FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の金融引き締めの長期化懸念から売り優勢

前週末の米国市場で金融引き締めの長期化懸念から株安となったことが嫌気され、日本株も軟調な展開となった。半導体関連の下落が目立ち、指数を押し下げた。13日に11月米消費者物価指数(CPI)の発表、13-14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、終日鈍い動きが想定されるとの見方が出ていた。主力株の一角に下値では買いも入り、日経平均は朝安後下げ渋る展開になった。結局、前営業日比58円安の2万7842円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米指標の強い数字を好感してドルはじり高

ドル/円は、先週末に発表された米指標の強い数字を好感したドル買い・円売りが優勢となり、137.09円付近まで上昇した。ただ、明日発表される11月米消費者物価指数(CPI)のイベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、136円台後半へ押し戻された。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが入り、一時137.13円付近までじり高となった。日経平均株価の下げ幅縮小で、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは、1.0510ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は2ヵ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが12日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買いの比率は9日時点で63.3%だった。前の週末から2.2ポイント下がり、10月中旬以来およそ2ヵ月ぶりの低水準となった。円が1ドル=137円台後半まで下落した局面で、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる傾向が強いとされる個人投資家の円買い・ドル売りが活発となった。前週は米ISMが発表した11月の非製造業景況感指数が市場予想に反して前月から改善し、米FRBによる金融引き締めが長期化するとの観測が浮上した。円相場は7日に137.85円まで下落する場面があり、FXを手掛ける個人は円買い・ドル売りに動いた。『豪ドル/円』取引では豪ドル買いの比率が前の週末から7.1ポイント低い63.8%となった。豪準備銀行(中銀)が6日開いた定例理事会で、政策金利を0.25%引き上げ年3.10%にすると決めた。利上げが長期化するとの見方から円安・豪ドル高が進んだ局面で、個人は利益確定を目的に円買い・豪ドル売りを増やした。

 

トルコの10月経常収支に注目:経済指標の結果次第で利下げ圧力も

本日はトルコの10月経常収支が発表される。この月は原油相場が下げ渋っており、エネルギーを輸入に頼るトルコにとっては赤字拡大に結び付く可能性は高い。外貨獲得手段である観光業がどの程度まで好調さを維持できたがポイントになる。経常赤字が想定以上に増えてしまえば、投機筋によるリラの売りやすさに繋がってしまう。13日には10月鉱工業生産が発表される。さえない結果となれば、約半年後に選挙を控えたエルドアン大統領がトルコ中銀に対し利下げ圧力を強める可能性も再び高まる。なお、トルコ中銀の次回会合は12月22日である。前回声明で利下げサイクルの終了を宣言しているが、中銀は独立性を失っており、決して予断は許せない。

 

南アではANCの代表を選ぶ全国選挙会議が最大の注目

16日から20日にかけての与党・アフリカ民族会議(ANC)の代表を選ぶ第55回全国選挙会議が最大の注目となるが、どのような結果になるのかが未知数である。現時点ではラマポーザ南ア大統領が再選される可能性は高いが、直前まで予断が許さない。また、仮に再選が決定した場合でも、今までクリーンなイメージが損なわれたことで国内の信用が急落していることもあり、海外投資家からもどのような判断を下されるのかが分からない。当面は上値が限られ、非常に神経質な動きになると予想する。また、週末にかけて南アにとって非常に悪いニュースが流れている。バイデン米政権が、南アの通商政策が他の国と比較し、米国の輸出業者に不利な立場にあるとの懸念を表明したことである。これにより米国から一般特恵関税制度(GSP)の優遇策から外される可能性が出てきている。

 

メキシコの最新インフレは6ヵ月ぶりの水準まで低下

国家統計機関INEGIが8日発表したメキシコの11月消費者物価指数(CPI)は前年比+7.8%と10月の8.4%から大きく鈍化する結果となった。一方、変動しやすい食品やエネルギーを除いたコア指数は前年比+8.51%と前月の+8.42%からはわずかに上昇した。理由としては農産物や肉類の価格が大幅に上昇したほか、加工食品、タバコ、アルコールも上昇していることだとのことである。メキシコ中銀は先日の四半期インフレリポートの中でインフレはピークを迎えたとの予測を発表したほか、ロペスオブラドール大統領も7月にインフレのピークアウト時期を10月か11月と予想しており、現時点では総合指数がその通りの動きとなっている。ただ、コア指数が依然として高い水準とあって来月以降のインフレ動向にはさらに注目が集まることになる。

 

12月FOMCでターミナルレートが5~5.25%の可能性も:エバコア

13~14日に米FOMCが開催される。エバコアISIは9日付リポートで、『米連邦準備理事会(FRB)は12月に50bpの利上げを実施して政策金利を4.25~4.5%に引き上げるが、十分な制限金利を達成するためにはさらなる利上げが必要であることを示唆し、インフレ率を2%に向けて確実に戻すために十分な期間、金利制限を維持する決意を強調する』との見解を示した。今回のSEP(経済・政策見通し)でターミナルレート(利上げの最終到達点)については、『4.75~5%と5~5.25%の間でほぼ分割された評決が示されるだろうと考えており、5~5.25%の方がやや得票で勝る可能性が高い』とみていた。最も、エバコアでは基本ケースとして『経済データが23年1~3月期の終わりから4~6月期のはじめにかけて決定的に変化し、FRBは2月と3月に25bpの利上げの後、4.75~5%のピークレートでタカ派的姿勢から一時停止に入る』とみている。パウエル議長の記者会見については『ブルッキングス研究所での質疑応答よりはややタカ派的なトーンを取るだろうが、金融情勢が成長への懸念を強めていいることから、11月のFOMC後の記者会見よりはタカ派的なトーンが弱まる』と予想した。FRBは23年の利下げは想定していないと主張し続けると見込みつつも、『それにもかかわらず、失業率が上昇し、コアPCE(米個人消費支出)がFRBの現在の予想をやや上回るペースで低下することで、23年末には1、2かいの利下げを予想している』という。

 

米インフレは23年末までに大幅鈍化:イエレン米財務長官

イエレン米財務長官は、2023年に国内のインフレは大幅に鈍化するとの見解を示した。11日に公開されたCBSの番組『60ミニッツ』のインタビューで述べた。イエレン氏は『予期せぬショックがなければ、来年末までにインフレ率はかなり低くなるだろう』と語った。リセッション(景気後退)の可能性に関する質問には『リスクはあるが、私の考えではインフレを押し下げるために必要なことではない』と述べた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.4%)
○16:00   10月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比▲2.6%)
○16:00   10月英製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○16:00   10月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:153.00億ポンドの赤字/35.00億ポンドの赤字)
○16:00   10月トルコ経常収支(予想:16.1億ドルの赤字)
○16:00   10月トルコ失業率
○21:00   10月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲0.6%)
○21:00   11月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.40%)
○21:00   9月メキシコ鉱工業生産
○13日01:30   米財務省、3年債入札
○13日03:00   米財務省、10年債入札
○13日04:00   11月米月次財政収支(予想:2480億ドルの赤字)

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