FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の金融引き締めの長期化懸念から売り優勢に

前日の米国株市場で金融引き締めの長期化懸念とそれに伴う景気懸念から株安となったことが嫌気され、日本株も大幅安となった。特に、半導体関連の下落が目立ち、指数を押し下げた。15日発表された11月の米小売売上高が市場予想を下回ったことや、欧州中央銀行(ECB)が4会合連続の利上げを決定したことを受け、欧米での景気後退(リセッション)懸念が強まり、東京市場でも幅広い銘柄が売られた。午後は海外勢の手仕舞い売りが膨らみ、下げ幅を一段と拡大した。

 

東京外国為替市場:株価と米長期金利睨みで137円台前半でもみ合い

ドル/円は、前日の海外時間に急伸した反動から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押される展開となり、一時136.96円付近まで下落した。日経平均株価の大幅安で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。ただ、日米金融政策の違いが鮮明になっていることもあり、下値を追う動きは限られた。その後は、米FRBの金融引き締めが長期化するとの思惑からドル買い・円売りも見られ、137.20円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、137円台前半でもみ合いとなった。11月米消費者物価指数(CPI)や米FOMCの重要イベントを終えて、手掛かり材料難から積極的な売り買いは手控えられている。ユーロ/ドルは、欧州時間に発表されるユーロ圏の経済指標を見極めたいとの雰囲気から1.06ドル台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。

 

投資家は中国の経済再開に2段階のアプローチをとるべき:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは15日付リポートで『中国の掲載再開(リーオープン)は、中期的に日本株に追い風になると考えている』と指摘した。その一方で、中国の全面的な経済再開までの道のりが険しい可能性があることから、『短期的には慎重になる必要があり、2023年には投資家が全体的に押し目買いのスタンスを取ることを示唆している可能性が高い』との見解を示した。リポートでは『投資家は23年に潜在的な機械を得るために、まず中国の国内再開に注目し、中国の実質的な国境再開後に日本のインバウンド回復に移行するという2段階のアプローチをとるべきだ』とも指摘した。

 

英中銀0.5%利上げ約14年ぶり3.5%

英中銀は15日まで開いた金融政策委員会にて9会合連続で政策金利を3%から3.5%に引き上げた。歴史的な高インフレ抑制で引き締めを継続する一方で景気悪化に配慮し利上げ幅は米FRBと同じく前会合の0.75%から0.5%に縮小した。投票権を持つ9人のうちベイリー総裁を含む6人が0.5%利上げに賛成、1人は0.75%の利上げ、他の2人は金利据え置きを主張して反対した。声明文には『労働市場の逼迫で根強いインフレ圧力が続く証拠があり、より力強い金融政策が正当化されうる』とする一方、『政策金利の急速な引き上げで英国経済は長期の景気後退が予想される』と記された。なお、政策金利が3.5%以上の水準となるのは08年10月以来約14年ぶりとなった。

 

トルコ大統領が再び利下げ圧力を強める可能性も

トルコ中銀が発表した9日時点の外貨準備高は、ネットで267.6億ドルと前週比で約36億ドル拡大した。3カ月前から90%増、約20年ぶりの低水準を記録した7月からだと4.4倍も準備高が増えている。サウジアラビア財務相が先日明らかにした同国からトルコ中銀へのドル預金か、カタールからの投資が寄与している。もっともドル/リラは安定のドル高リラ安で推移しており、相場はあまり材料視していない。ただし、ファンダメンタルズではリラ買いを積極的に進める材料が見当たらないのは確かである。昨日発表されたトルコの11月住宅販売を見ても、前年比では34.1%減と5カ月連続の減少を記録した。トルコ中銀が進めてきた金融緩和の効果は着実に薄れてきた。そうなると、エルドアン大統領が再び利下げ圧力を強めてくるかもしれない。

 

南アでは政治的な動きには要警戒

本日から与党・アフリカ民族会議(ANC)による第55回全国選挙会議が始まることで、週末を含め政治的な動きには要警戒である。

今回の選挙では、党総裁(President)、副総裁(Deputy President)、全国議長(National Chairperson)、事務総長(Secretary General)、副事務総長(Deputy Secretary General)、財務総長(Treasurere General)の主要6ポストが争われる。
最も重要なのが党総裁だが、11月17日に発表された予備選ではラマポーザ現大統領が2037票を獲得し、前保健相のムハイゼ氏が916票獲得している。結果は最終日20日に出るが、直前にスキャンダルが表面化したラマポーザ氏が再選した場合でも、どれだけの票を獲得できるかが焦点になる。現時点では前大統領のズマ氏が自身の逮捕に対しての恨みを晴らそうとし、附帯私訴を考えているなどのニュースも伝わるなど、ANC内が混乱する可能性もある。

 

米個人投資家がオプション需要を押し上げた役割は22年に低下:JPモルガン

米国市場で、満期がわずか数時間や数日の超短期オプションへの人気が高まっていることが相場やボラティリティに与える影響が注目されるが、JPモルガンは15日付のリポートで『S&P500指数の総量に占めるゼロデイ・オプションの割合は22年初頭の約30%からここ数ヵ月約40%に上昇した。さらに、ゼロデイ・オプションの個人投資家シェアはS&P5000オプション全体よりも高いものの、フローを支配しているわけではない』との見解を示した。リポートでは、超短期のゼロデイ・オプションのフローがオプションの売り手によって始まることに偏っていることを考えると、『このフローは原則的にショート・ガンマであり、ディーラー側はロング・ガンマであることを意味する。このようなポジションから生じるディーラーのヘッジフローは、価格の上昇に伴って原資産を売り、価格の下落に伴って原資産を買うことを意味する傾向があり、実質的に安定したフローとなる』と指摘した。ただ、実際には満期が近いため、『ゼロデイ・オプションのガンマは長期のオプションよりも意味がない』という。その上で、コロナ禍の発生以来、個人投資家がオプションの需要を押し上げる役割を果たしてきたことは間違いないとしながらも、『その役割は22年には低下しているように思われる』とも指摘した。米国の上昇株式オプションの小口トレーダーのコールオプションのフローは20年に急増し、21年後半まで高い水準で推移したが、その後は著しく減少しているという。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.3%/前年比▲5.6%)
○16:00   11月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.3%/前年比▲5.8%)
○17:15   12月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:48.2)
○17:15   12月仏サービス部門PMI速報値(予想:49.1)
○17:30   12月独製造業PMI速報値(予想:46.3)
○17:30   12月独サービス部門PMI速報値(予想:46.3)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:00   12月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:47.1)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:48.5)
○18:30   12月英製造業PMI速報値(予想:46.3)
○18:30   12月英サービス部門PMI速報値(予想:48.5)
○19:00   10月ユーロ圏貿易収支
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比10.0%)
○19:00   11月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比5.0%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○20:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:30   10月対カナダ証券投資
○22:30   10月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.3%)
○23:45   12月米製造業PMI速報値(予想:47.7)
○23:45   12月米サービス部門PMI速報値(予想:46.8)
○23:45   12月米総合PMI速報値(予想:47.0)
○17日02:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加
○南アフリカ(和解の日)、休場
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)
〇南アフリカの与党アフリカ民族会議(ANC)の総裁を選出する党大会(ヨハネスブルク、20日まで)

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