FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:先週末の米国株安の流れを引き継いで売り優勢に

前週末の米国株市場は主要3指数がそろって下落した。この流れを引き継いで日本株も売り先行でスタートした。日経平均は寄り付き後も下げ幅を拡大した。ただ、売りが一服した後は小動きとなり、方向感の乏しい値動きとなった。値がさの半導体関連株や自動車株が軟調だった一方、銀行業など一部の内需セクターは底堅く推移した。市場では、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のために金融引き締めを継続する姿勢が明確になり、景気後退懸念が強まっているとの見方が聞かれている。

 

東京外国為替市場:海外短期筋などがドル売りで136円台前半で推移

ドル/円は、最近発表された米経済指標の低調な数字で、米景気後退を警戒したドル売り・円買いが優勢となり、135.90円台へ下落した。日経平均株価の下げ幅が一時300円を超えたこともあり、リスク回避の円買いを誘った。その後、仲値にかけて本邦輸入企業などがドル買い・円売りを持ち込み、136.20円付近へ値を戻した。仲値後は、17日に一部メディアが『政府内の一部で政府と日銀が定めた共同声明の見直し論が浮上している』と報じたことが意識されるなかで、海外短期筋などがドル売り・円買いを持ち込み、一時135.77円付近まで下落した。ただ、松野官房長官がこの報道について『そのような方針が固めた事実はない』『日銀には引き続き政府と連携して物価目標実現に向けて努力を期待』などと発言すると、ショートカバーが入り、136.30円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を眺めながら、136円台前半で取引された。明日予定されている日銀金融政策決定会合の結果や黒田日銀総裁の記者会見を前に、小動きとなっている。ユーロ/ドルは、1.0605ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

9月末の家計金融資産は2005兆円:日銀統計

日銀が19日に発表した7~9期の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産の残高は9月末時点で前年同月比0.8%増の2005兆円だった。2000兆円を超える水準での推移が続いているが、伸び率は2020年3月末以来の小ささだった。新型コロナウイルス感染拡大による行動制限が緩和され、消費が伸びたことが要因となった。家計の金融資産の内訳をみると、現金・預金の残高は2.5%増の1100兆円だった。債務証券は5.3%減の26兆円4四半期連続で減少した。投資信託は1.7%減の86兆円、株式などは8.1%減の196兆円だった。保険・年金・定形保証は0.7%増の539兆円となった。民間企業が保有する金融資産の残高は3.9%増の1271兆円だった。うち現金・預金の残高は3.4%増の330兆円だった。対外直接投資は円にゃすが大きく影響して24.4%増え、197兆円となった。海外勢の国債保有残高は3.8%増の171兆円で、全体に占める比率は14.1%だった。国内銀行などの預金取り扱い金融機関の国債保有残高は3.6%減の160兆円で、保有者全体に占める比率は13.2%だった。

 

ドル買い比率が上昇、ユーロ買い比率は低下:前週のFX概況

QUICKが19日算出した16日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から1.2ポイント上昇の64.5%だった。前週(12~16日)の外為市場では13日発表の11月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びとなったことなどから、円相場は荒い値動きが続いた。週初に円高・ドル安に振れた際に相場の流れに逆らう『逆張り』の傾向が強いFX投資家が円買い・ドル売りに動いた。14日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.50%の利上げを決め、11月までの0.75%利上げから縮小した一方、あわせて公表した参加者らの政策金利見通しは2023年末の中央値が引き上げられた。これを受けて円相場は下落した。市場では「15日の円高局面では前日から3円近く一気に円安・ドル高に振れたとあって、売買を手控えた個人も多かった」との声があった。対円でのユーロ買い比率は前の週末比で3.1%低下の25.3%だった。

 

22日のトルコ中銀の金融政策ではサプライズはないだろう?

22日にはトルコ中銀が金融政策を発表するが、こちらは9.00%で据え置きが市場のコンセンサスである。中銀は前回声明で緩和サイクルの打ち止めを宣言しており、さすがにサプライズはないだろう。しかしながら、一時は活況を呈していた不動産市場が停滞しつつあるなか、建設業界が重要な支援者でもあるエルドアン大統領が利下げ圧力を再び強める可能性は否定できない。今回声明で来年以降の金融緩和を匂わせてくれば、リラが下値余地を広げる可能性はある。 なお、トルコ中銀が先週末に発表した月間の市場参加者調査によれば、1年後のインフレ率見込みの平均値は35%弱と37%台の前回から低下した。また、前回調査では15%後半まで引き上げられると見られていた1年後の政策金利は、14%後半とされた。

 

南アでは与党ANCの第55回全国選挙会議が最大の注目点

今週は16日から始まり、20日に終了予定の与党・アフリカ民族会議(ANC)の第55回全国選挙会議が最大の注目となる。党総裁(President)、副総裁(Deputy President)、全国議長(National Chairperson)、事務総長(Secretary General)、副事務総長(Deputy Secretary General)、財務総長(Treasurere General)の主要6ポストが争われるが、注目は党総裁である。11月17日に発表された予備選ではラマポーザ現大統領が2037票を獲得し、前保健相のムハイゼ氏が916票獲得している。結果は最終日20日に出るが、直前にスキャンダルが表面化したラマポーザ氏が再選した場合でも、どれだけの票を獲得できるかが焦点になる。仮に多くの票がラマポーザ氏に集まった場合でも、ANCおよびラマポーザ氏に対する国民の失望感が強いことでランド買いはある程度限られてしまう。逆に、ラマポーザ氏が再選した場合でも、獲得票が少なかった場合は、政権がレームダック化する。ただでさえ、インフレを抑制できず、各組合がストライキを行うなど、現大統領の求心力が低下する一方です。南アの問題として、ラマポーザ氏に代わる担い手が思いつかないこともあり、政権基盤が弱まった場合は、南アからの資金流出がさらに進む可能性が高くなる。

 

ショート拡大バイアスが強まりやすい:野村証券

野村証券は19日付のクオンツリポートで、先週のS&P500種株価指数が2週連続で下落した中、商品投資顧問(CTA)も2週続けて米株ショートの再拡大に動いたと指摘した。年末にかけても、重要イベントが通貨したことで薄商いとなりやすいほか、ディーラーのガンマポジションがロングからショートに転じていることから、相場が下落することでCTAのショート拡大バイアスが強まりやすいと指摘した。「スパイラル的に下落圧力が強まる展開になりやすい」との見方も示した。加えて、株式ヘッジファンドの償還に伴う需給悪化と、リアルマネーのベータ引き下げに伴う先物売りといったフローも株安方向に作用する可能性が高いとも指摘した。「引き続き景気底入れの兆候が見えない中、早まって引き上げられたベータ調整に伴う先物売りがでやすい地合い」であるとの見解も示した。

 

ターミナルレート引き上げの織り込み進まず:US Dshboard

12月13~14日の米FOMCではFF金利の誘導目標を4.25~4.50%に引き上げ、2023年の政策金利見通し(ドットチャート)の中央値も前回の4.62%から5.125%へと上方シフトした。しかし、FF金利先物が示すターミナルレートは4.84%と5.0%を割り込んだままである。金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りも前日比0.06%低い4.18%で16日の取引を終えた。クリスマス休暇を前にした持ち高調整の買いが金利を押し下げたとの指摘もあるが、『中央銀行に逆らうな』という相場の教訓は忘れられてしまったのだろうか。

 

欧米市場イベント

○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:00   12月独Ifo企業景況感指数(予想:87.5)
○19:00   10月ユーロ圏建設支出
○22:30   11月カナダ鉱工業製品価格
○22:30   11月カナダ原料価格指数
○24:00   12月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:34)
南アフリカの与党アフリカ民族会議(ANC)の新議長を選出する党大会(ヨハネスブルク、20日まで)

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