FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:朝高のあとは上値の重い展開が続いた

米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過して米市場が株高となった流れを引き継いで、小幅の続伸した。その後、上げ幅を拡大する動きもみられたが、心理的節目の2万7500えんが近付くと上値が重くなり、次第に上げ幅を縮めた。今晩のアマゾン・ドット・コム、アップルの決算発表などをにらんで積極的な買いは続かなかった。ドル/円相場でも円高が進んだことで輸出株を中心に重しとなった。結局、前営業日比55円高の2万7402円と小幅続伸して終了した。1月第4週(23日~27日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は3037億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。個人投資家は3991億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。また、信託銀行は1933億円の売り越しとなり、売り越しは11週連続となった。

 

東京外国為替市場:米景気の減速警戒感から128円台半ばで推移

ドル/円は、オセアニア市場では、米連邦準備理事会(FRB)が市場の想定よりも早期に利上げ停止へ向かうとの思惑から、海外短期筋などがドル売り・円買いを持ち込み、128.90円台から128円台半ばへ下落した。東京市場でも、ドル安・円高基調は続き、一時128.18円付近まで下落した。その後、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、128.75円付近へ値を切り返した。若田部日銀副総裁から金融緩和継続に前向きな発言が伝わったことも、円売りにつながった。ただ、このところ低調な米経済指標が相次ぎ、米景気の減速が警戒されていることからドルの反発は限られ、128.50円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価や米長期金利をにらみながら、128円台半ばで取引された。明日発表される1月米雇用統計のイベントを前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、FRBの利上げ停止観測や欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融引き締めを意識したユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.1020ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会:市場予想は50pbの利上げ

ECBのラガルド総裁は、インフレ率があまりにも高過ぎると指摘しており、追加利上げが決まる見込み。利上げ幅については50pbになると予想されている。

 

トルコでテロ攻撃が起きると観光業の腰折れリスク

昨日発表の1月トルコ製造業PMIは50.1と景況判断の境目となる50を10カ月ぶりに上回ったものの、相場の反応は限られた。トルコでは、ドイツなど複数の総領事館が安全上の問題を理由に一時閉鎖された。欧州の一部地域で反イスラムの動きが強まり、それに対する報復テロの可能性が高まっている。もしテロ攻撃がトルコで起きてしまえば、せっかく盛り上がってきた同国観光業の腰折れに繋がりかねず、リラにとっても重しとなる。

 

今後の南ア経済は電力問題次第

昨日発表された1月のアブサ南アPMIは53.0となり、12月の53.1とほぼ変わらない結果となった。中国のゼロコロナ政策の終了などもあり、事業活動指数は12月の45.2から56.0に上昇している。一方で受注指数は12月の53.8から49.9へと低下するなど、まちまちな結果だった。今回の調査結果でも、電力の負荷制限が生産にダメージを与えているとの指摘があり、今後の南ア経済はやはり電力問題次第となる。

 

メキシコが生産拠点の再構築の流れが進んでおりペソの下支え

メキシコのラミレス大統領報道官は昨日、米電気自動車大手テスラがメキシコシティ郊外の新空港付近に組み立て工場建設を検討していると明らかにした。以前にはイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がメキシコ北部のヌエボ・レオン州に投資を検討との報道も伝わっている。テスラのみならずメキシコを生産拠点とする米製造業のサプライチェーン再構築の流れは近年着実に進んでおり、ペソ/円にとっても中長期的なポジティブ要因となる。

 

米ISM製造業景況感は3カ月連続で50割れ

米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した1月の米製造業景況感指数は前月比1.0ポイント低下の47.4と市場予想の48.1を下回った。好不況の境目である50を3カ月連続で下回り、2020年5月以来2年8カ月ぶりの低水準となった。米景気の後退懸念を高める結果だった。『新規受注』が42.5と前月比で2.6ポイント低下し、『生産』も48.0と同0.6ポイント低下した。いずれも50を割り込んだままだった。『雇用』も前月比で0.2ポイント低下したが、50.6と50を上回ったままで堅調な労働情勢が継続していることが示された。

 

米FOMC終了後は米12月の利下げ確率上昇

連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利フェデラルファンドFF金利の誘導目標を25bp引き上げ、4.50-4.75%に決定した。声明では、『インフレはいくらか緩和も依然高い』とし、『利上げ継続が適切』と、追加利上げを示唆した。しかし、『インフレはいくらか緩和』の文言はハト派ととらえられている。また、『将来の利上げペースを決定するにあたり』から『将来の利上げの余地を巡り』に文言を変更していることも利上げ停止に近づいたとの見方に繋がった。パウエル議長は、勝利宣言をするのは時期尚早で、引き締め域にはまだ十分ではなく、引き締め域に到達するためにはまだやるべきことはあるとし、あと数回の利上げを示唆した。また、雇用コスト指数や平均賃金の伸びは最高水準から鈍化基調にあるが、依然高い水準だと言及した。しかし、今までのように高インフレを制御するためにFF金利誘導目標を5%を上回る水準まで引き上げる必要があるとの断固とした公約はなく、逆に『強い労働市場を伴う満足のいくディスインフレの過程だ』と、インフレ進展を初めて歓迎する言及をした。また、『引き締め過ぎは望んでいない』としたほか、パウエル議長はピーク金利で5%に満たない選択地も残した。『ディスインフレの過程が特に「物」において、始まった』とし、『まだ、住宅を除いたコアサービスにディスインフレの兆候は見られない』としたが、今まで、ディスインフレに関する言及は今までなかった。短期金融市場では5月にピーク金利に達したのち、12月には50bpの利下げに転じることを織り込んだ。

 

米FOMCでは3月の利上げで一時停止する明確なリスク生じる:BofA

BofAセキュリティーズは1日付リポートで、声明文で継続的な利上げの必要性の文言を維持したことでタカ派姿勢を示したが、「記者会見では、パウエル議長のコメントのほとんどがハト派的な方向に傾いているように見えた。パウエル氏は発言のバランスを最近のディスインフレを受け入れる方向に傾けた。また、金融環境やFRBの政策金利パスと市場の政策金利のかい離についての懸念ははるかに少ないと表面した。我々は、議長が5.0%を超えるターミナルレートは(利上げの最終到達点)を示した12月のドットを再確認することに消極的であったことに特に留意した」と指摘した。リポートでは、「全体として、パウエル氏のコメントのバランスが力強くディスインフレの力の方向に傾くとは予想していなかった。先を見据えると、FRBは5.0~5.25%の最終的な目標範囲に向けて25bp単位でさらに2回利上げすると引き続き予想しているが、今日のFOMCコミュニケーションでは、FRBが3月にもう一度利上げし、4.75~5.0%で利上げを一時停止する明確なリスクが生じている」との見解を示した。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独貿易収支(予想:93億ユーロの黒字)
○17:00   1月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲38.0)
○21:00   英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.00%に引き上げ)
○21:00   英中銀MPC議事要旨
○21:30   ベイリーBOE総裁、記者会見
○21:30   1月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:3.00%に引き上げ)
○22:30   12月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲3.9%)
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比2.4%)
○22:30   10-12月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比年率1.5%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.5万件/168.4万人)
○22:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○24:00   12月米製造業新規受注(予想:前月比2.3%)

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