FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:FOMC結果待ちで上値の重い展開

前日の米国株高を好感する形で日本株市場でも買いが優勢となり、一時取引期間中としては1カ月半ぶりの高値を付ける場面もあった。ただ、明日未明に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え、買い一巡後上げ幅を縮小して騰勢は続かなかった。循環的な物色がみられたほか、決算を手掛かりにした売買も活発になった。結局、前営業日比19円高の2万7346円で小幅反発して終了した。信用評価損益率は1月27日申し込み時点でマイナス10.16%と、前の週のマイナス10.02%からマイナス幅が0.14ポイント悪化した。悪化は3週ぶりとなる。

 

東京外国為替市場:ショートカバーから130円台前半で推移

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸出企業などのドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、一時129.86円付近まで下落した。しかし、前日の海外市場でつけた安値129.75円が視野入りすると、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、130.05円付近へ値を切り返した。午後は、海外短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、130.30円付近へ上昇した。ユーロ/円のユーロ高・円安が波及した面もあった。ただ、米FOMCの結果を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)がインフレ抑制に向けて積極的に利上げを実施するとの思惑から、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.08ドル台半ばから1.08ドル台後半へ水準を切り上げた。

 

トルコへの観光客の増加で経常収支の改善

昨日トルコでは観光関連指標が発表され、2022年の外国人観光客数は前年比80.3%増の4460万人に達したことが明らかとなった。過去最多だった19年には50万人ほど届かなかったが、パンデミック禍の20-21年に比べると大幅に拡大している。観光収入については463億ドルと前年比53.4%増、こちらは19年の384億ドルを超えた。好調な観光業を背景にトルコの文化観光相は昨日、23年の外国人観光客数を6000万人、28年には9000万人と強気の見通しを示した。観光収入は今年が560億ドル、5年後には1000億ドルまで増加すると見込んでいる。期待が先行し過ぎているようにも感じるが、経常収支の改善につながるようであれば、中長期的にリラの支えとなる。

 

南アは電力不足問題とエネルギー価格の上昇でスタグフレーションリスク

最近の南アからはポジティブなニュースが少なく、ポジション調整的なランド買い以外は積極的に買い仕掛けるような状況にはない。一番の問題は電力問題ではあるが、昨日も電力負荷制限のステージが4から6に引き上げらている。今年に入り毎日電力制限がかかっているが、ステージ別ではステージ1は0日、2が3日、3が4日、4が13日、5が4日、6が7日になり、厳しいステージが増加している。記録的な停電が経済を麻痺させているため、政府は全国的に『災害宣言』を発することを検討している。しかしながら、宣言をしたから電力不足が解決するわけでもなく、当面は袋小路から抜け出るのが難しい。

また、毎月第1水曜日に発表される南アのエネルギー基準価格ではあるが、今月はガソリンとディーゼルともに引き上げられることになる。基準価格の上昇、そして4月には電力価格の上昇も控えていることで、インフレ下の景気低迷=スタグフレーション懸念がより一層高まる。

 

メキシコ経済は底堅く推移しておりペソの下支え

メキシコ財務次官は昨日に2022年の成長率は2.9-3.0%となった公算が大きいとの見解を示した。メキシコ経済は景気減速懸念が高まる欧米主要国と比較しても底堅さが目立っており、昨年のペソの強さにもつながった要因と言える。昨日発表された10-12月期メキシコGDP速報値(前年比)は +3.6%と予想 +3.4%を上回る結果となった。

 

顧客が米株を2週ぶり買い越し:BofA

BofAセキュリティーズの31日付の顧客フローリポートによると、同社の顧客は先週(23~27日)の1週間に米国株を1億3400万ドル買い越した。2週ぶりに買い越しに転じた。この週は米連邦準備理事会(FRB)による利上げ鈍化への期待などから、S&P500指数は週間で2.46%高となって反発した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が3億2600万ドル売り越して3週ぶりに売り越しに転じた。機関投資家は7億7900万ドル売り越して4週続けて売り越しだった。個人投資家は6億7100万ドルの売り越しで2週ぶりに売り越しだった。企業の自社株買いは22億3800万ドルと、自社株買いに対する1%の課税が開始されたにも関わらず、2019年や20年1月水準並みを保っていた。もっとも、1月の自社株買いの発表数は過去10年平均の半分程度にとどまった。セクター別では11のセクターのうち6セクターが買い越しとなった。ハイテクやコミュニケーション、サービスへの資金流入が顕著だった一方、資本財や一般消費財からの流出が目立った。1月全体では資本財やエネルギーが最大の流出を記録した。

 

米住宅価格指数は20年以来の低い伸び

米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが31日に発表した昨年11月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は前年同月比6.8%上昇、10月改定値8.7%から伸びが鈍化した。鈍化は7カ月連続で、2020年9月以来の低い伸び。前月比は0.8%低下した。全米ベースの価格指数は前年比9.2%上昇と、10月の10.7%から鈍化した。米連邦住宅金融庁(FHFA)が発表した11月の全米住宅価格指数は前年比8.2%上昇した。10月の9.8%から伸びが鈍化した。前月比は0.1%低下した。

 

市場の関心は米FOMCによる利上げ幅よりも停止時期が焦点

米連邦準備理事会(FRB)は2月1日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を4.5%~4.75%に引き上げ、利上げ幅を前回会合のから0.25%に縮小する見込み。市場では次回3月会合を最後に利上げを停止するとの見方が増えており、会合後のパウエル議長の記者会見からその時期を探ることになる。FRBは昨年11月会合まで4会合連続で0.75%ずつ利上げした後、前回12月会合で0.5%に縮小した。今回はさらに0.25%に縮める見通しである。物価と賃金の伸びが鈍化しており、利上げペースを緩めてこれまでの累積的な金融引き締めの影響を見極める。年明け以降は複数の米地区連銀総裁が0.25%の利上げを支持を表明しており、タカ派の論客であるFRBのウォラー理事も0.25%利上げを望むと述べていた。ただ、市場の関心は利上げ幅から、FRBがいつ利上げを停止するかに移っている。市場ではインフレ減速を受け、3月を最後に利上げを終えるとの予想が大勢となっている。金利先物市場が織り込むターミナルレートは4.9%近辺と、FOMC参加者が12月会合で示した見通し(5.1%)を下回る。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.3%)
○16:00   1月トルコ製造業PMI
○17:30   10-12月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比1.5%/前年同期比▲2.9%)
○17:30   1月スイス製造業PMI(予想:54.2)
○17:50   1月仏製造業PMI改定値(予想:50.8)
○17:55   1月独製造業PMI改定値(予想:47.0)
○18:00   1月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:48.8)
○18:30   1月英製造業PMI改定値(予想:46.7)
○19:00   1月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比9.0%)
○19:00   1月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比5.1%)
○19:00   12月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:15   1月ADP全米雇用報告(予想:17.8万人)
○23:45   1月米製造業PMI改定値(予想:46.8)
○24:00   1月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:48.0)
○24:00   12月米建設支出(予想:前月比横ばい)
○2日00:30   1月メキシコ製造業PMI
○2日00:30   EIA週間在庫統計
○2日03:00   1月ブラジル貿易収支(予想:30.00億ドルの黒字)
○2日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:4.50-4.75%に引き上げ)
○2日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○2日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:13.75%で据え置き)
○英中銀金融政策委員会(MPC)

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