FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安を連れた下落も明確な方向感は見られず

前日の米国株市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派寄りの発言を受け、主要3指数がそろって下落した。東京株市場もその流れを引き継ぎ、日本株も売り先行で寄り付いた。その後はイベント通過の安心感から買戻しも入り、一時プラスに転じる場面もあった。ただ、全体的に明確な方向感はみられなかった。日本と中国の経済再開期待が下支えとなり下値は限定的だった。結局、前営業日比104円安の2万8051円と3日ぶりに反落して終了した。12月第1週(5日~9日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は797億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。個人投資家は568億円買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。信託銀行は1477億円売り越しとなり、売り越しは4週連続となった。

 

東京外国為替市場:136.00円付近では上げ一服し135円台半ばで推移

ドル/円は、米長期金利上昇を眺めドル買い・円売りが入り、135.60円付近へ値を上げた。14日米FOMC後に公表されたドット・チャート(金利見通し)の中央値が、前回より引き上げられるタカ派的な内容だったことも、引き続きドル買い要因となった。午後は、日米金融政策の違いを意識して海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、一時135.88円付近まで上昇した。ただ、心理的節目の136.00円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いで135.50円台へ押し戻された。ユーロ/ドルは、今晩の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えて積極的な売り買いは目立たず、1.06ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。

 

英CPIは予想以上の減速で3ヵ月ぶりに伸び縮小

14日に発表された11月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比10.7%上昇と市場予想の10.9%を下回った。3ヵ月ぶりに伸びが縮小し、41年ぶりの高水準だった10月の11.1%上昇から0.4ポイント減速した。住宅関連コストを含む消費者物価指数(CPIH)も前年同月比9.3%上昇と市場予想10.9%に反して10月の9.6%上昇から減速した。ガソリン・中古車価格の落ち着きがインフレ鈍化の主因で、食料品とノンアルコール飲料の価格は16.5%上昇し、10月の16.4%からわずかに伸びが加速した。11月の英CPIはインフレピークアウトを示唆する可能性がある一方、インフレ圧力の裾野が広がっていることも示し、鈍化のペースは緩やかなものとなる。15日の英イングランド銀行(中央銀行)の金融政策委員会では政策金利を3.0%から3.5%へ引き上げられるとの見方が多い。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会を開催:予想は50pbの利上げ

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁はインフレ率を2%程度まで引き下げることにECBはコミットしているとの立場を明らかにしており、ユーロ圏の経済活動の大幅な減速が予想されているものの、今回を含めて2023年も利上げを継続するとみられる。

 

トルコ大統領選で有力な対抗馬に有罪判決

トルコの裁判所は昨日、公務員(最高選挙管理委員会)を侮辱した罪で訴えられていたイスタンブール市長のイマモール氏に有罪判決を下し、2年7カ月の禁固刑と政治活動の禁止を言い渡した。同氏は、来年の大統領選でエルドアン大統領の有力な対抗馬と見られていた。イマモール氏は控訴するため刑は確定していないが、大統領選に立つのは難しいかもしれない。総選挙を半年後に控え、政権奪取を狙っていた最大野党・共和人民党(CHP)や共闘する他野党の動向が注目される。CHPに所属するイマモール氏に対する今回の判決は、エルドアン政権の意向が汲み取られているとの見方も一部で広まりつつある。今後、市民のなかで政権批判やイマモール氏への同情が高まるようであれば、野党連合のまとまり次第では政権離れが加速するかもしれない。
一方でもし野党がバラバラであれば、結局は与党・公正発展党(AKP)が優位となり、来年の夏以降も現政権が進める非正統的な金融政策が続くことになる。そうなると、リラの買いづらさが更に長期化する恐れもある。

 

南アの11月CPIは鈍化傾向:商品価格が高騰していることで国民の不満増

南アの11月消費者物価指数(CPI)は予想の+7.5%、10月の+7.6%よりも低下する+7.4%となった。しかし、食品価格が高騰していることで、国民の不満は増している。食品およびノンアルコール飲料は、10月の12.0%から前年比で12.5%上昇し、CPIの年率合計に2.1%ポイント貢献している。なお、次回の南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)は1月26日を予定されているが、MPC前に12月のCPIも発表されることで、インフレ傾向が弱まるのかを確かめるには12月のデータも吟味する必要がある。 政治動向は、明日から与党・アフリカ民族会議(ANC)による第55回全国選挙会議が始まることで、昨日は嵐の前の静けさという感じで、大きな動きはなかった。

 

メキシコ中銀の金融政策決定会合では利上げペース減速の可能性

明日(日本時間だと16日午前4時)にはメキシコ中銀の金融政策決定会合があり、今回は利上げペースを減速させ、利上げを休止する姿勢を示す可能性もある重要な会合であるため、それを控えて様子見ムードが広がっていることも値動きを鈍くさせている。

 

FRBはこれ以上の利上げをすべきではない:ガンドラック氏

米大手運用会社ダブルライン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)で『債券王』の異名を持つジェフリー・ガンドラック氏は14日、米CNBCのインタビューで『米連邦準備理事会(FRB)はこれ以上、利上げをすべきではない』と語った。同時にFRBは今後、0.25%の利上げを1回実施する可能性があるとの見解も示した。FRBは14日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、精査k金利を50bp引き上げて4.25%-4.50%にすると決定した。ガンドラック氏はインタビューで『インフレについては一定の進展があったと考えている』とも語った。『経済が弱まるのに伴い、インフレ率はおおかたのエコノミストが想定するよりも速く低下していく』との見方も示した。

 

タカ派的なFOMCでもドル高基調は続かず:HSBC

HSBCは14日付リポートで、米国のインフレがピークに達している可能性がある中、14日の米FOMCで示された2023年末の政策金利見通し5.125%は、米FRBによるタカ派的なトーンを強めるものであったと指摘した。このことがFOMC後のドル高をサポートした一方、今後についてはインフレ鈍化がFRBの『心変わり(方向転換)を促す』可能性があるとして、ドル高基調は続かないとの見方も示した。HSBCは足もとのFRBによる金融引き締めがサイクル後期にあるとし、世界経済が著しい減速を回避することにより、米ドルは一層弱含む可能性があると予想している。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独卸売物価指数(WPI)
○16:45   11月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比6.2%)
○16:45   12月仏企業景況感指数(予想:101)
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:1.00%に引き上げ)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:2.75%に引き上げ)
○18:30   11月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比15.7%)
○21:00   英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:3.50%に引き上げ)
○21:00   英中銀MPC議事要旨
○22:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:2.50%に引き上げ)
○22:15   11月カナダ住宅着工件数(予想:25.50万件)
○22:30   12月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲1.0)
○22:30   12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲10.0)
○22:30   11月米小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/167.1万人)
○22:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○23:15   11月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
          設備稼働率(予想:79.8%)
○24:00   10月米企業在庫(予想:前月比0.4%)
○16日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:10.50%に引き上げ)
○16日06:00   10月対米証券投資動向
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、16日まで)

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