FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高を好感するも様子見姿勢は強い

前日発表された11月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を下回ったことを受け、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化懸念が和らぎ、幅広く買いが先行した。ただ、今晩は米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催が予定されていることから、投資家の様子見姿勢は依然として強く、FOMCの結果を見極めたいとの思惑から、日経平均は上値は重さが意識されるとの見方が出ていた。結局、前営業日比201円高の2万8156円で終了した。信用評価損益率は9日申し込み時点でマイナス9.51%と、前の週のマイナス10.06%からマイナス幅が0.55ポイント縮小した。改善は2週ぶりとなる。

 

東京外国為替市場:米FOMCの結果待ちで135.40円半ばでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を眺めながら、序盤は135円半ば小動きとなった。仲値発表後に、米国のインフレがピークアウトしたとの観測から海外短期筋などがドル売りに動き、135.30円付近まで下落した。その後、前日のNY時間に急落した反動から、利益確定などのドル買い・円売りが見られ、135円台半ばへ持ち直した。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まっていたことも円売りを誘った。午後は、日本時間15日未明に予定されている米FOMCの結果を見極めたいとのムードが広がり、135.40円台を中心とする狭いレンジで推移した。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており、1.06ドル台前半で小動きに終始した。

 

大企業製造業は原料高で4期連続悪化:日銀短観

12月短観は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス7と、4四半期連続で悪化した。原材料コスト高が企業の景況感の重荷となっている。新型コロナウイルスの感染抑制と経済活動の両立が進む中、人出が回復して非製造業DIはプラス19と3期連続で改善した。製造業の先行き判断DIはプラス6と、小幅な悪化を見込む。海外経済の先行き不透明感や原材料コスト高などが懸念されている。また、非製造業の先行き判断DIはプラス11と、悪化を見込む。新型コロナや物価高に対する先行き不透明感が幅広い業種で聞かれた。調査期間中、外国為替市場でドル/円が下落に転じたが、11月28日時点でも139円付近で前年対比では大幅な円安水準。事業計画の前提となっている想定為替レート(全規模・全産業)は22年度通期で1ドル=130.75円と、前回9月調査から5円程度円安方向に修正された。

 

顧客が米国株を5週連続で買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの13日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は5~9日の1週間に米国株を15億4000万ドル買い越した。5週続けて買い越しとなった。この週は非製造業景況感の改善を示すデータや米生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化懸念が高まり、S&P500種株価指数は週間で3.37%安となって3週ぶりに反落した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が11億9800万ドル売り越して2週続けて売り越した。機関投資家は18億2200万ドル買い越して5週続けて買い越した。個人投資家は5億9900万ドルの買い越しで、7週ぶりに買い越しに転じた。企業の自社株買いは15億3600万ドルと前週から加速した。1月に向けた傾向としては、1月は個人投資家のフローが最もポジティブな月であると指摘した。過去15年間のうち11年で個人投資家の資金が流入超となっており、『顧客が単一銘柄と上昇投資信託(ETF)の両方を購入した平均的な月はこれだけだった』という。年末までに株式や投信を売却し、損を出して節税対策をする取引『タックスロス・セリング』が影響しているとみられる。

 

中国のゼロコロナ政策緩和の期待から慎重姿勢が後退:バンカメ調査

バンク・オブ・アメリカが12日にまとめた12月の機関投資家調査(2~8日実施)では、現金比率が減少するなど投資家の慎重姿勢が和らいだことが示された。中国が『ゼロコロナ』政策を緩めるとの期待が投資家心理を支えた。今後1年の世界の景気が『改善する』と予想した投資家の比率から『悪化する』と予想した比率が引いた値はマイナス69%と前月はマイナス73%から小幅に改善した。運用資産に占める現金比率5.9%と前月6.2%から低下した。投資家心理が上向いたのは、中国のゼロコロナ政策緩和への期待で世界景気の先行き不安が和らいだため。中国経済が今後『改善する』との予想から『悪化する』との予想を引いた値は75%と前月の13%から大幅に上昇した。21年5月以来の高水準となった。インフレ懸念が後退しているのも大きい。今後12ヵ月に世界の米CPIの上昇率が『上昇する』との予想から『低下する』との予想を引いた値はマイナス90%と過去最低だった。株保有を当初設けた配分を上回る『オーバーウエート』とした投資家の比率から、下回る『アンダーウエート』にした投資家の比率を引いた値はマイナス22%、前月はマイナス34%から改善した。慎重姿勢を保ちつつも、株式への資金配分は戻りつつある。

 

エルドアン大統領は統計局への圧力でインフレ払しょくか

トルコメディアが報じたところによると、エルドアン大統領は同国インフレ率が数カ月後には40%程度、2023年には20%まで低下すると発言した。同大統領は24年にインフレを一桁にするため必要なあらゆる措置をとるとまで述べた。現状80%を超えている物価上昇率を、利上げもせずにどのように引き下げるのか、多くの人が疑問を抱いている。トルコ統計局の局長は過去1年間に2度、エルドアン大統領により交代させられた。統計局への圧力で無理やり数値を押し下げるとの懸念も今後は強まるかもしれない。なお、米国とアフリカ諸国によるサミットが昨日から15日まで開かれている。市場を動意づけるような声明が出る可能性もあることには留意しておきたい。

 

ラマポーザ南ア大統領への弾劾が否決

昨日、南アの国会でラマポーザ南ア大統領の弾劾を行うか否かの投票が行われた。結果は反対214票、賛成148票、棄権2票という結果になり、ラマポーザ氏への弾劾が否決された。記名投票となったことで、アフリカ民族会議(ANC)からの離反者を少数にとどめたことが弾劾否決となった。なお、一部賛成票に投じたANC議員は党から制裁を受けるとされている。この結果を受けて南ア債は買われ、南アの10年債利回りは瞬間的に16ベーシスポイント低下、ランドにも買いが入った。

 

米中古住宅販売は価格は横ばいながら11年ぶり低水準に

全米リアルター協会(NAR)は13日、2023年の中古住宅販売戸数が2年連続の減少となり、12年以来11年ぶりの低水準になるとの見通しを発表した。ただ、販売価格の下落は限定的という。NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は、米FRBの積極的な利上げを受けて住宅ローン金利が急上昇し、23年の中古住宅販売戸数は6.8%減の478万戸になると予測している。22年10月までの販売戸数は440万戸に満たなかった。11-12月分を加算しても年間の総販売戸数は513万戸と、21年の612万戸から16%以上減少する見通しとなっている。一方、販売価格は22年の中央値38万4500ドルに対し、23年は38万5800ドルと、ほぼ横ばいとなる見通し。引き続き供給面の制約が下支えするとみられる。ユン氏はまた、23年の賃貸料のインフレは緩和され、22年の7%上昇から5%上昇に鈍化すると予想している。

 

米国市場ではFOMC会合の結果発表:予想は50bpの利上げ

米FRBパウエル議長は11月30日に行った講演で『政策金利引き上げのペースを落とす時期は、早ければ12月の会合になる可能性がある』と述べており、今回のFOMC会合で50pbの追加利上げが決まる見込み。ただし、パウエル議長は過度な利上げによって景気を大幅に悪化させるリスクに配慮するとみられる。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比10.9%)
          CPIコア指数(予想:前年比6.5%)
○16:00      小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比13.9%)
○16:00   11月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比11.5%)
          コア指数(予想:前月比0.7%/前年比9.5%)
○16:30   11月スイス生産者輸入価格
○17:00   11月南アフリカCPI(予想:前月比0.2%/前年比7.5%)
○19:00   10月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲1.5%/前年比3.4%)
○20:00   10月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲0.5%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   10月カナダ製造業出荷(予想:前月比2.0%)
○22:30   11月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.5%)
○15日00:30   EIA週間在庫統計
○15日01:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比▲4.0%)
○15日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:4.25-4.50%に引き上げ)
○15日04:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○15日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○英中銀金融政策委員会(MPC)
○欧州連合(EU)・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(ブリュッセル)

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