FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀の大規模緩和の修正を受け全面安に

前日までの続落を受け、自立反発を期待した買いが先行した。一方、米景気懸念がくすぶるほか、日銀の金融政策会合の結果発表と総裁会見を前にした手控えムードもあり、株価は伸び悩んだ。日銀が大規模緩和を修正すると発表し、事実上の利上げとなることを投資家が嫌気した。前場引けに比べて一時600円超の下落となった。長期金利の変動許容幅は従来の0.25%から0.5%に拡大することから、銀行業が大幅に買われた。結局、前営業日比669.61円安となり2万6568円と4営業日続落となった。

 

東京外国為替市場:日銀のYCCのサプライズ修正を受け円買いが加速

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、137.35付近へじり高となった。仲値発表後も、堅調地合いは続いて一時137.48円付近までドル買い・円売りが進行した。その後、日銀金融政策検定会合の結果を見極めたいとの雰囲気から、やや値を下げて137.20円台を中心とする狭いレンジで推移した。昼頃、日銀の金融政策決定会合の結果、マイナス金利政策の維持を決定した。同時に日銀は長期金利の変動幅を従来の±0.25%程度から±0.5%程度へ拡大すると発表した。市場は今回の会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正をほとんど予想していなかったため、サプライズとなった。これを受けて、日銀が出口戦略の第一歩を踏み出したとの見方から、東京債券市場で10年債利回りが急騰して一時0.46%をつけて2015円7月以来の高水準を記録した。ドル/円は日米金利差縮小を意識して下値を模索する展開になり、137円台前半から継続的にストップロスのドル売り・円買いオーダーを巻き込みながら133円台前半へ急落した。市場では黒田日銀総裁の記者会見を注視している。ユーロ/ドルは、ユーロ/円の急激なユーロ安・円高が波及、1.06ドル台前半から1.05ドル台後半へ水準を切り下げた。

 

日銀が長短金利操作の運用見直し

日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を見直し、長期金利の許容変動幅を従来の『プラスマイナス0.25%程度』から『プラスマイナス0.5%程度』に拡大すると決めた。緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図り、より円滑にイールドカーブ全体の形成を促していくため』と説明した。長期国債の買い入れ増額も同時に発表した。日銀は生命で、債券市場について『各年限間の金利の相対関係や現物と先物の裁定などの面で、市場機能が低下している』と指摘した。『国債金利は、社債や貸出等の金利の基準となるものであり、こうした状態が続けば、企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼすおそれがある』と懸念を示した。

 

日銀は20日、決定会合で長期金利変動幅拡大を決め、午後の債券市場で長期金利が一時0.460%まで急上昇、日銀は金利の動揺を抑えるべく臨時の国債買い入れオペ(公開市場操作)を4本、残存期間「5年超10年以下」が3000億円、「1年超3年以下」、「3年超5年以下」、「10年超25年以下」がそれぞれ1000億円を通知した。

 

トルコでは「為替保護予期」の延長もリラへの反応薄

トルコでは週末、昨年12月のリラ暴落時に導入されたリラ建ての『為替保護預金(KKM)』の口座開設期限を来年12月末まで1年間の延長が決定された。この預金は、預入から満期までの金額を外貨に換算し、為替の変動でマイナスが生じた場合は損失を補填するというものである。外貨預金への流出を防ぐことには繋がるが、リラ安基調が続くなかでは政府の財政負担額も膨らむばかりである。期間延長の発表を受けても、昨日はリラが対ドルで買い戻される雰囲気はない。

 

南ア総裁選ではラマポーザが再任で安心感からランド買い

昨日のランドはラマポーザ現大統領が、与党アフリカ民族会議(ANC)内での選挙に勝利をおさめ第2次政権が継続されることが決定されるとランド買いが進んだ。総裁選はラマポーザ氏が約56%となる2476票、ムハイゼ氏が43%となる1897票という結果になった。本来ならば、汚職疑惑がかなりグレーの大統領が再任されたことは、国としての信用が落ち、通貨売りになるべきである。しかしながら、南アには現在ラマポーザ氏より『まし』な政治家が見たらないことで、金融市場も再選を好感している。今回、総裁を争ったムハイゼ氏も保健相時代にコロナ抑制に尽力を果たしたが、最終的にはスキャンダルで辞任している。当面はラマポーザ政権が継続されることをポジティブと捉えるが、今後の南アの政局はより不安定になる。

 

メキシコ中銀は利上げを実勢に合わせて休止する可能性を示唆

先週はメキシコ銀行(中央銀行)が金融政策決定会合を開き、市場予想通りに10.00%から10.50%へと引き上げることを決定した。米連邦公開市場委員会(FOMC)に追随して利上げ幅をこれまでの0.75%から0.50%へと縮小した。声明では次回会合での追加利上げこそ示唆したものの、その後は実勢に合わせて利上げを休止する可能性であることも示唆するなど、ややハト派的な内容といった印象となった。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの思惑が広がるなか、来年以降に対米金利差が縮小していく可能性も出てきた。金利差縮小は対ドルでのペソ売り圧力につながりやすく、中長期的なペソの下押しリスクに注意が必要となる。

 

米下院特別委員会はトランプ前大統領を刑事告発する方針 

報道によると、2021年1月の米連邦議会襲撃事件を調査する下院特別委員会は12月19日、共和党のトランプ前大統領を反乱の扇動・ほう助などの容疑で刑事告発する方針を決めた。ただ、今回の告発がトランプ前大統領の今後の活動に大きな影響を与えるかどうか、専門家の間では意見が分かれている。

 

揺れる米株市場では『買う個人』と『売るプロ』:WSJ

今年は株式市場が世界的に2008年以来の荒れ模様となる中、個人投資家は株への投資を増やしてきた。一方、プロの機関投資家の間では退場の動きも目立った。米国株で構成される投資信託やETF(上場投資信託)は個人投資家の間で人気が高く、今年は資金流出入額が1000億ドル(約13兆6000億円)超の純増となった。これは2000年までさかのぼれるEPFRのデータで過去最高水準だった。一方、ヘッジファンドは株式投資でのリスクテイクを減らしたり、米主要株価指数の下落に賭けてさえいる。ゴールドマン・サックスによると、投資信託の現金比率は昨年末の約1.5%から今年秋には約2.5%に上昇し、2020年前半以来の高水準にある。ゴールドマンのマネージングディレクター、ベン・スナイダー氏によると、景気が減速して株価指数が下落している局面では、機関投資家と個人投資家がそろって株式を手放すことが多い。今年はS&P500種指数が下落しているにもかかわらず、様子が異なる。

 

米住宅市場指数は12ヵ月連続で悪化:US Dashboard

全米住宅建設業協会(NAHB)が19日発表した12月の住宅市場指数は31と前月から2ポイント低下した。指数の低下は12ヵ月連続で、新型コロナウイルスの世界的大流行下の2020年春を除けば、12年以来の低水準となった。同指数は住宅建設会社や販売企業などからなるNAHB会員を対象に業界の景況感を測る。50を上回ると事業者が新築住宅市場の状況を『好調』とみていることを示す。内訳では、『現在の販売状況』が36で前月から3ポイント低下、『客足』は20と前月から横ばいだった。一方、『今後6ヵ月の販売見通し』は35と4ポイント上昇し、8カ月ぶりに前月を上回った。米住宅市場の低迷をもたらした住宅ローン金利に上昇一服感が出ていることが背景とみられる。NAHBは『23年も住宅市場の低迷が続くが、将来の金融緩和による住宅ローン金利の低下により24年には回復する』と予測している。

 

米中古車価格指数が7ヵ月ぶりに上昇するも非季節調整は下落継続:ノムラ

米中古車オークション大手のマンハイムが提供するマンハイム米中古車価格指数(1995年=100)が15日時点で前月比1.6%上昇して202.6となった。前年同月比では12.3%下落したことになるが、7ヵ月ぶりに前月比で上昇したことになる。ノムラ・セキュリティーズは19日付のリポートで『マンハイム米中古車価格指数は12月前半に季節調整済みペースで前月比1.6%上昇と予想外に上昇したが、季節調整済みであるが故にその弱点が覆い隠されたものと思われる。非季節調整済みで前月比1.0%の下落となった』との見解を示した。リポートでは、マンハイムの季節調整が12月の季節調整値を押し上げたと思われるとしながら、『季節性は過去3年間で大きく変化したようで、非季節調整データの最近の軌跡は明らかに下方圧力が強く残っていることを示唆している』と指摘した。また、卸売物価指数(PPI)の下落幅がやや縮小しているにもかかわらず、小売業者のマージンがさらに縮小していることから、『消費者物価指数(CPI)の中古車価格も下落するものと思われる』と指摘した。実際、11月CPIの中古車価格はPPIよりも大きく下落していた。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲2.5%)
○17:30   11月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.9%)
○18:00   10月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00   カジミール・スロバキア中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○22:30   10月カナダ小売売上高(予想:前月比1.5%/自動車を除く前月比1.4%)
○22:30   11月米住宅着工件数(予想:140.0万件、前月比▲1.8%)
          建設許可件数(予想:148.5万件、前月比▲2.1%)
○24:00   12月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲22.0)

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