FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円高や日銀の金融政策会合を前に売りが優勢に

為替市場で対ドルで1ドル=127円台前半と円高に振れたことで、自動車などの輸出関連が軟調だったほか、先週物色された銀行株も広く売られた。一方、明日から始まる日銀の金融政策決定会合を前に、売りが一服した後は投資家の様子見姿勢が強まった。一方、前週末の米国市場で原油先物が7営業日続伸したことを受け、石油関連銘柄には買いが入った。結局、前営業日比297円安の2万5822円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日米金利差縮小を意識した円買いがやや強い

ドル/円は、利益確定や持ち高調整のドル買い・円売りが先行し128.19円付近まで上昇した。しかし、日銀金融政策決定会合のイベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多くみられ、127.90円付近へ下落した。仲値発表後は、東京債券市場で新発10年債国債利回りが、日銀によるイールドカーブ・コントロール(YCC)変動許容幅の上限目安である0.50%を超えて0.51%まで上昇した。日米金利差縮小を意識して海外短期筋などがドル売り・円買いを持ち込み、一時127.23円付近まで下落して約7ヵ月ぶりの安値をつけた。午後は、急ピッチの下げに対する警戒感からショートカバーが入り、一時127.70円付近へ値を持ち直した。東京債券市場で新発10年物国債利回りの上昇が一服したことも、円売りを誘った。ただ、本日はキング牧師誕生日の祝日で米国市場が休場となるため、積極的なドル買い・円売りは目立たなかった。ユーロ/ドルは、1.0860ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

日銀がYCCを維持不可能と判断する可能性:ゴールドマン・サックス証券

17~18日に日銀金融政策決定会合を控える中、ゴールドマン・サックス証券は13日付のリポートで「10年金利バンドの運用方針や各種オペについて多少の変更があったとしても、イールドカーブ・コントロール(YCC)自体は維持されると予想している」との見解を示した。ただ、リポートでは、12日に読売新聞が「大規模な金融緩和策に伴う副作用を点検する」と報じたことで市場でYCCの持続性に懐疑的な見方が広がり、多くの年限で金利が上昇していることを踏まえ、「リスクシナリオながら、日銀がYCCはもはや維持不可能と判断し、大きく巻き戻す方向へと最終的に舵を切る可能性も否定できない。決定会合直前までの市場状況も重要な判断材料となり得るだろう」とも指摘した。その上で、考えられる選択肢として①10年金利バンドを再度拡大する(例えば±0.75%)、②YCCそのものを放棄する、もしくは10年金利のコントロールを断念して、コントロール対象を2年ないし5年にする、③10年金利の指値水準とタイミングを柔軟化する(バンド上限に幾分自由同をもたせる)。また、短期ゾーンへの対応として、例えば低金利資金供給オペを5年まで延期し、増額した各種買入オペと適宜組み合わせることで国債市場の安定化を図るーーの3つを挙げた。現時点の判断では第3の選択肢のがい然性が相対的に幾分高いと指摘した。

 

逆張りでドル買い比率上昇:前週のFX概況

QUICKが16日に算出した13日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から8.3ポイント上昇の69.0%だった。前週は日銀の政策再修正の観測が強まる一方、2022年12月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が鈍化して円の対ドル相場が一時1ドル=127.46円付近と7ヵ月ぶりの高値を付けた。相場の流れに逆らって取引しる「逆張り」の傾向が強い個人のFX投資家は、円の上昇局面で円売り・ドル買いに動いた。円に対するユーロ買い比率は前の週末比で5.7ポイント上昇の36.6%だった。13日には1ユーロ=138.02円付近まで買われるなど円は対ユーロでも上昇し、個人の逆張り姿勢の取引は対ユーロでも活発だった。

 

19日のトルコ金融政策会合が注目点:大統領が選挙控え利下げ要求の可能性も

19日には、トルコ中銀が今年最初の金融政策委員会(MPC)が開催される。足もとのインフレ率は低下したものの、ベース効果によるものであり、依然として64%台と非常に高い水準である。それにもかかわらず、政策が引き締めに転じるのは望むべくもない。逆に、選挙を控えたエルドアン大統領が、景気浮揚を狙った利下げを要求する可能性もある。下サイドへの警戒感は常に持ちながらの取引が良さそうである。

 

南アでは18日の12月消費者物価指数が注目点

今週の南アの経済指標では、18日に発表される南アの消費者物価指数(CPI)に要注目である。市場では前年比で7.4%から7.3%に低下するとの予想になっているが、コア指数は5.0%から5.1%へ上昇するとの予想である。26日にSARBの金融政策委員会(MPC)が開かれることで、インフレ結果次第で、SARBは利上げ幅を判断することになりそうである。もっとも、インフレ高進となり利上げ幅の予想が高まったとしても、金利上昇がランド買いにつながるよりも、スタグフレーション懸念が高まることでランドは売られてしまうのではないかと思われる。

 

メキシコでは利上げペースを緩めるとの思惑

前週に発表された12月メキシコ消費者物価指数(CPI)は前年比で7.82%の上昇となり、前月の7.80%からややインフレの加速が確認された。もっとも、インフレ率は8月と9月に付けた8.70%をピークとして鈍化傾向にあることは変わらず、市場ではメキシコ銀行(中央銀行)が次回の会合(2月9日)で利上げペースを緩めるとの思惑も広がりつつある。

 

米石油リグ稼働数は5基増:US Dashboard

米石油サービス大手ベーカー・ヒューズが13日に発表した石油リグ(掘削装置)稼働数は前週比5基増の623基だった。2022年11月に新型コロナウイルス感染拡大後の最多となる627基まで増加した後、伸び悩んでいるが、回復基調は続いている。米エネルギー情報局(EIA)が11日に発表した週間の石油在庫統計で原油在庫は以上予想に反して大きく増えた。世界景気の減速懸念も根強く、原油価格の上値を抑える要因になっている。

 

過去経験則からS&500は23年は反発の可能性も:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは13日付テクニカルリポートで2022年はS&P500種株価指数の下落率が19.4%と1928年以降では7番目に悪かったことで23年も弱気な見通しを耳にすることが多いとしつつも、「S&500は下落した年の次年には70%確率で上昇し、これは平均と中央値を上回っている。年10%以上の下落を記録した後には、翌年にS&P500が横ばいから上昇の確率が63%だ。23年は大統領サイクルの3年目でもあり、これはサイクルの最良の年であり、中間選挙年の下落後にS&P500が80%の確率で上昇していることを示している」との見解を示した。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月独卸売物価指数(WPI)
○22:30   11月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.5%)
○24:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議、スイス・ダボス、20日まで)
○ユーロ圏財務相会合
○米国(キング牧師誕生日)、休場

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