FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米金融引き締めが長期化するとの思惑から売り優勢

米金融引き締めが長期化するとの思惑がくすぶり、寄り付きから軟調推移となった。特に値がさ株や半導体関連株の下げが相場の重しとなった。売り一巡後は、徐々に下げ幅が縮小した。円安を支えとした輸出株や、原油価格の下落を好感した電力株の底堅さが目立った。市場では半導体株については、半導体需要のピークアウト感は意識されているものの、どの程度が落ち込むか織り込み切れていない面もあるとして、しばらく方向感が定まりにくいとの声も出ていた。

 

米民主候補が米ジョージア上院決戦で勝利

米南部ジョージア州の上院選挙の決選投票が6日に投開票され、与党・民主党の現職ラファエル・ウォーノック氏が、トランプ前大統領の推挙した野党・共和党新人ハーシェル・ウォーカー氏を破って勝利、民主党が上院の過半数51議席目を確保した。11月8日の中間選挙では上院(定数100)で非改選を含め民主が現有の50議席、共和が49議席を確保、上院議長を兼ねるハリス副大統領が1票を持つ民主の多数派維持が既に固まっていたが、バイデン政権は最後の1議席を上積みすることで議会運営を円滑化することができる。

 

9日のSQ予想では153万株程度の売り越しか:6日時点推計

株価指数先物・オプション12月物は9日、特別清算指数(SQ)算出を迎える。SQ算出に関連した9日寄り付きの現物株式の売買注文は、『日経平均株価』の最低取引関連で採用1銘柄あたり153万株程度で、売り越しそうだ。2日時点の建玉と5~6日の手口をもとに主要証券会社の現物株の売買を推計した。SQ算出日の寄り付きに現物株の買いが目立つとみられる証券会社はソシエテ・ジェネラル(50万株)、みずほ(21万株)、バークレイズ(16万株)など。一方、うりが想定されるのは、HSBC(49万株)、モルガン・スタンレー(36万株)、ABNアムロ(26万株)などである。

 

トルコリラに必要なのは中銀の独立性と政策金利引き上げ

昨日は米金利が全般に低下し、また原油価格も大きく水準を下げた。トルコにとっては、外貨建て負債の負担軽減や輸出に頼るエネルギーのコスト減にも繋がり、プラス要因である。しかしながらリラは対ドルでは、ある意味で安定的とも言える弱さである。やはり国際通貨基金(IMF)が提言したように、トルコ中銀が独立性を取り戻し、政策金利を引き上げて正統的なインフレ抑制策を遂行する以外はトルコへの本格的な資本回帰は望めないのかもしれない。

 

南アフリカの政局が一番の注目点:ラマポーザ大統領の去就

一番の注目はラマポーザ南ア大統領の去就で、アフリカ民族会議(ANC)の全国執行委員会 (NEC) では、ラマポーザ氏がファラファラ強盗スキャンダルに対しての、第89条の報告書を拒否することを決定した。これで党が大統領を守ることを約束したと言える。よって、来週の党首選挙もこのままだと、ラマポーザ氏が優位となり過半数を獲得する可能性が高まっている。ラマポーザ氏の続投については、金融市場では非常に判断が難しく様子見姿勢になっている。これまで、ラマポーザ氏は海外を含めた金融市場からは高く評価されていたこともあり、続投はポジティブな面がある。財政問題についても積極的に取り組んでいたことで、政権が維持されることを期待する声もある。しかしながら、調査委員会が『クロ』と認定したのにもかかわらず、大統領職に残るのは、汚職がひどかったズマ前大統領と変わらないではないかとの声も多くある。ANC内では過半数が大統領弾劾に反対したが、一部では厳しい声も出ている。また、これまでと違い、ANCの支持率が低下していることもあり、南ア国内の政治や治安が混乱する可能性もある。ANCの党首選を含め、今後もまだまだ流動的な状況が続きそうなことで、引き続き南アの政局からは目が離せないと思われる。

 

米貿易赤字は2ヵ月連続増加:米国外の需要減速が影響

6日に発表された10月の米貿易赤字は前月比5.4%増の782億ドル(約10兆6800億円)と市場予想の790億ドルの赤字を下回ったが、2カ月連続で増加した。輸出が2566億ドルと市場予想の2570億ドルを下回り、前月比で0.7%減少した。輸入は3348億ドルと市場予想の3300億ドルを上回り、前月比で0.6%増えた。単月でみれば、赤字拡大を新型コロナウイルスワクチンなど医薬品の輸出急減と自動車・部品・エンジンなど財(モノ)の輸入急増が一因される。しかし、米国の貿易赤字は2020年~21年に拡大し2年連増で過去最大を更新している。米国以外の国々の需要が減速(景気が減速)する一方で米国経済が比較的堅調な状況が続けば、輸出が減る一方で輸入が増え、米国の貿易赤字が拡大する傾向は続く。

 

23年米株市場が25~35%下落する可能性:ウルフ・リサーチ

ウルフ・リサーチは6日付リポートで、同社の23年見通しに関する重要点を指摘した。米国経済と市場は、『低成長、高インフレ率、長期的なバリュエーションの下落圧力を特徴とする新しい体制に入った』との見解を示した。現代貨幣理論(MMT)バブルが未だ完全には解消されておらず、『現在の弱気相場はまが終わっていない』と指摘。株式市場は現在の水準から25~35%下落すると見込んだ。同社の底打ちチェックリストはいずれもプラス転換を示していないという。米連邦準備理事会(FRB)は市場が予想するよりも高い利上げ(ターミナルレートが5.5%以上)、または長い利上げ(24年まで)を行うとみている。23年のS&P500種株価指数の1株利益(EPS)は190ドルと予想し、景気減速による業績への懸念される中、ディフェンシブな配分を推奨した。

 

『ドル高はピークアウト』で新興国への投資推奨:ガンドラック氏

米大手運用会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は6日、米CNBCのイベントで『ドル高はピークアウトしたと思う。それは株式など新興国市場への投資がおそらく2023年の勝者になることを示唆している』と語った。FRBによる急ピッチな利上げで主要通貨に対するドル高が進んでいたが、ドルの総合的な強さを示すドルインデックスは9月の高値から約8%下落している。ドル高は新興国から資金が流出するとの懸念を高めていたため、ガンドラック氏は『年間の資産配分を切り替えるなら新興国株は今がまさに買い時だろう』と述べた。ガンドラック氏は金融・資本市場を巡って『1月か、少なくとも年明けには株式も債券も良い運用成績でスタートするだろう』とし、投資家が損益を通算するための売買を終えて1月からは買いが入り始めると予想した。

 

欧米市場イベント

○15:45   11月スイス失業率(季節調整前、予想:2.1%)
○16:00   10月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.6%/前年同月比▲0.7%)
○16:10   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○16:45   10月仏貿易収支(予想:160.00億ユーロの赤字)
○16:45   10月仏経常収支
○19:00   7-9月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比0.2%/前年比2.1%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○22:30   7-9月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比0.6%)
○23:30   パネッタECB専務理事、講演
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:4.25%に引き上げ)
○8日00:30   EIA週間在庫統計
○8日05:00   10月米消費者信用残高(予想:283.0億ドル)
○8日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:13.75%で据え置き)

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