FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米景気後退入りへの懸念が重しに

前日の米国株市場の流れを引き継いだ。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化による景気後退(リセッション)入りへの懸念が引き続き重しとなった。半導体関連やハイテク株のほか、ヘルスケアや生活必需品など、景気敏感株を中心に売りが先行した。市場では米国のリセッション入り懸念による日本株売りが広がっている。特に海外収益率が高い銘柄を中心に軟調な動きとなったとの声が聞かれた。中国での新型コロナウイルスの防疫規制の緩和見通しで香港株式市場が上昇し、投資家心理の支えとなった。結局、前日比111円安の2万7574円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇に支えられドルはじり高

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、137.00円付近へじり高となった。日経平均株価の下げ幅縮小で、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。午後は、まとまったドル買い・円売りフローが持ち込まれ、一意j137.24円付近まで上昇した。ただ、明日発表される11月米生産者物価指数(PPI)を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、FRBの金融引き締めが長期化するとの観測が高まり、米景気後退を警戒したドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて137円付近でもみ合いとなった。内閣府が発表した11月景気ウォッチャー調査(街角景気)によると、現状判断指数は前月比1.8ポイント低下の48.1と4カ月ぶりに悪化したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.050ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

海外勢は日本株を2ヵ月連続で買い越し

財務省が8日発表した11月の対外及び対内証券売買契約などの状況(指定報告機関ベース)によると、海外投資家は日本株を2ヵ月連続で買い越した。買い越し額は8519億円だった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが鈍化することへの期待から米国株相場が堅調に推移し、日本株にも買いが優勢となった。海外投資家は国内中長期債を3ヵ月ぶりに買い越した。買越額は1兆4735億円。日銀の政策変更への思惑を背景とした売りが一服し、買戻しの動きが広がった。短期債も2ヵ月ぶりに買い越しとなり、買越額は808億円だった。国内投資家は海外株式を3ヵ月ぶりに売り越した。売越額は1兆3905億円だった。前月までの米国株相場などの上昇を受けた持ち高調整の売りが大きかった。国内投資家は海外中長期債を3ヵ月連続で売り越した。売越額は1兆948億円。FRBによる金融引き締めが長期化するとの見方も根強く、売りが優勢だった。

 

トルコ中銀の外貨準備高の枯渇懸念が後退

昨日はサウジアラビア財務相が、数日内に50億ドルの預金をトルコ中銀に行うと発表した。外貨準備高の枯渇が懸念される同銀にとっては非常に有難い話ではあるが、ドルリラの反応は限定的だった。サウジの供託金については、先月下旬に最終的な話し合いが進んでいたと報じられおり、新たな材料とされなかった。また、外貨不足を補うためのその場しのぎに過ぎないと市場は受け止めてもいる。なおサウジに続きカタールも総額100億ドルのトルコ投資を検討し、そのうち30億ドル分が年内にも決定・実行されると言われており、関連報道には一応注意しておくべきである。もっとも、トルコが中東依存度を高めていることについて、今のところ市場の評価はそれほど高くない。

 

南アの財政的および政治的リスクの高まりがランドの重し

ラマポーザ氏の去就は依然として流動的な状況は変わっていない。スーダンの取引会社はラマポーザ氏との取引は全体が『絶対に通常の商取引』であったと述べるなど、ラマポーザ氏を援護するような発言をしている。しかしながら、与党内でも弾劾を主張する声も依然として強く残っている。また、13日には無記名投票で、調査委員会の決定した報告書を検討するべきかを行う可能性も出てきている。与党内では現時点では過半数がラマポーザ氏を支持しているとされているが、いまだに今後の進展は不透明なままである。為替市場ではランドが買い戻されてはいるが、債券市場では南ア債の売り傾向は続き、利回りも高い状況が続いている。投資家は『現在の高い債券利回りは現在、高リスクのプレミアムを含んでおり、南アフリカの財政的および政治的リスクがはるかに高いことを考えると妥当だ』との意見が出ている。ランドもある程度の買い戻しが進み、調整が終わったと思われることで、ここからさらに上昇基調に戻すには、よほど政治的にポジティブなニュースが出ない限りは難しい。

 

メキシコ中銀副総裁は利上げペースの鈍化の可能性を示唆

メキシコ銀行(中央銀行)のヒース副総裁は昨日、今後の利上げペースが鈍化する可能性を示唆した。『中銀の利上げサイクルはまだ終わっていない』としながらも、前回まで4会合連続で75bpの利上げが実施されたことに伴い、『今後は利上げリズムを鈍化させることが可能になった』との見解を示している。メキシコ中銀の政策金利は現在、過去最高水準である10.00%に設定されており、次回の金融政策決定会合は15日に予定されている。

 

市場とFRBの金融政策に対する認識にギャップ

7日のNYダウは小幅に反発して終了した。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが米景気を冷やすとの見方が相場の重荷となり、今週の下落幅は830ドルを超えている。米長期金利は低下し、原油先物相場も一時1年ぶりの安値まで下落した。13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.5%の利上げが確実視されており、注目はメンバーの政策金利見通し(ドットチャート)に集まる。FRBのパウエル議長は利上げの最終的な到達点(ターミナルレート)に集まる。FRBのパウエル議長は利上げの最終的な到達点(ターミナルレート)について『いくらか高くする必要がありそうだ』と述べている。9月時点で4.6%としていた2023年末の見通しは上方修正される可能性が高い。一方、米金利先物の値動きから市場が織り込む利上げ予想を算出する『Fedウオッチ』によると、23年末に4.6%以下になる確率は7割を超えている。12月のFOMCでは市場とFRBの金融政策に対する認識のギャップの大きさが注目される。

機関投資家調査では85%が来年までにリセッション入りを見込む

仏金融グループ、ナクティクシス・インベストメント・マネージャーズが10~11月に年金、保険、財団、基金、政府系ファンド500人の機関投資家を対象に行ったグローバル機関投資家調査は、85%がすでに経済は『リセッション入りしている、もしくは2023年にはリセッション入りする』と答えた。また、54%がインフレ抑制のために『リセションが必至である』とした。それでも、54%がインフレ抑制のために『リセッションはスタグフレーションのリスクに比べて小さいものになるともした。72%は金利上昇が『再建投資の復活をもたらす』とし、23年の債券市場に対して強気とした比率は56%だった。各国の政策が経済動向に及ぼす影響について、53%がソフトランディングを、47%がハードランディングを予想した。回答者の69%はバリュエーションが依然としてファンダメンタルズを反映していないとした。スタイルでは60%が大型株が小型株をアウトパフォームするとし、ヘルスケア、エネルギー、金融セクターがアウトパフォームする可能性が高いとされた。

 

欧米市場イベント

○17:00   10-12月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数(予想:▲25)
○18:00   7-9月期南アフリカ経常収支(予想:895億ランドの赤字)
○21:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:00   11月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比7.93%)
○21:00   10月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比2.3%)
○21:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/160.0万人)
○9日01:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演

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