FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易摩擦激化への過度な懸念後退で買い優勢

前日の米国株が大きく上昇し、市場心理が改善した。米中貿易摩擦への過度な懸念が和らいだとして『中国関連』が多いとされる機械株などに見直し買いが入り、相場を押し上げた。また、外交為替市場で円安・ドル高となったことも下支えとなった。短期筋による先物の買いも相場を押し上げた。市場では『海外の短期筋には20日投開票の自民党総裁選で安倍首相の3選が決まれば一段と株価上昇を後押しするとの期待がある』との指摘もあった。結局、前日比251円高の2万3672円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は大方112.30円でもみ合う展開

ドル/円は、短期筋などの利益確定売りが先行し一時112.23円まで下げた。しかし、日経平均株価が大幅高となったことから下押しは限られ112.30円台でもみ合う展開となった。日銀金融政策決定会合では、現状維持を賛成多数で決定したものの、市場の反応は限られた。午後は中国の李克強首相が『中国の一部製品に対する輸入関税の引き下げをさらに進める』と発言したことが好感され、112.43円まで上昇した。しかし、節目となる112.50円が意識されると持ち高調整などのドル売り・円買いに押し戻された。その後は15:30に予定されている黒田日銀総裁の記者会見を控えて様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で方向感の乏しい展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中貿易摩擦激化で米長期金利上昇の火種も

米国政府による追加関税発表を受け、米中貿易協議において中国は当初予定していた劉鶴福首相率いるハイレベルの代表団ではなく、次官級レベルの代表団を送ることを検討しているという。そうなった場合、貿易摩擦問題の解決がさらに遠のくことになる。 中国のレバレッジは、米国に比べ低い。報復の手段としては、人民元の切り下げや、米国債の購入を控えることなどが考えられる。 米国の財務省が18日に発表した最新7月の対米証券投資収支によると、中国の米国債保有額は77億ドル減少し1.17兆ドルと、6カ月ぶりの低水準となった。一方、日本の米国債保有額は51億ドル増加し、1.04兆ドルとなった。外国人投資家による米国債保有率は41.44%。前年同月の44.31%から低下した。 外国人投資家による米国債購入が控えられることは、長期債利回りの上昇にもつながり、長短利回り曲線の平坦化の改善にもつながる。

 

日米の通商交渉を控えてトランプ大統領の発言に注意

日米の通商交渉では、21日に閣僚級の第2回協議が調整されている。その後はNY国連総会の場で9月末に日米首脳会談が予定されており、それまではトランプ米大統領の恫喝けん制や、円安阻止に向けた為替条項の盛り込み圧力を含めて、円高と日本の株安要因として警戒される。ただし、米国が要求する日米2国間の自由貿易協定には、是非を含めた交渉に相応の時間を要する。そのため月末の首脳会談では、安倍首相が米国からの農産物・シェール資源・防衛装備品の購入や米国でのインフラ整備の協力、日本企業による米国現地生産の拡充などで『最大限の努力検討』を約束。具体策や2国間協定の協議入りなどは先送りさせつつ、トランプ氏の中間選挙対策に花を持たせながら、圧力緩和を講じる可能性がある。

 

米財政赤字1兆ドルは懸念すべきか

10月に米国の会計年度が始まる。議会の奇跡的な行動がなければ、年間1兆ドル規模の財政赤字が復活することになる。公的債務は、9月末の15兆7000億ドル、国内総生産(GDP)比78%から、10年後には28兆7000億ドル(同96%)に増加することになる。米議会予算局(CBO)によるこの予想は、経済成長率、インフレ率、雇用および金利に関する妥当な想定に基づいているが、幾つかの重要事項を含んでいない。米国土木学会は2025年までに1兆4000億ドルのインフラ投資が必要としている。

 

米国市場では8月の住宅着工件数が公表

参考となる7月実績は116.8万件で6月実績を上回ったが、126.4万件程度に届かなかった。8月については先行指標である住宅着工件数は、7月分が前年比+1.5%の増加となり、4ヵ月ぶりにプラスに転じた。そのため、7月実績を上回ると予想される。ただ、米国では住宅建設に関連した建築資材、建築、労働賃金のコスト上昇傾向にある。不動産価格も上昇傾向が続いていおり、住宅着工にマイナス要因となる。高齢化の進展や移民制限などもあって、米国の住宅指標が伸び悩むリスクも残る。

 

欧米イベント

○17:00   8月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比5.2%)
○17:00   7月ユーロ圏経常収支(季節調整済み)
○17:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30   8月英CPI(予想:前月比0.5%/前年比2.4%)
      小売物価指数(RPI、予想:前月比0.6%/前年比3.2%)
○17:30   8月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.1%)
○18:00   7月ユーロ圏建設支出
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   4-6月期米経常収支(予想:1035億ドルの赤字)
○21:30   8月米住宅着工件数(予想:123万5000件、前月比5.7%)
        建設許可件数(予想:131万件、前月比0.5%)
○22:00   8月ロシア失業率(予想:4.7%)
○22:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○20日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○欧州連合(EU)非公式首脳会議(オーストリア・ザルツブルク、20日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ