FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:材料に乏しく買い一巡後は上値の重い展開

前週末の米国株式市場で主要三指数が反発した流れを受け、日経平均の上げ幅を広げたものの、年末で商いが薄いことに加えて材料にも乏しく、買一巡後は伸び悩んだ。前週末の米国市場でフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は底堅い動きで、東京市場でも値がさの半導体関連が指数を支援した。原油高を受けて資源関連も堅調となった。為替の円高傾向が一服したことから、自動車など輸出関連株もしっかりだった。一方、前週末に買われた銀行や保険は軟調だった。結局、前営業日比170円高の2万6405円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:市場参加者が減少しており132円台半ばで小動き

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などからドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、、一時132.28円付近まで下落した。クリスマス休暇入りで海外勢の流動性が低下しているため、値が大きく振れやすい面もあった。仲値発表後は値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、132円台半ばへと切り返した。午後は、市場参加者が極端に減少していることもあり、132円台半ばで小動きが続いた。黒田日銀総裁が経団連審議委員会で講演を行い、『今回の変動幅拡大措置は出口の一歩ということではない』『今回の措置は、金融緩和を持続的・円滑に進めるための対応』などと発言すると、やや円売りの反応が見られた。ユーロ/ドルは、クリスマス休暇中で海外勢の流動性が低下していることもあり、1.06ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ドル買い比率は2ヵ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが26日算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買いの比率は23日時点で61.3%だった。前の週末から3.2ポイント低下し、10月中旬以来およそ2ヵ月ぶりの低水準となった。日銀が長期金利の許容する変動幅の上限を引き上げたのをきっかけに急速な円高・ドル安が進み、損失を抱えた個人投資家によるドル買いの持ち高を減らす動きが活発となった。20日には日銀が長期金利の上限を見直し、大規模な金融緩和策も縮小に向かうとの思惑も浮上した。円相場は1ドル=137円台半ばから130.58円まで急伸する場面があった。FXを手掛ける個人投資家は相場の流れに逆らって売買する『逆張り』の傾向が強いとされる。だが、『個人の多くは140円台でドル買い持ち高を積み上げており、含み損を抱えている。急激な円高進行ではドル買いに向かう余力がなかったようだ』という。『ユーロ/円』取引では、ユーロ買いの比率が前の週から5.7ポイント高い31.0%だった。対ユーロでは対ドルに比べて円高進行のペースが鈍かったこともあり、円高・ユーロ安が進んだ局面で『個人は逆張りの円売り・ユーロ買いに動きやすかったとみていた。

 

ドル/円と日米10年金利差は新たな水準で相関を強まる可能性:JPモルガン

JPモルガン証券は26日付のリポートで、日米の10年国債利回り差は先週一週間でみると13bp、日銀政策修正後では3bp拡大しているとしながら、ドル/円が下落したことを解説した。それによれば、ドル/円は11月4日以降の相関から5円程度下方にシフトしているといい、『日米10年国債金利差とドル/円の相関関係は、長期的な分析にはあまり役に立たないが、短期的な関係をみると大まかに言って日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)を導入して以降相関が強くなっている傾向がある』と指摘した。その上で、18年8月に変動幅を拡大した時には、それまで弱まっていた相関関係が再び強くなったといい『こうした過去の経験則に基づけば、今後日銀が継続的に政策を変更しないのであれば、ドル/円と日米10年金利差は新たな水準で相関を強める可能性がある』とみていた。

 

トルコリラは引き締めの兆しが見えた円に対して弱含み

中銀は22日、市場予想通りに主要政策金利を9.00%で据え置いた。声明でも現状の水準が適切と述べている。今年は8月に8カ月ぶりの利下げを実施し(予想外)、11月までで合計5%も金利を引き下げている。大幅な実質金利マイナスの国の通貨リラが、(日銀総裁は否定しているが)引き締めの兆しが見えた国の通貨・円に対して弱含むのは避けようがない。今週は、トルコの11月貿易収支が発表される。前回78.7億ドルの赤字から赤字幅が広がると見込まれており、こちらも失望売りを誘いかねない。

 

南アでは政治的不安定要素の払拭がランドの支え:先行きは政治リスク残る

アフリカ民族会議(ANC)全国党大会では、党首にラマポーザ大統領が再選された。大統領にとって、獲得票が多かった以外にも今回の大会は意義のあるものだった。これまで大統領を含めたANCの要職トップ6には、大統領支持者がいなかったが、今回のトップ7(要職が1つ追加されたことで6から7に増加)のうち5つの要職を大統領支持者が獲得している。また、新たな国家執行委員会 (NEC)のメンバー80人のうち57人が大統領支持者とされている。これまで、ANC内での地盤が弱かった大統領にとって、要職を支持者で固められたことは、政治的不安定要素の払拭につながり、ランドの支えになる。一方で、ANCの支持率自体が大幅に低下していることは不安要素である。2004年の国政選挙で69.68%の獲得票だったものが、2016年の地方選で53.91%まで落ち込んだ。2019年はラマポーザ大統領の登場で57.50%まで回復したが、昨年2021年の地方選では結党以来初めてとなる過半数割れの47.52%まで低下している。次回の国政選挙は2024年になるが、大統領自身のファラファラ疑惑も解決には至っていない。今後も政治リスクは残ることになる。

 

★米国・メキシコ・カナダの首脳会談実施:エネルギー戦略を巡る問題など

米ホワイトハウスは、バイデン米大統領が来年1月9-10日にメキシコを訪問し、ロペスオブラドール大統領やトルドー・カナダ首相と首脳会談を行うと明らかにした。今回の外交は今月開催されるはずだった北米3カ国首脳会談(北米サミット)に当たるものである。首脳会談では懸案となっているメキシコのエネルギー戦略を巡る問題などが焦点になると予想されている。

 

23年の米金利は高止まりと急低下のどちらもあり得る:大和証券

大和証券は26日付のリポートで、23年3月末の米長期金利を3.05%、同年末を2.55%と予想した。カギを握るのは米FRBの政策転換(ピボット)だといい、FRBによる23年1~3月期(1Q)の利上げ停止、23年10~12月期(4Q)の利下げ開始を前提としたという。なお、リポートでは、相場は米FOMCの決定日ではなく、その少し前、シグナルの段階で大きく動くとしながら、『今後も利上げ停止、利下げがシグナルされるタイミングで、市場金利は大きく動くだろう』と指摘した。一方で、インフレ・経済指標次第では来年もFF金利が高止まりし、どちらの展開も十分あり得るとしながら、『米債ボラティリティ指数『MOVE』も10月12日のピーク160.72から低下したとはいえ、現在も113.17と高水準を維持しており、まだ市場の見通しは十分収れんしていない』とみていた。

 

欧米市場イベント

○NZ、豪州、香港、シンガポール、ドイツ、フランス、ポーランド、カナダ、米国(以上、クリスマスの振替休日)、スウェーデン、ノルウェー、英国(以上、ボクシング・デー)、スイス(聖ステファノの日)、南アフリカ(親善の日)、休場

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