FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日米国市場の下落の流れに連れた売り優勢に

今年最初の取引となった前日の米国市場で主要3指数が下落した流れを受け、幅広い銘柄が売られた。前日の米国市場では特に米アップルなどのハイテク銘柄が売られ、東京市場でも半導体関連や電子部品が軟調となった。また、前日に一時129円台を付けたか合わせの円高・ドル安も、輸出関連株の売りを誘って重しとなった。一方、日銀が金融政策緩和策を修正するのではないかとの思惑から、利ザヤ改善期待で銀行株は堅調に推移した。結局、前営業日比377円安の2万5716円と2022年3月15日以来9カ月ぶりの安値となった。大発会に日経平均が下げるのは、2021年以来2年ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:売買が交錯して130円台後半のもみ合い相場

ドル/円は、日銀が金融緩和をさらに修正するとの思惑からドル売り・円買いが優勢になり、130.80円台へ値を下げた。日経平均株価の大幅安で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。その後、仲値に向けて本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み、131.00円近辺へ値を戻した。ただ、仲値発表後は、米長期金利を眺めたドル売り・円買いに押され、130.60円付近へじり安となった。午後は、利益確定やポジション調整のドル買い・円売りが見られ、一時130.90円台へ持ち直した。「中国が豪州産石炭の輸入について、部分的に会場することを検討している模様」との一部報道が伝わり、これを好感した豪ドル/円の豪ドル高・円安が波及した面もあった。ユーロ/ドルは、1.0560ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀がインフレ見通し引き上げなら新総裁に向けて政策修正期待は維持

野村証券では4日付のリポートで「130円割れまでの円高の原動力となっているのは、日銀への更なる政策修正への思惑であろう」との見解を示した。リポートでは、12月29日には産経新聞が日銀の山口元副総裁が次期総裁候補として浮上と報じたことについて「山口氏は白川体制下の副総裁であり、黒田体制を支えてきた雨宮現副総裁や中曽全副総裁と比較して、市場ではタカ派色が強いとの見方が強そうだ』と指摘。その上で、仮に山口氏が新総裁に任命された場合、「金融政策に変化をもたらしたいとの岸田政権の意向が市場でより強く意識される。タカ派色の強い山口氏の可能性浮上により、日銀総裁人事の為替市場への影響はより大きくなりそうだ」と見込んだ。その一方、日経電子版が「日銀が1月会合でインフレ見通しの上方修正を検討」と報じたことについては「黒田総裁は12月会合での10年債利回り許容変動幅拡大について、利上げではないとの見解を繰り返しており、黒田体制下での追加的な政策修正の可能性は低い」としながら、「しかし、報道通りに日銀のインフレ見通しが引き上げられた場合、新総裁就任に向けた政策修正期待が維持されやすくなるだろう」とみていた。

 

日銀がホームページをリニューアル

日本銀行が1月からホームページをリニューアルしました。見やすさ重視、検索機能向上などの改善を図ったとしており、パット見た感じの印象はスタイリッシュになった。ただ、否定的な見方もあり、これまでページ上位に表示されていた金融市場調節(マネタリーベース、日銀当預残)がページ再下層への表示に格下げされており、日銀が金融市場調節をあまり重要視していないのではないかと良からぬ妄想が頭を駆け巡る。

 

ドル買い比率は64.9%に上昇:前週のFX概況

QUICKが4日に算出した外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は2022年12月30日時点で64.9%と前の週末から3.6ポイント上昇した。2022年最終週(12月26~30日)の外為市場では、年滅にかけて持ち高調整などの円買い・ドル売りがみられた。日銀が同年12月の金融政策決定会合で金融緩和の修正に踏み切ったことなどをきっかけに、さらなる政策修正に動くとの観測も残る。相場が円高・ドル安方向へ振れた場面で、相場の流れに逆らう「逆張り」の毛郁夫が強い個人投資家は円売り・ドル買いに動いた。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率は2.7ポイント上昇の33.7%、「豪ドル/円」取引では豪ドル買いの比率が2.5ポイント高い67.6%となった。

 

ドイツ消費者物価は2ヵ月連続の鈍化

3日に発表された2022年12月の欧州連合(EU)基準のドイツ消費者物価指数(HICP)は前年同月比9.6%上昇と市場予想の10.3%上昇を下回った。1996年以降で最大の伸び率となった10月の11.6%上昇から、11月の11.3%上昇に続き2ヵ月連続で伸びが鈍化し、4カ月ぶりに10%の大台を下回った。前月比でも1.2%低下と市場予想0.9%以下を下回るインフレが示された。国内基準の消費者物価指数でも前年同月比8.6%上昇と市場予想9.0%を下回和り、財(モノ)の価格が同13.9%上昇と11月の17.1%上昇から大きく伸びが鈍化した。一方、サービス価格は3.9%上昇と10月の4.0%上昇に近づいた。HICPの伸び鈍化で3日の欧州債券市場では独長期金利が低下した。しかし、12月31日には欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が「賃金上昇ペースは想定以上、物価への影響警戒」、3日にはECBメンバーのラトビア中銀総裁が「2月と3月に開く次回2会合で、金利を大幅に引き上げる可能性がある」など、ECBがタカ派姿勢を緩める気配は示されていない。

 

トルコの物価高から脱することができるのはまだ先

12月トルコ消費者物価指数(CPI)は前月比・前年比とも市場予想を下回った。前年比は64%台と前回値から約20%も下振れした。これを受けて一部メディアは、エルドアン大統領の公約が守られたとし、6月に予定されている大統領選で現職再選の可能性が高まったと報じている。ネバティ・トルコ財務相も昨日、昨年の記録的なインフレ率は『世界中の困難な状況』のせいとし、今後はより良い未来がくるとツイートした。国民は今後、政府のインフレ対策の効力を感じることになるだろうとも述べた。もっとも、インフレ率自体はアルゼンチンを除いた新興国のなかで最も悪いという状況に変わりはない。信頼性が高いとされる民間の調査機関によれば、140%弱のインフレが算出されている。トルコ経済や国民がコスト高・物価高から脱することができるのはまだまだ先のようである。

 

南アでのエネルギー価格の引き下げは朗報

エネルギー基準価格について、今月からディーゼルとガソリンの価格はともに大幅に引き下げられることになる。ガソリン価格はリッター当たり2.06ランド引き下げられ、ディーゼルもリッター2.81ランドから2.69ランドに引き下げられる。インフレ高騰に苦しんでいる南ア国民にとっては、エネルギー価格の引き下げは朗報となとなる。また政治ニュースとしては、5日-6日で昨年から開かれているアフリカ民族会議(ANC)の会議が終了した。これに先立ちANCは、ラマポーザ大統領のファラファラ問題に関しては話し合わないと発表している。党の団結を示しているが、明らかに怪しい問題をスルーするということは、今後の政治混迷につながる可能性もあることには留意しておきたいところである。

 

メキシコペソが対ドルで優位な立場を維持できないとの見通し

アナリストからは今年のメキシコペソは対ドルで優位な立場を維持できないだろうとの見解も示されている。要因の一つはメキシコ銀行(中央銀行)の利上げ停止観測である。メキシコ中銀はこれまで米連邦準備理事会(FRB)に追随するように同規模の利上げを実施してきたが、今年はFRBの利上げペースについていくことはできないだろうとの見方が強まっている。メキシコのインフレ率は依然として高水準にあるものの、すでにピークアウトした可能性も高まっており、それに伴って中銀当局者からは利上げペースの緩和や休止などへの言及も聞かれるようになった。もう一つが米景気の先行き不透明感である。米国はメキシコにとって最大の貿易相手国であると同時に経済的な依存度も非常に高く、米経済が今後リセッションへと向かえば、おのずとメキシコ経済も大きなダメージを受ける。

 

米下院議長選で100年ぶり再投票も選出できず:共和党内に亀裂

昨年11あg津の米中間選挙で共和党が過半数議席を奪還した下院で3日、議長選が行われ、同党のマッカーシー院内総務が過半数の獲得に失敗し100年ぶりに再投票が実施された。しかし、再投票でも同氏は十分な支持を得られず、党内の亀裂が浮き彫りになった。これにより下院の審議が滞るとみられ、共和党は新たな議長候補の検討を迫られる可能性がある。1回目の投票でマッカーシー氏が獲得した票数は203票で、議長に必要な過半数の218票を下回った。共和党内の造反票が19票だった。民主党のジェフリーズ議員の獲得す数は212票だった。その後は2回の投票が実施されたが、マッカーシー氏はいずれも過半数表を確保できなかった。

 

米国市場では12月ISM製造業景況指数が公表:予想は48.5

11月は49.0から小幅に鈍化する見通しとなった。米国経済の先行き不透明感が強まるとみられ、金利安・ドル安に振れやすい。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独輸入物価指数(予想:前月比▲1.7%/前年比18.0%)
○16:30   12月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%)
○16:45   12月仏CPI速報値(予想:前月比0.4%/前年比6.4%)
○16:45   12月仏消費者信頼感指数(予想:84)
○17:50   12月仏サービス部門PMI改定値(予想:48.1)
○17:55   12月独サービス部門PMI改定値(予想:49.0)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:49.1)
○18:30   11月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○18:30   11月英マネーサプライM4
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○24:00   12月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:48.5)
○5日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月13-14日分)
○ロシア(新年休暇)、休場

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