FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国市場の下落した流れから売りが優勢に

前日の米国市場で主要3指数が下落した流れを受け、東京市場でも幅広い銘柄が売られた。日経平均株価は10月3日以来、約3ヵ月ぶりに節目の2万6000円を割り込んだ。値がさ株や半導体関連株の下落が重しとなり、その後も下げ幅を拡大した。中国での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、投資家の警戒感は強く、インバウンド(訪日客)関連と目される銘柄も幅広く売られた。結局、前営業日比246円安の2万6093円と続落して終了した。12月第3週(19日~23日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は2418億円売り越した。売り越しは4週連続となった。個人投資家は2788億円の買い越しとなり、買い越しは4週連続となった。信託銀行は419億円の売り越しとなり、売り越しは6週連続となった。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から133円台後半で小動き

ドル/円は、上昇基調が続いていたため、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが先行し、134.00円近辺へ下落した。東京市場に入ると、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めてさらにドル売り・円買いが進み、一時133.50円付近まで下落した。ただ、前日の欧州市場でつけた安値133.42円に接近すると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、133.70円付近へ値を切り返した。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、133円台後半で小動きとなった。今晩の米経済指標や米国株動向を見極めたいととのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.062ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀内部の物価認識に変化:12月日銀会合

日銀は28日、緩和修正を決めた会合で議論内容が注目されていた19-20日開催の政策決定会合における発言内容をまとめた『主な意見』を公表された。依然として、物価の伸びは落ち着くとの見方が多いものの、委員からは「賃上げの勢いが強まっている」、「デフレ期以前の状況に近づいている」との声が出る等、日銀内部の物価認識に変化がみられる。なお、12月会合では長期金利の変動許容幅0.5%への拡大を決め、黒田総裁は20日の会見で「日本の債券市場の機能が低下している」等を緩和修正の理由に挙げた。

 

トルコの12月インフレ率減速を予想する市場参加者が多い

ドル買いリラ売り圧力は年末にかけて益々強まるばかりである。前週末から米金利が上昇基調に転じており、トルコの対外債務拡大への懸念もリラを手放す動きに関係している。なお一部通信社による調査によれば、トルコの12月インフレ率は70%割れまで減速を予想する市場参加者が多い。ただ来年末は40%台までの低下と、政府予想の2倍に留まるとみられている。

 

南アの第2次ラマポーザ政権

ラマポーザ大統領は政治家というよりもビジネスマンとして活躍していたこともあり、大統領就任時は大統領支持者が少なく、与党アフリカ民族会議(ANC)では少数派だった。しかし、先々週から行われたANCの第55回全国選挙会議で一気に支持者を増やしたことで、今後は政権運営が楽になるのではないかと予想されている。ANCの要職トップ6には大統領支持者がほぼ皆無だったが、今回のトップ7(要職が1つ追加されたことで6から7に増加)のうち5つの要職を大統領支持者が獲得した。また、新たな国家執行委員会 (NEC)のメンバー80人のうち57人が大統領支持者とされている。これまで、ANC内での地盤が弱かった大統領にとっては、要職を支持者で固めることに成功した。また、NECのメンバーは男女平等を達成し、切望されていた若者のメンバーも増加した。一方で白人が僅か1人しかおらず、南アに多数いるインド系はゼロとなっている。人種間の融合がうまくいかない場合は、少数人種の不満も高まる可能性がある。

 

米住宅市場の悪化が顕著:来年の景気後退懸念強まる

全米不動産協会(NAR)が発表した11月中古住宅販売成約指数は前月比-4.0%と6カ月連続のマイナスで73.9となった。パンデミック時を除き統計開始した2001年以降で最低となった。米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げにより、住宅ローン金利は年初からほぼ倍となったことに加えて、景気見通しの悪化で、消費者の住宅需要が大幅に後退。今後の中古住宅販売の鈍化を示唆した。
ミシガン大消費者信頼感の調べでは、現在の住宅購入の状況は80年代初期以降で最悪との結果となった。 住宅ローン金利と住宅販売には2カ月程の時差があるとNARのチーフエコノミストは指摘しており、12月に住宅ローン金利が頭打ちとなったため、今後数か月内に回復を見込んでいると楽観的な見方を示した。来年の米国経済の景気後退入りを予想しているエコノミストは住宅市場の悪化がけん引すると見ている。住宅が持ち直した場合、景気後退の深刻化も避けられることになる。今後、数か月後に、住宅販売が回復できるかどうかに注目が集まる。

 

半導体不足が一転して供給過剰:WSJ紙

米ウォールストリート・ジャーナル紙は、半導体不足が一転、供給過剰 PC・スマホ低迷で、チップメーカー各社は生産計画を下方修正と伝えた。世界は今、半導体チップであふれている。チップは2年間の旺盛な需要による世界的な不足から一転、供給過剰に陥っている。金利上昇や株価下落、リセッション(景気後退)懸念を受け、電子機器製品に対する消費者需要は減退している。チップ在庫の膨張は、より広範な経済の現状を反映している。小売業者は棚に商品があふれ、新型コロナウイルス流行初期に高い需要のあった製品の生産者が今、在庫のだぶつきに直面している。チップの現状は、消費者にとっては朗報となっている。洗濯機やノートパソコンなどさまざまな製品を1年前よりも早く、時には安く手に入れることができるためだ。一方、チップメーカーはそうした変化を受け、ここ数カ月で損なわれた収益性を回復しようと、相次ぎ人員や設備投資の削減に踏み切っている。

 

欧米市場イベント

○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/168.6万人)
○30日01:00   EIA週間在庫統計
○30日03:00   米財務省、7年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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