FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:心理的節目となる2万6000円が上値目処として意識

前日の米国市場で、米連邦準備理事会)(FRB)のパウエル議長の講演で金利政策への言及がなかったことで米引き締めへの過度な警戒感が和らいだ安心感から米国株高となっており、日経平均株価も好感する動きが先行した。心理的節目2万6500円を視野に捉える場面もあったが、利益確定や戻り待ちの売りが上値を抑え、前引けにかけて伸び悩んだ。12日には米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されるほか、米国では企業決算も控えており、警戒感もくすぶった。結局、前営業日比270円高の2万6446円と4営業日連続で終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利や日経平均株価睨みで132円台前半推移

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、132.35円近辺へ上昇した。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りにつながった。仲値発表後も堅調地合いは続き、昼前には一時132.57円付近まで上昇する場面があった。午後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、やや値を下げて132.20円前後で取引された。明日発表される12月消費者物価指数(CPI)のイベントを前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)が積極的に利上げを実施するとの思惑から、ユーロ買い・ドル売りが優勢になり、1.0750ドル台へ上昇した。

 

個人は1年後の物価予想:日銀調査

日銀が11日発表した2022年12月『生活意識に関するアンケート調査』によると、1年後の物価が『上がる』(「かなり上がる」と『少し上がる』の合計)と回答した個人の割合は85.0%と前回22年9月調査(85.7%)から小幅に低下したものの『1年後の物価は何%程度変化すると思うか』との質問への回答は平均+9.7%と前回(+8.5%)から上昇した。

 

顧客が米国株を3週連続で売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの10日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は先週(3~6)の1週間に米国株を13億8900万ドル売り越した。3週続けて売り越しとなった。この週は米雇用統計で平均時給が市場予想を下回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化懸念が和らぎ、S&P500種株価指数は週間で1.44%高となって5週ぶりに反発した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が3億4700万ドル売り越して3週続けて売り越した。機関投資家は23億9500万ドル売り越して9週ぶりに売り越しに転じた。個人投資家は11億1600万ドルの売り越しで4週連続で売り越した。1月に個人投資家が買い越しに転じる傾向『1月効果』はまだ確認されていない。企業の自社株買いは26億5000万ドルと前週から加速したものの、前年同期の水準を下回った。セクター別では11のセクターのうち7セクターが買い越しとなった。足元ではTMT(テクノロジー・メディア・通信)への資金流入が顕著で、2022年を振り返ってみれば他のセクターの2倍の流入があったという。金融への流入もハイテクに次いで2番目に多く、3週連続で買い越しだった。

 

世銀は世界経済成長を1.7%に下方修正

世界銀行は10日、2023年の世界経済の実質成長率見通しを1.7%と発表、半年前の3.0%から下方修正した。高インフレと、それに対応した各国中銀の利上げで世界経済が景気後退入りする恐れがあると警告した。先進国は0.5%と、前回から1.7%引き下げた。米国は0.5%、ユーロ圏はゼロ成長、日本は1.0%と予想。新興国の成長率見通しは4.2%から3.4%に下方修正、中国は4.3%と予想した。

 

トルコ大統領が景気浮揚を理由に利下げ要求の可能性も

昨日発表された11月トルコ鉱工業生産(前月比)は1.1%減と予想の0.9%減を僅かながらも下回った。足もとのトルコ経済の弱さが証明されてしまい、選挙を半年以内に控えたエルドアン大統領が景気浮揚を理由として利下げ要求を強めてくるかもしれない。少なくとも、『インフレを低下させるために金利を引き下げる』という非正統的な金融政策は続いてしまう。

 

南アでは電力負荷制限のステージ急上昇

昨日発表された国営電力会社エスコムの電力負荷制限がステージ6まで急上昇したことである。夜間だけとは言え、このステージ6の停電は『今後停止を発表するまで継続的に行う』としている。もともと電力不足解決の糸口がまったくなかったとはいえ、いきなりステージ6まで上昇し、継続的に行うことは南ア経済の先行き懸念が深まりそうである。市場は明日発表される米国の12月消費者物価指数を見極めるまで動きにくい。

 

GDPナウが上昇したことで米景気減速懸念は緩和方向:US Dashboard

米アトランタ連邦準備銀行は、リアルタイムに米経済成長を予測することを目的として『GDPナウ』を独自に算出している。10日時点での2022年10~12月期の同指数は4.1%と前回(5日時点)の3.8%から引き上げられた。6日に発表された米雇用統計、米サプライマネジメント協会(ISM)の非製造業景況感指数、10日の米卸売売上高を受けて、10~12月期の実質個人消費支出の伸びが5日時点の3.2%から3.5%へ、実質民間国内総投資の伸びが同5.8%から6.8%へと増加した。22年11月16日時点での4.4%には届いていないものの、11月23日時点の4.3%以来の高水準である。ISM非製造業景況感指数の50割れというマイナス要素の影響が限定的だったことはサプライズだった。米FRBによる積極的な利上げが米景気を減速させるとの懸念を和らげることになる。

 

米長期債券や新興国株式を選好:ガンドラック氏

米大手運用会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は10日の投資家向けウェブキャストで、「債券市場は非常にエキサイティング」と述べた。急激なインフレに対する米FRBの対応が遅れたことで2022年は多くの資産が売られたが、今は多くの市場が魅力的に見えるという。米CNBCが伝えた。債券については米長期金利を選好している。格付けがトリプルAno商業用不動産ローン担保証券(CMBS)も買い場と指摘した。株式は米国以外の株式、とりわけ新興国株式を好むという。米ドルは下落すると予想している。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ経常収支(予想:41.0億ドルの赤字)
17:35   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   11月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.9%)
○21:00   11月メキシコ鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%)
○23:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○12日00:30   EIA週間在庫統計
○12日03:00   米財務省、10年債入札
○12日04:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○日英首脳会談(ロンドン)
○加・メキシコ首脳会談(メキシコシティ)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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