FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:相場の節目の2万6000円が意識される展開

米国株の大幅安を嫌気して下げて始まったものの、スタートは2桁の下落にとどまり、寄り付き直後を安値に切り返した。プラス圏に浮上したころでしばらく前日終値近辺でもみ合ったが、業種問わず売買代金上位銘柄の動きが良く、上げ幅を拡大した。しかし、前場は節目の2万6000円こそ超えられなかったものの、高値圏で前場の取引を終えた。後場からも強い地合いが続いたが、日本時間今晩に12月米雇用統計の発表を控え、節目の2万6000円を上回る水準では戻り売りに押された。結局、前営業日比153円高の2万5973円と続伸した。

 

東京外国為替市場:円売り材料に海外短期筋が反応

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、133.80円付近へ上昇した。日銀が臨時の国債買い入れオペを通知したことで、日米金利差拡大が意識されたこともドル/円の押し上げ要因となった。午後に、一部メディアが『中国当局は三条紅線(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制を緩和させる計画がある』と報じると、これを好感して豪ドル/円は90円台後半へ急伸した。ドル/円は、豪ドル/円の豪ドル高・円安が波及、133.95円付近へ上昇した。その後、日銀関係筋の話しとして『日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の再修正を急がない』との一部報道が伝わると、海外短期筋などがドル買い・円売りを持ち込み、一時134.37円付近まで急上昇した。ユーロ/ドルは、1.05ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

出口元副総裁が新総裁に有力なら:野村証券

4月に日銀の黒田総裁の任期切れを控え、今後、日銀によるETFの買入策も修正されるのかどうかについて、野村証券は5日付のリポートで「当面は現行の買入れ方針が維持されるとみている」との見解を示した。リポートでは、方針を維持しつつ買入れ頻度をさらに減らすといったオペレーション上の修正は相応の可能性があろうとしながら、「ETF買入れの政策変更を行う場合、ETF出口戦略を連想させない慎重なコミュニケーションが求められる」と指摘した。ETF買入の正常化の優先度は低いとみていた。その一方、「1月中に決まるとされる日銀新総裁の人選によっては、出口戦略に対する警戒が高まるリスクが考えられる。相対的に市場の警戒が高まりやすいのは、出口元日銀副総裁の新総裁就任が有力視される場合だろう」とも指摘した。21年2月24日付のロイター通信のインタビュー記事で同氏は、明確にETF買入れに対する反対姿勢を示しているといい、「同氏の新総裁就任によりETF買入れ策の停止及びその先の出口戦略に近付くとの連想を招くリスクがある。その場合、株安に加えてNT倍率低下が見込まれる」と見込んでいる。

 

中国では不動産市況の安定を支える長期的な仕組みを構築:人民銀

中国人民銀行と銀行保険監督管理委員会は5日、住宅ローン金利を信託住宅の販売価格に連動させて調整する制度を公表した。新築住宅価格が前年同月比、前月比でともに3ヵ月続けて下落した都市は、1軒目住宅購入者向けローン金利の下限を維持するか、引き下げるか、撤廃するかを決められる。各都市の実情に応じた住宅ローン規制の運用により、住宅の実需に応え、不動産不況の安定を支える長期的な仕組みを構築するとした。

 

トルコのネット外貨準備高が増加基調:リラの強さには繋がらず

トルコ中銀が昨日発表した昨年末時点のネット外貨準備高は275.4億ドルと前週比9億ドル弱の増加だった。金融当局がリラ買いドル売り介入を実施していた1年前と比べると約3.3倍の拡大幅ではあるが、410億ドルを超えていた2019年当時には及ばない。他中銀との通貨スワップ頼みが市場に見透かされており、リラの対ドルでの強さにも全く繋がっていない。ところで昨日はトルコ株が急落した。代表的な株価指数であるイスタンブール100は下げ幅を7%超まで広げている。低金利政策などを背景に株式市場に資金が流入し、指数は年始に過去最高値を更新した。高値警戒感が広がるなか米金利先高観が再び強まったことを受けてリスク資産売りが進み、トルコ株投げ売りに繋がった。

 

南アでは大雨警報が出ており事態を見守る必要

南ア国内のイベントではないが、今週に入りハウテン州を中心に大雨が続いていることには注目である。悪天候で道路が陥没したり、地下鉄も水没するなどの状態に陥っている。昨年も大雨や洪水により、南ア経済は大きな痛手を被った。また、復旧のために大規模な予算を組まねばならず、財政的にも悪影響を及ぼした。現時点では昨年ほど被害は拡大していないが、依然として大雨警報が出されており事態を見守る必要がある。

 

メキシコでは昨年末に労働法の改正令:人件費増加懸念の声も

メキシコでは昨年末に労働法の改正令が公布された。勤務開始から1年が経過した労働者に与えられる有給休暇が6日から12日に増加し、その後は毎年2日ずつ増加し、5年後には20日となった。これにより、労働者の労働生産性を向上させるとの意見がある一方で、企業の人件費を増やすためマイナスとの声もある。

 

メキシコ中銀は2月の追加利上げ検討:議事要旨

メキシコ中央銀行が5日公表した昨年12月の金融政策決定会合議事要旨によると、中銀は2月9日に予定している次回会合で追加利上げを検討していることが分かった。議事要旨には『政策委員会は次回会合でなお利上げが必要かを検討している。その後は、さらに政策金利の調整が求められるか、また調整のペースは適切かを、全般的な条件に基づいて検証していく』と記されている。中銀は12月15日の会合で政策金利を50bp引き上げて10.50%とすることを決めた。それまでは4回連続で75bpの利上げを実施してきたが、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めたことに追随した。

 

暗号資産融資のジェネシスが破産申請を検討:米WSJ

米WSJ紙によると、暗号資産(仮想通貨)融資の米ジェネシス・グローバル・トレーディングは5日、従業員の30%をレイオフした。連邦破産法11条の適用申請を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社の経営悪化が改めて浮き彫りになった。関係筋によると、同社は投資銀行モーリス・アンド・カンパニーと共に将来の選択肢を評価している。ジェネシスの広報担当者は、『顧客資産を保全し、事業を前進させるために』アドバイザーと作業を行っていると述べた。ジェネシスは、経営破綻した投資会社アラメダ・リサーチと暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタルへの融資で巨額の損失を計上している。両社ともに昨年、連邦破産法第11条の適用を申請した。

 

米国市場では12月雇用統計が公表:結果次第で相場は荒れ模様

米労働省が発表する最新12月雇用統計で失業率は依然歴史的な低水準を維持する見通しとなっている。また、非農業部門雇用者数も前月比+20万人と順調な伸びが予想されている。先行指標のひとつ民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の12月分は+23.5万人となり、伸びは予想を上回り10月来で最大となった。算出方法が見直されたADP雇用統計は労働省が発表する雇用統計の雇用者数を下回る傾向があるとされており、ポジティブサプライズとなると、ドル買いにさらに勢いがつく可能性がある。
そのほかの先行指標となる全米の製造業の活動を示すISM製造業の12月分の雇用項目は51.4と、11月に48.4と活動の縮小域である50割れとなったのち、50を回復し、8月以来で最高となっており、強い結果を示唆している。

 

■市場予想:失業率:3.7%(10月3.7%)非農業部門雇用者数:前月比+20万人(+26.3 万人)民間部門雇用者数:前月比+18.3万人(+22.1万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+5.0%(+0.6%、+5.1%)

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比▲5.9%)
○16:00   11月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.5%/前年同月比▲5.8%)
○16:30   11月スイス小売売上高
○16:45   11月仏消費支出(予想:前月比1.0%)
○18:30   12月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.6)
○19:00   12月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:94.7)
○19:00   12月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲22.2)
○19:00   12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比9.5%)
○19:00   12月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比5.1%)
○19:00   11月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比▲3.3%)
○19:35   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:30   12月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化0.80万人/失業率5.2%)
○22:30   12月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化20.0万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.4%/前年比5.0%)
○24:00   12月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   12月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.0)
○24:00   11月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.8%)
○7日01:15   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○7日01:15   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○7日01:15   クック米連邦準備理事会(FRB)理事、パネルディスカッションに参加
○7日02:15   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○7日03:00   ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演
○ポーランド、スウェーデン(公現祭)、ロシア(新年休暇)、休場

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