FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は戻り待ちや利益確定売りが上値抑える

日経平均株は、前週末に発表された12月の米雇用統計では賃金の伸びが緩やかで、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め長期化懸念が和らいだことが好感され、寄り付きから買いが強まった。しかし、買い一巡は、今週発表される12月消費者物価指数(CPI)や米企業決算に向けられており、戻り待ちや利益確定の売りが上値を抑えた。結局、前営業日比201円高の2万6175円と3営業日続伸となった。12月第4週(26~30日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1782億円買い越した。買い越しは5週ぶりとなった。個人投資家は307億円売り越しとなり、売り越しは5週ぶりとなった。信託銀行は62億円の売り越しとなり、売り越しは7週連続となった。

 

東京外国為替市場:ポジション調整的な動きで上下振れる

ドル/円は、本邦輸入勢からまとまったドル買い・円売りが入り、132.20円付近まで上昇した。しかし、本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、131円台後半へ押し戻された。その後、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの思惑がやや後退していることで、海外短期筋などがドル売り・円買いに動き、一時131.39円付近まで下落した。しかし、下値では値ごろ感からドル買いを戻す動きも見られ、131.80円付近へ値を切り返す値動きとなった。午後は、持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、132円台へ乗せる場面があった。しかし、今晩予定されているパウエルFRB議長の討論会を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後、朝方に発表された12月東京都区部消費者物価指数・CPIの強い数字で、日銀が物価見通しを上方修正するとの思惑からドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて131.70円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米国の利上げペースが鈍化するとの観測から、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.0740ドル台へ値を上げた。

 

ドル買い比率は昨年10月以来の低水準:前週のFX概況

QUICKが10日に算出した6日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は60.7%と前の週末から4.2ポイント低下した。昨年10月半ば以来の低水準となった。前週は米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長引くとの見方から円相場が1ドル=134円台後半まで弱含む場面があり、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略を取る傾向が強い個人投資家による円買い・ドル売りが増えた。FRBが4日公表した2022年12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、参加者は「インフレが持続的に2%に向かうと確信するまでは時間がかかり、引き締めを維持する必要がある」との認識を示していた。FRBの金融引き締めが長期化するとして円には下押し圧力がかかっていた。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は前の週末から7.8ポイント低下の59.8%と昨年11月上旬以来の低水準となった。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は2.8ポイント低下の30.9%だった。

 

23年の中国GDP成長率見通しを5.7%増に引き上げ:モルガン・スタンレー

モルガン・スタンレーは最新リポートで、2023年の中国の国内総生産(GDP)成長率見通しをこれまでの前年比5.4%増から5.7%増に上方修正した。中国で『ゼロコロナ』政策の終了で経済活動や海外との往来の再開が加速していることや、不動産市場への支援策、IT企業への監督管理強化の緩和などを理由に挙げた。『AAストックス』が10日伝えた。モススタは、防疫措置の緩和で短期的な『痛み』が伴うが、予想よりも早く力強い回復でカバーできるとの見方を示した。GDP成長や消費の回復は23年下記に大幅に加速することを予想した。また、中国の経済、監督管理、防疫に関する政策がここ4年間で初めて方向性が一致となり、政策緩和の効果が一層高まるとした。23年の中国のGDP成長率について、ゴールドマン・サックスは4.5%増から5.2%増に、JPモルガンは4.4%増にそれぞれ上方修正している。

 

トルコの経常赤字拡大懸念:リラ安懸念高まる

一部通信社の調べでは、2022年のトルコ経常赤字は約480億ドルと550億ドル超の赤字を記録した2013年以来の水準まで赤字が拡大すると見込まれている。21年は73億ドル弱の赤字であり、政府が目指す黒字化から更に遠ざかることになる。

 

南アの中銀の独立性が無くなる懸念がランドの重し

昨日、与党アフリカ民族会議(ANC)のマンタシ議長が、南アフリカ準備銀行(SARB)の目的(任務・権限)の変更について『与党間で合意した』と発言したことがランド売りの要因である。これに関してラマポーザ大統領は「(権限変更には)憲法改正が必要で、今後議論される」と発言し、否定はしなかった。ANCは米国や豪州のようにSARBにも『雇用の促進』を目的に加えるように要求している。南アの失業率は世界でも最悪水準ということもあり、ANCにも負担を強いようとしている。現時点ではANCが憲法改正を行うための議席(全議席の3分の2)を保持していないことで、すぐに憲法を改正することはできない。しかしながら、市場は中銀の独立性が無くなることに懸念を示し、ランドが重くなっている。昨年のファラファラ疑惑以来、ラマポーザ大統領を始め、ANCが半ば強引とも思われる政治手法をとっていることも、今後の南アの動向には重くのしかかりそうである。

 

NY連銀の1年インフレ期待が21年7月来の水準

NY連銀が発表した12月の消費者インフレ期待は、小幅低下となった。1年の中間インフレ期待は5%と、11月の5.2%から0.2%低下し21年7月以来の低水準。3年はかわらず。5年は2.4%と、2.3%から0.1%上昇した。連邦準備制度理事会(FRB)が注視しているインフレ期待の低下で一段の利上げ減速観測が強まった。

 

FRBは過剰利上げの回避は『困難』:オバマ政権時代の高官指摘

オバマ政権時代に大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたクリスティーナ・ローマー氏は7日夜、米連邦準備理事会(FRB)が経済にショックを与えてインフレ率を押し下げようとする取り組みはまだ初期段階にあるとし、必要以上に金利を引き上げてしまうリスクを回避するのは困難との見方を示した。ニューオーリンズで開催された米経済学会(AEA)年次総会での基調講演で述べた。
現在はカリフォルニア大学バークレー校の経済学教授であるローマー氏は、FRBはこの1年に政策金利を4%ポイント以上引き上げており、『今はまさにその効果が表れ始める時期に入っている』と指摘した。『タイムラグがあるため、政策立案者はいつ利上げをやめるか、あるいは軌道修正するかという非常に難しい決断に迫られる』と述べた。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ失業率
○16:00   11月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲0.9%)
○16:00   12月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比6.1%)
○16:45   11月仏鉱工業生産(予想:前月比0.8%)
○18:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、マックレムカナダ銀行(BOC、中央銀行)総裁、スウェーデン中銀(リクスバンク)主催のイベントに参加
○21:00   12月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.60%)
○23:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、リクスバンク主催のイベントに参加
○24:00   11月米卸売売上高(予想:前月比0.5%)
○11日00:35   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○11日01:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○11日03:00   米財務省、3年債入札
○北米3カ国首脳会談(最終日)

 

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