FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株を好感した買いも上値の重い展開

前日の米国株高を好感して日経平均は朝方から堅調に推移し、寄り付きで心理的節目の2万8000円を回復した。1日以来の高水準となった。ただ、買いが一服した後は徐々に伸び悩み、利益確定売りが重しになった。今晩公表の米消費者物価指数(CPI)や、日本時間の15日未明に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)をにらみ、様子見ムードも広がった。結局、前営業日比112円高の2万7954円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:海外短期筋などのドル買いで137円台半ばでもみ合い

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、137.90円近辺まで上昇した。しかし、日経平均株価が朝高後に伸び悩んだこともあり、上値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利低下がドル売りを誘い、137.60円台へ軟化した。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識して海外短期筋などがドル買い・円売りを持ち込み、一時137.97円付近まで上昇して約2週間ぶりの高値を付けた。ただ、今晩発表される11月米CPIを前に、追随する動きは見られなかった。その後は、利益確定などのドル売り・円買いに押され、やや値を下げて137.60円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、今週予定されている11月CPIや米FOMCを控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.055ドル付近へ値を上げた。

 

2023年末時点の日経平均は29000円台と予想-ニッセイ基礎研

ニッセイ基礎研究所では日本株に関して、年初にいったん下落する可能性が高いとみている。米国の利上げが継続中である上に、足元の市場が先々の利下げを前もって織り込みすぎていることから、その修正が入ることによる米金利の上昇を見込んでいる。欧米の景気後退色が強まることも逆風になるとみている。一方で、その後は特に年後半になるにつれて、次第に再来年初からの米利下げ開始が意識されることで、米株価の上昇を通じて日本株も上昇に向かうと予想している。現時点では、来年末時点の日経平均株価を29000円台と予想している。

 

中国コロナ制限緩和の持続性や感染再増加をにらむ展開

中国ではコロナを徹底的に抑えこむ政府の『ゼロコロナ』政策に対し、国民不満への配慮もあって前週から緩和が広がり始めた。今週以降も緩和策のほか、景気テコ入れ策が持続・強化されると、中国の経済や資源需要と相関性が高い資源国通貨の上昇材料となる(豪ドル、NZドル、カナダ・ドル、南アフリカ・ランド、メキシコ・ペソ、ノルウェー・クローネなど)。反対に制限緩和によってコロナ感染者が急増したり、その結果として中国景気の悪化が懸念されたり、コロナ制限が再強化されると失望やリスク回避へと作用。資源国通貨安の一方、安全逃避通貨であるドルや円は上昇要因となりやすい。

 

トルコ大統領選を見据えた国内向けアピール:露大統領と電話会談

10月トルコ経常収支は赤字幅が市場予想よりも縮小したが、前年同月が黒字だったということもあり相場の反応は限定的だった。また、複数のメディアが報じているが、エルドアン・トルコ大統領は11日、プーチン露大統領と電話会談を行った。その協議のなかでエルドアン大統領は、『ウクライナ穀物輸出合意の対象』について他の商品にも拡大するよう呼び掛けた。大統領選を見据えた国内向けアピールになるという意味でも、今後エルドアン大統領がロシアやウクライナへ積極的に働き掛けることが多くなるかもしれない。

 

南アでは大統領にかかわる疑惑で政治的リスク高まる

昨日は、国会議長がラマポーザ南ア大統領がかかわったとされている疑惑についての報告書を採用するか否かの投票について、無記名投票での投票を拒否したことである。無記名投票を採用した場合は与党・アフリカ民族会議(ANC)からの離反者が出ることを議長が避けようとしたと捉えられている。当然のように野党は再考することを議長に要求し、本日の国会でもこの問題が取り上げられる。おそらく与党が押し切ることになるが、大統領を守ることは国際的な信頼を失いかねないことで、ANCにとってはこの問題は諸刃の剣ともいえそうである。

 

メキシコ中銀の金融政策決定会合では利上げ幅縮小の公算

メキシコ中銀の金融政策決定会合においては、今回は利上げ幅を0.50%に縮小させる公算となっている。先日、発表された四半期インフレリポートではインフレがピークアウトを迎えたとの見解が示されたほか、中銀メンバーの中には利上げを休止する意見も出ているということで、今回の中銀声明ではある程度ハト派的な見解が示される可能性があることを考慮する必要がある。先週公表された最新の消費者物価指数(CPI)は前年比で+7.80%と9月の+8.70%から2カ月連続で鈍化する結果となり、ピークアウト説が濃厚になってきている。一方で、食品やエネルギーなど変動の大きいものを除いたコア指数は歴史的な高水準を維持しており、安易にインフレ鈍化を決めつけるのは時期尚早である。

 

米11月CPIは市場予想を大きく下振れか:日経QUICKニュース分析

日経QUICKニュースが米消費者物価指数(CPI)を回帰分析し、今晩発表の11月分の理論値を資産したところ、前年同月比6.5%の上昇だった。この数字はダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(7.3%上昇)を大きく下回る。12日の米国株式相場は、こうしたCPIの下振れを一部の証券会社が示唆したことで、11月の『逆CPIショック』再来への期待から大幅に反発した。仮にCPIが市場予想よりも下振れした場合、株式市場は『利上げ停止間近』として好感する可能性がある。債券は業績相場の色彩が強まっており、楽観視は禁物である。

 

異例の米国株高とVIX指数高:急落の前兆?

12日の米国株式市場で米S&P500種株価指数と、『恐怖指数』と呼ばれるVIX指数が同時に上昇する異例の現象が起きた。市場では『暴落の前兆ではないか』と身構える投資家がいる。実際、今年9月の似たようなケースでは株価が急落した。ただ、過去のケースを振り返ると、必ずしも凶兆ともいえない。12日のS&P500種は前日比1.4%、VIX指数は9.5%いずれも上昇した。S&P500種が前日に比べ1%以上上昇し、かつVIX指数が3%以上上昇した日は前日を除いて2008年以降9回あり、直近では9月12日が該当する。この時は12日から10営業日後の9月26日までにS&P500種は11%下落した。ただし、このケースは珍しい。過去9回の10営業日後の平均騰落率はマイナス0.1%とほぼ横ばいだった。上昇を勝ち、下落を負けとして星取表にすると5勝4敗だった。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.5%/前年比10.0%)
○16:00   11月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00   8-10月英失業率(ILO方式、予想:3.7%)
○16:00   10月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲0.7%)
○18:30   11月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○19:00   12月独ZEW景況感指数(予想:▲26.4)
○19:00   12月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:30   英中銀(BOE)、金融安定報告書を公表
○22:30   11月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比7.3%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比6.1%)
○14日03:00   米財務省、30年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○米アフリカ首脳会議(ワシントン、15日まで)

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