FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円高進行が嫌気されるも個別物色が活発

為替市場の円高進行を嫌気して輸出株が軟調で、相場の下押し圧力となった。半面、中国の行動制限緩和が材料視され、機械関連や化粧品の一角がしっかりだった。市場では、これまで下落していた反動など循環的な動きもあるが、中国の行動規制緩和が材料視され、個別物色が活発になっている。結局、前営業日比42円高の2万7820円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:値ごろ感からのドル買いに支えられ134円台半ばでもみ合い

ドル/円は、仲値に向けて国内輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、134.75円付近へ上昇した。仲値発表後は、米連邦準備制度理事会(FRB)利上げペースが鈍化するとの思惑や米景気の減速を警戒したドル売り・円買いに押され、一時134.13円付近まで下落した。中国の主要都市で新型コロナウイルスの規制を緩和する動きが見られ、134.30円台を中心に取引された。午後は、日経平均株価の米長期金利を睨みながら、やや値を上げて134.50円前後でもみ合いとなった。今晩発表される11月米ISM非製造業景況感指数を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.05ドル台後半でえ小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

損失覚悟で円買い・ドル売りの動きからドル買い比率は低下:FX概況

QUICKが5日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉上昇によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドルの買い比率は2日時点で65.5%だった。前の週末から4.1ポイント低下し、10月中旬以来の低水準となった。短期間で急速に円高・ドル安が進んだことで、個人投資家はストップロス(損失覚悟)の円買い・ドル売りを迫られとの見方があった。前週は11月30日にパウエル米FRB議長が、早ければ12月にも利上げ幅を縮小する可能性を示唆したことなどをきっかけに、円やユーロなどの主要通貨に対してドルを売る動きが強まった。円相場は12月2日に一時1ドル=133.62円付近と8月16日以来およそ3ヵ月半ぶりの水準まで上昇していた。市場では個人投資家の動向について『想定していたよりも円相場の上昇度合いが大きくなり、ドルの買い持ち高の整理を迫られた』との声があった。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は70.9%と前の週末から8.5ポイント上昇した。7月上旬以来およそ5ヵ月ぶりの高水準となった。『ポンド/円』取引のポンド買い比率も7.9ポイント上昇の51.1%だった。

 

ユーロ圏ではインフレが大幅鈍化傾向に

2日に発表されたユーロ圏の10月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比30.8%上昇と市場予想の32.0%上昇を下回り、9月の41.9%上昇から大幅に鈍化した。前月比でも2.9%低下と市場予想の1.9%低下を下回り、2020年5月以来で初めて前月比マイナスとなった。エネルギー価格の下落が主因で、前月比6.9%低下と5月の0.5%低下以来のマイナスとなった。エネルギー価格は前年同月比でも65.8%上昇と9月の108.0%上昇から急減速した。

 

BOEは政策会合を控えるなか難しい舵取りを強いられる

イングランド銀行(BOE)は12月中旬に今年最後の政策会合を控えているが、難しい舵取りを強いられる。11月会合では市場が過度に利上げを織り込みすぎないようけん制したが、10月消費者物価指数(CPI)は前年比11.1%と市場予想を上回り、41年ぶりの高水準とインフレ率の目標達成を目指すBOEに利上げ圧力を強める結果となった。小幅な利上げでは目標の2%達成に向けて厳しい状況が増している。マイナス成長のなかで利上げを断行していかなければならず、インフレと成長の両方を睨みつつ難しい判断に迫られている。政策金利は12月会合で0.50%引き上げる公算が大きく、最終的には4.5%まで引き上げられる可能性がある。

 

トルコの11月CPIに注目集まる

本日発表される11月トルコ消費者物価指数(CPI)を確認することになる。前回85%を超えた前年比は、今回84%までやや低下が予想されている。もっとも、もし予想に沿った結果だったとしても1年間の物価上昇率が80%を超えた『酷すぎる』状況に変わりはない。先月の金融政策会合でトルコ中銀は『利下げサイクルの終了』を宣言したものの、インフレ抑制のために金融引き締めをする雰囲気は全くない。逆に、来年6月の総選挙に向けてエルドアン大統領が更なる緩和要求の恐れすらある。CPIはインフレ高騰を確認するだけであり、リラにとってのポジティブ材料とはなり難い。

 

ラマポーザ南ア大統領の辞任の可能性の高まりからランド急落

ラマポーザ南ア大統領の辞任の可能性が高まり、ランドは急落しているが、南ア債も大幅に売られ、JSE銀行株も急落している。この危機を乗り越えるのは、相当時間を要する。すでに南アではラマポーザ南ア大統領が辞任もしくは、今月の与党・アフリカ民族会議(ANC)の代表を選ぶ第55回全国選挙会議への出馬辞退(=党首と大統領の職を失う)ことを織り込みつつある。しかしながら、この後の政治状況がどのとうに変わるのかが分からず、政治の混迷がランドの重しになる。特にズマ前大統領とは違い、ビジネスマン出身の現大統領は国内だけでなく国外からも信任が厚かったことを考えると、今後は経済に関しても南アにより厳しい目を向ける投資家が増えることになる。まずは、16日から20日に行われる代表選挙で誰が主導権を握るのかを確かめる必要がある。これまでラマポーザ政権を支え、海外投資家からも支持されていたムボウェニ前財務相などが出てこない限りは、ラマポーザ路線を引き継ぐのは難しい。しかも、政治的な駆け引きがあることで、海外投資家からの信任とANC内部の権力闘争とは乖離があることもあり、ランド買いを促すような後継者を探すのも厳しそうである。

 

メキシコと米国でのエネルギーに関する協議

メキシコと米国でのエネルギーに関する協議は、1日、米通商代表部(USTR)との第3回目を実施する構えであることをメキシコ経済省が発表した。予定としては、月内もしくは年初に協議を行い、1月9-10日 にメキシコで開かれる北米首脳会議でも進捗を確認するとのことである。エネルギー市場での国家管理を強化しようとするメキシコ側にアメリカとカナダがかねてから批判しているが、仲裁パネルの仲介を避けて、協議段階での解決を目指している。

 

CTAの米国株ショートは3週間後に買い戻しが完了する見込み:野村証券

野村証券は5日付のクオンツリポートで、商品投資顧問(CTA)は米国株のショートカバーを継続しており、ショートポジションは足もとで6%と、10月中旬の買戻し開始前の水準と比べ2割程度まで縮小していると推計した。3週間後には買い戻しが全て完了するという。一方でCTAは先週、日本株のロングポジションをわずかに縮小したとも指摘した。今後1か月間スポット価格が横ばいと仮定した場合に推定される自然体ポジションは再びニュートラルまで戻るとの見方も示された。11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回ったことで、中国景気と連動性を維持しているCTAの日本株ポジションも影響した可能性が挙げられている。

 

米国市場では11月ISM非製造業景況指数が公表:予想は53.5

10月実績は54.4で節目の50を上回ったものの、9月実績を大幅に下回った。供給制約の大幅な改善を期待できないため、景況指数は悪化している。11月については、顧客からの受注ペースが減速しているとの見方が多いため、在庫の積み増しを避ける企業が増えている。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比3.00%/前年比84.90%)
○17:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:50   11月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:49.4)
○17:55   11月独サービス部門PMI改定値(予想:46.4)
○18:00   11月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:48.6)
○18:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○18:30   11月英サービス部門PMI改定値(予想:48.8)
○19:00   10月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲1.7%/前年比▲2.6%)
○22:30   10月カナダ住宅建設許可件数
○23:45   11月米サービス部門PMI改定値(予想:46.1)
○23:45   11月米総合PMI改定値(予想:46.3)
○24:00   11月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:53.5)
○24:00   10月米製造業新規受注(予想:前月比0.7%)
○6日01:00   ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○欧州連合(EU)、ロシア産原油の海上輸入禁止
○ユーロ圏財務相会合

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