキシコ中銀の金融政策決定会合である。メキシコ中銀はこれまで4会合連続で続けていた0.75%の利上げを前回昨年12月会合でペースを鈍化させ、0.50%の利上げを決定した。そして、今回の会合ではさらに0.25%まで利上げ幅を縮めることが予想されている。この理由としては、インフレが鈍化していること。CPIは前年比で昨年9月の+8.70%をピークにその後は減速傾向にある。そのため、中銀メンバーの中には間もなくの利上げ停止を訴える声も出ており、引き締め姿勢に慎重な姿勢が窺える。ただ、直近のCPIは再び上昇する傾向になり、9日(日本時間だと10日)の金融政策決定会合の前には1月CPIが予定されている。ここで前回の+7.82%よりも強い結果となれば、利上げ停止観測が後退し、再び引き締め期待が高まる可能性が出てくるため、注目である。また、CPIの結果を受けた中銀の声明内容にも要警戒である。今回の利上げ幅は0.25%ですが、次回に早くも利上げを停止するサインを示す可能性もある。

 

S&P500が年初来で大幅高も上昇余地は限定的:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは3日付リポートで、米国と世界のマクロデータの改善によりS&P500種株価指数が年初来で8%上昇し、3カ月目標は従来の3600から4000に引き上げた一方で、「米国株の上昇余地は依然として限られており、S&P500が年末の目標である4000を大幅に上回る水準で年末を迎える可能性は低い」との見解を示した。その理由として、まず「米国株式市場ではソフトランでキング(軟着陸)が既に織り込まれている」と指摘。景気敏感型産セクターがディフェンシブから景気敏感へのローテーションは、「米国の実質経済成長率が約2%であることを意味しており、エコノミストによる23年の米国の実質成長率は潜在成長率を下回った1%と比較され、米サプライマネジメント協会(ISM)製造業指数では最新の47と比較して益55を示す」という。次に「バリエーションはすでに過去と比べて上昇しており、最終的な金利上昇によって制約される」とも指摘。S&P500の株価収益率(PER)は18倍超と、高さは1976年以降で87パーセンタイルにランクされるという。22年10~12月期決算ではEPSがアナリスト予想を下回る企業が多いことを踏まえると、実質的はさらに高いバリュエーション(投資尺度)が付与されているとみる。強い米雇用統計などを考慮すると、「現在イールドカーブに組み込まれている米連邦準備理事会(FRB)による利下げの確率は低下し、米10年物国債利回りは現在の3.5%から徐々に4.2%まで上昇すると見込んだ。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独製造業新規受注(予想:前月比2.0%/前年同月比▲11.6%)
○17:15   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:40   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:30   1月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:48.5)
○19:00   12月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲2.5%/前年比▲2.7%)
○24:00   1月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日02:00   ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演

 

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