FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:買い一巡後は伸び悩む展開

前日の米国市場で主要3指数が上昇した流れを受け、東京市場でも幅広い銘柄に買いが入った。しかし、買いが一巡すると伸び悩む展開となった。前日に発表された米失業保険申請件数の結果を受け、労働市場の需給ひっ迫が和らぐとの見方が広がり、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め長期化への懸念が和らいだことは、投資家心理の支えとなった。もっとも、年末の休場を控えて積極的な買いは続かず、散発的な手仕舞い売りに押されて下げに転じる場面もあった。

 

東京外国為替市場:年末・年始調整後は132円台半ばでもみ合い

ドル/円は、年末・年始を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが優勢となり、一時132.39円付近まで下落した。仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが多く観測されたことも、ドル/円の押し下げ要因となった。ただ、日米金融政策の違いが鮮明になっていることもあり、下値を追う動きは限られた。その後は、利益確定などのドル買い・円売りも見られ、132.60円付近へ値を持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、132.50円台を中心とする狭いレンジで取引された。年末最終営業日で市場参加者が少なく、商いは薄くなっている。ユーロ/ドルは、1.06ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の国債『爆買い』続く:最終週も3兆円超

日銀が金利抑制への国債買い入れオペ(公開市場操作)を連発している。長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%へ拡大した20日以降、新たな上限が意識される長期金利だけでなく、他の期間も含む利回り全体の上昇圧力が高まった。日銀は入札方式で買い入れる『輪番オペ』を臨時に追加したり、指定した利回りで無制限に買う『指し値オペ』を通じたりして金利上昇に対応している。26日から年内最終週も29日までの4営業日で、固定利付債の買い入れ額は3兆円超となお高水準となった。

日銀の金融政策決定会合があった前週の購入額は、週間で6.5兆円近くに達した。日銀の黒田総裁は今回の政策修正については「金融引き締めではまったくない」と強調する。大規模な買い入れ額をみると、確かにそうなのかもと思えてくる。それでも20日の決定を異次元緩和の転換とみる市場参加者は多い。

 

中国の新型コロナ死者は一日当たり約9000人:英調査会社

英国の医療関連調査会社エアフィニティーは、中国での新型コロナウイルスによる死者が一日当たり約9000人との試算を示した。1週間前の試算からほぼ倍増となる。発表で、中国での12月1日以降の死者数が10万人に達し、感染者数は合計1860万人に上ると指摘した。試算には感染者数の報告に関する変更が実施される前の中国各省のデータに基づくモデルを用いた。

 

トルコでは年金受給開始の最低年齢規定を撤廃:財政負担の拡大

本日はトルコの11月貿易収支が発表される。市場インパクトはそれほど大きくはないが、収支改善に程遠い状況のなかリラの買いづらさに繋がりそうである。重要な輸出相手である欧州の景気低迷が赤字拡大要因の1つである。同地域は今後リセッションも警戒されており、そうなるとトルコの貿易赤字が縮小基調に転じるのはまだ先のことである。なお、エルドアン大統領は28日、年金受給開始の最低年齢規定を撤廃すると発表した。半年後に迫った選挙を見据え、支持率アップを狙った決定だと思われる。今回の措置で新たに220万人以上が年金受給の資格を得られとされているが、財政負担の拡大は避けられそうにない。

 

メキシコのコロナ感染者数が再び増加

中国では新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が報じられているが、メキシコでも新型コロナの感染が再び拡大しつつある。メキシコ保健当局によると、12月13-21日の間の新規感染者は7905人だった。一部では『感染第6波』との声も聞かれている。現時点での病床使用率は4%程度と医療体制のひっ迫には至っていないが、当局が警戒を強めているのが他の感染症の拡大である。今年のインフルエンザ感染は4536件と過去2年間で最多となっているほか、RSウイルス感染症なども増加していると伝わっている。メキシコ保健当局は『過去2年間のコロナ隔離対策によって、こうした呼吸器系感染症は低く抑えられてきたが、その分免疫力も低下している』と指摘した。コロナとインフル、RSウイルスが同時に流行するいわゆる『トリプルデミック』が起きれば、医療体制のひっ迫や薬剤不足なども起きかねないとして警戒を強めている。

 

米個人投資家のMMF残が21週連続で増加

米投資信託協会(ICI)によると28日時点の米MMF残高は4兆7349億ドルで前週比221億ドル増だった。内訳は個人投資家が188億ドル、機関投資家が33億ドルの増加だった。米個人投資家のMMFは21週連続で増加しており、この間の増加額は2030億ドルに上る。個人投資家のMMFは2019年5~11月まで、29週連続で増加した事例もある。年初来でみると、機関投資家のMMF残高が昨年末で7.1%減少した一方、個人投資家のMMFは18.6%増えた。

 

米住宅ローン金利は7週ぶりに上昇

米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が29日発表した米国の住宅ローン金利は、30年固定(週平均)が前の週に比べて0.15%高い6.42%だった。上昇は7週ぶりとなった。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めを背景に、住宅ローン金利にも上昇圧力がかかっている。1年前の同時期は3.1%程度で推移していた。

 

米国市場ではシカゴPMIが公表:市場予想は40

米シカゴ購買部協会は12月の景気指数(PMI)を発表する。市場予想は40と前月の37.2から改善が予想されているものの、依然として50未満の縮小圏にとどまる見込み。シカゴPMIは自動車産業が盛んな米中西部の製造業景況感を表す指標であり、米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数と連動する傾向にある。2023年1月4日(日本時間5日24時)に発表される12月のISM製造業景況感指数は48と予想されており、2年半ぶりに好不況の境目である50を下回った前月の49から悪化が見込まれている。

 

欧米市場イベント

○全国の証券取引所、大納会
○16:00   12月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.7%)
○16:00   11月トルコ貿易収支(予想:88.0億ドルの赤字)
○17:00   12月スイスKOF景気先行指数(予想:90.5)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   11月南アフリカ貿易収支(予想:138億ランドの黒字)
○23:45   12月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:40.0)
○31日01:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)確報値
○31日01:00   12月ロシアCPI
○英国などは短縮取引、韓国、ブラジルは休場(新年の前営業日で)
○米債券市場は短縮取引

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