FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:強弱材料が入り混じり方向感を欠く展開

米国株高を好感して小高く始まったが、日銀の政策修正への思惑や米企業業績への懸念が重しとなりマイナスに転じる場面があるなど、強弱材料が入り混じって方向感を欠いた。朝方に発表された東京都区部の消費者物価指数(コアCPI)が1981年5月以来の伸び率となり、思惑につながったとみられる。金利先高観から銀行株が堅調だった一方、不動産株は弱かった。ドル/円が軟調で、輸出関連株などの上値を抑えた。米半導体大手のインテルが市場予想を下回る低調な業績見通しを示し、時間外取引で株安となったことも嫌気された。結局、前営業日比19円高の2万7383円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:重要イベントを控え130円近辺でもみ合い

ドル/円は、オセアニア市場では、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが先行、130円台前半から129円台後半へ水準を切り下げた。朝発表された1月東京都区部CPI(生鮮食品を除く総合)が、前年同月比+4.3%と41年8カ月ぶりの高水準を記録し、日銀が大規模な金融政策の修正に動くとの観測が広がったことも円買いにつながった。東京市場に入り、仲値にかけて月末に絡むドル売り・円買いフローが通常より多く持ち込まれると、一時129.50円付近まで下落した。ただ、今晩発表される12月米個人消費支出(PCE)などの指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、129円台後半へ切り返した。午後は、米長期金利上昇を眺めたドル買い・円売りが入り、130.15円付近へじり高となった。日銀が『1月31日に期間5年の共通担保資金供給オペを実施する』通知したことも円売り要因となった。しかし、来週予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)の重要イベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて130.00円付近でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.0870ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

新日銀総裁人事の確率と予想:ユーラシア

2月10日に政府が新日銀総裁・副総裁の人事案を国会提出するとみられる中、ユーラシア・グループは26日付のリポートで『我々は岸田首相が中曽元副総裁を55%の確率で指名するとみている。雨宮副総裁は30%、元日銀副総裁の山口氏は10%、その他の人物は5%と予測している」との見解を示した。従来予想は中曽氏(60%)、雨宮氏(30%)、山口氏(ゼロ%)だった。

 

中国人観光客の増加でGDPを押し上げ:USB

UBSは26日付リポートで独自調査の結果、中国人観光客は海外への訪問先として香港、マカオ、韓国、日本の順番で選考しているとの結果を公表した。加えて、海外旅行嗜好が高い消費者は頻繁に旅行することで、より多くの消費を望んでいるとも指摘した。リポートでは日本が中国からの旅行者に対して課している入国規制について、航空便が減便されるなどといった入国制限が続くことで、3月までの中国人観光客は限定的となる可能性があるとも指摘した。それでも、日本の規制が2023年第2四半期から段階的に解除されるとの前提の下、23年第4四半期の中国人観光客数は660万人と前年同期の280万人から大きく増加する可能性があるとも見込んだ。これにより、23年の観光客総支出は3.6兆円となるほか、国内のGDPを0.2%押し上げうるとも推計した。中国観光客の増加によるインフレへの影響について、消費者物価指数(CPI)における訪日外国人消費項目のウエートが相対的に小さいことから、外国人の消費者増によるインフレ押し上げ効果は限定的とも見込んだ。

 

ブラックストーンの第2不動産ファンドに解約要求:英FT紙

英フィナンシャル・タイムズ紙は26日、米資産運用大手ブラックストーンが、第2の不動産ファンドの顧客から50億ドル(約6500億円)を超える解約要求に直面していると報じた。年金基金など大手機関投資家を対象にしたブラックストーン・プロパティ・パートナーズ(BPP)で、資産価値730億ドルの7%に相当する額だとしている。不動産市場の見通し悪化を背景に、昨年はBREITと呼ばれるファンドから富裕層の引き出しが相次いだと伝えた。

 

トルコ中銀は四半期のインフレ報告書を公表

トルコ中銀は四半期のインフレ報告書を公表し、今年末のインフレ予測の中間値を22.3%、2024年末を8.8%とし、前回見通しから据え置いた。しかしながら、前述したトルコ中銀のインフレ見通しは明らかに期待先行であり、報告書では金融引き締めの意向など全く感じられないなかでは、リラの買いづらさは変わらない。なお中銀は昨日、21年末にリラ預金の保護を目的として導入した為替リンクの定期預金について、金利上限の撤廃を発表した。こちらの影響も今後は見定めていくことになる。

 

南アSARBは市場予想を下回る利上げ

南アフリカ準備銀行(SARB)は、市場予想を下回る0.25%の利上げにとどめた。5人のMPCメンバーのうち0.25%の利上げ賛成が3名、0.50%が2名という結果になっている。もっとも、ランド安は利上げ幅が小幅だったことよりも、SARBの今後の見通しの下方修正に起因していると思われる。本来ならば経済情勢が悪化していることで、利上げをしたくない状況ではあるが、インフレも依然として高い水準なままなことで利上げを避けることもできなかったという状況である。クガニャゴSARB総裁が『インフレリスクが上昇しているため、何もしないという選択肢はなかった』という発言が、それを表現している。声明では2023年のGDP成長率を+1.1%予想から+0.3%へと下方修正した。下方修正の理由は電力の制限(停電)に起因しているとし、もし制限が無ければ今年は+2.3%になっていただろうとの見解を示した。また、SARBは今年の電力制限期間は200日と予想している。昨年は205日という最長期間の制限はあるが、今年も同様の制限期間を予想している。ただし、今年はこれまで一日も制限が解除されていないことを考えると、制限期間が増加した場合は、更なる成長率の低下にもなる可能性がある。また、今年だけでなく2024年は1.4%から0.7%に、2025年は1.5%から1.0%に、それぞれGDP成長率予想を下方修正した。

 

メキシコの成長率低下への警戒感高まる

国立統計地理研究所が発表した11月の経済成長率は前月比で-0.5%となり、市場予想の-0.1%を大きく下回った。これを受けて31日に発表予定の10-12月期メキシコ国内総生産(GDP)速報値への警戒感が高まっている。なお、昨年末にエスキベル副総裁の辞任により新たに副総裁に就任したオマール・メヒア氏が一部通信社とのインタビューに答えて『メキシコ中央銀行は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策との切り離しを検討すべき」との見解を示した。2月会合にてこのことについては議題にあげるとされている。

 

想定上回るGDP成長率がぬか喜びの警戒も

米商務省が26日に発表した2022年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.9%増と、市場予想の2.8%増を上回った。市場は米経済のソフトランディング(軟着陸)への期待を強めた。しかし、エコノミストからは『景気悪化は23年1~3月期以降」とみて、ぬか喜びに警戒する見方が目立った。投資家の受け止めとは対照的に、エコノミストの分析は慎重な内容が相次いだ。JPモルガンは輸入減と在庫増が成長率の3分の2程度を押し上げた点に注目。輸入の減少はGDPの計算上はプラスに働くが、内需の弱さを示唆する。在庫の積み増しも「想定より需要が弱く、ネガティブな景気の先行きを移す」といい、10~12月期のGDPを押し上げた内訳はむしろ今後の伸び鈍化の兆しとみていた。

 

米国市場では12月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+4.4%

11月実績は前年比+4.7%だった。12月については、米金融当局による金融引き締めが続いており、これまでの利上げが物価上昇圧力と需要の両方を抑制するのに寄与していることから、上昇率はさらに鈍化する見込み。

 

欧米市場イベント

○16:45   1月仏消費者信頼感指数(予想:83)
○21:00   12月メキシコ貿易収支(予想:11.57億ドルの黒字)
○22:30   12月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲0.1%)
       12月米個人所得(予想:前月比0.2%)
       12月米PCEデフレーター(予想:前年比5.0%)
       12月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比4.4%)
○24:00   12月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲1.0%/前年比▲35.4%)
○24:00   1月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:64.6)
○中国(旧正月)、休場

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