FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日米国株高と円高一服から買い優勢に

米国市場で主要3指数が上昇したことや円安を受けて、東京市場でも値がさ株を中心に買いが入った。買い一巡後は前引けにかけて伸び悩む展開になった。前日の米国市場では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)やハイテク株比率が高いナスダック総合指数が反発したことから、東京市場でも半導体関連銘柄が買われた。このところ続いていた円高が一服し、対ドルで円安が進んていることこから、輸出関連銘柄の一角は底堅く推移した。一方、前日買われていた銀行や保険株は軟調だった。結局、前営業日比103円高の2万5820円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢からのドル買いで132円台半ばでもみ合い

ドル/円は、前日の海外時間に急伸した反動から、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いが入り、132円台前半へ水準を切り下げた。日銀が金融緩和をさらに修正するとの思惑が浮上していることも、ドル/円の押し下げ要因となった。東京市場でも軟調地合いは続き、132円を割り込んで一時131.69円付近まで下落した。ただ、今晩予定されている米経済指標や米FRB当局者の発言を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み、値を切り返して132.00円を挟んでもみ合いとなった。午後は、米長期金利上昇を眺めて海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、132円台半ばへじり高となった。国内債券市場で新発10年物国債利回りが低下し、日米金利差が拡大したこともドル/円の上昇につながった。ユーロ/ドルは、1.06ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコの総選挙は前倒し実施の可能性

一部独メディアが報じたところによるとエルドアン・トルコ大統領は、国政で協力関係にある民族主義者行動党(MHP)の党首と総選挙の前倒しに暫定合意した。報道によれば、これまでの6月18日予定から4月末または5月前半に実施される可能性が高まったとされている。一方、野党サイドはより早期の選挙を望んでいると独メディアは述べている。というのも、4月6日に施行される選挙改正法が野党不利に働くと見られているからである。ただ、大統領選に向けて野党連合は統一候補をいまだ選べていないことが不安視されている。

 

南アの政治情勢には要警戒:国民の不満がたまりつつある

昨年から開催されている、南ア与党・アフリカ民族会議(ANC)の会議が週末にかけて終了するが、ANC内ではラマポーザ大統領を礼賛するコメントが目立つ。しかし、多くの新聞などに掲載される風刺画では、ファラファラ疑惑の解明などがされず、電力不足も悪化傾向なこともあり、大統領を皮肉るものが増えている。南アの経済学者の中では、エネルギー価格の低下もあり、3月からはインフレが徐々に低下するとの予想も高まっている。しかしながら国民の不満がマグマのようにたまりつつあることで、今年の南アの政治情勢には要警戒となる。

 

メキシコのトウモロコシの生産量は需要をまかなえず

メキシコ農務省は先月、トウモロコシ(コーン)の2022年年間生産量が2730万トンになる見込みと報告した。メキシコの主食トルティーヤの材料であるコーンの国内総需要は4400万トンであり、不足分の1660万トン(約38%)を輸入品で補った計算となる。主に不足しているのが家畜肥料用のコーンであり、その多くは米国などから輸入した遺伝子組み換えコーンである。その一方で、政府は24年までに遺伝子組み換えコーンの輸入を段階的に廃止する方針である。専門家は国内のコーン生産量が緩やかなペースでしか伸びていないことから、今後は国内で深刻な食糧不足が起きる可能性があると警鐘を鳴らしている。

 

米アマゾンは計画を上回る人員削減:WSJ

米アマゾン・ドット・コムは1万7000人以上の従業員を削減する方針である。当初計画の約1万人を上回る見通し。米WSJ電子版が事情に詳しい関係者の話しとして報じた。アマゾンは2022年11月からデバイスや採用、小売部門を中心に人員削減を開始していると発表した。

 

12月FOMC議事要旨では高インフレは想定より根強い可能性も

参加者は高インフレが想定より根強くなるリスクに言及した。早期の利下げ転換には慎重な考えを示した。23年中の利下げを見込む市場と認識が食い違っている。この会合では0.5%の利上げを決定し、利上げ幅を4会合連続で続いた0.75%から圧縮した。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.25~4.5%になった。同時に公表した経済見通しの中央値ではこの水準が23年末時点で5.1%となり、9月に示した前回見通しの4.6%から上方修正された。多くの参加者が『これまでの金融引き締めの累積効果と、実体経済に波及するまでの時間差を考慮することが適切』と述べ、利上げペースを落として政策金利の到達点を見極める姿勢を示した。参加者は利上げの減速によって、引き締め姿勢が緩んだとみられることを警戒している。先行きの利下げ転換を見通した長期金利の低下によって、引き締め効果が薄まってしまうためである。参加者は『金融環境が不当に緩和されれば、物価安定を回復するための努力を複雑にしてしまう』と懸念を示した。

 

米11月JOLT求人件数:労働市場依然強い

米労働省が発表した米11月JOLT求人件数は1045.8万件と、予想1005.0万件を上回った。10月分も1051.2万件と、1033.4万件から上方修正された。求人件数は3カ月連続で予想を上回った。また、2カ月連続で総失業者数を440万超上回る状況となった。1人の失業者に対し1.74の求人があることになり、この水準はコロナ前の1.2の水準に戻していない。ウォールストリート紙のFedウォッチャーによるとFRBはこの水準を1前後での均衡させたいようだ、と指摘した。採用は引き続き減少し605.52万人と21年2月来の低水準となった。労働市場の雇用者の自信を示すと注目の自主退職者数は予想外に12.6万件増の417.2万人。退職率(Quits rate)は2.7%と高く、賃金の上昇を抑えたいFRBにとり困難な課題となる。労働者に有利な環境下で、賃金次第で、労働者が短期でも職を転々と変えている可能性も指摘されている。

 

ヘッジファンド14年ぶり米株指数上回る

米調査会社『ヘッジファンド・リサーチ』(HFR)集計によれば、ヘッジファンド総合指数(ファンド数で単純平均)は22年1-11月の収益率が-4.11%とマイナスとはいえ同時期の収益率(配当含む)-17.7%だった米S&P500指数を上回る見通しである。2022年は米FRBなど世界の中央銀行の金融引き締めにより株式・債券相場がそろって下落、相場転換期に機敏に反応して戦略を切り替えたヘッジファンドが波乱相場を乗り切り、14年ぶりに米株式指数を上回る運用成績を達成する見通である。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独貿易収支(予想:75億ユーロの黒字)
○18:30   12月英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:50.0)
○19:00   11月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.9%/前年比27.5%)
○21:30   12月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○22:15   12月ADP全米雇用報告(予想:15.0万人)
○22:30   11月カナダ貿易収支(予想:6.1億カナダドルの黒字)
○22:30   11月米貿易収支(予想:730億ドルの赤字)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/170.8万人)
○23:20   ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○23:45   12月米サービス部門PMI改定値(予想:44.4)
○23:45   12月米総合PMI改定値
○6日01:00   EIA週間在庫統計
○6日03:20   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○ロシア(新年休暇)、休場

 

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