FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安や円高の進行を嫌気した売りが優勢に

前日の米国株安や円高の進行を嫌気し、軟調に推移した。特に輸出関連株の売り圧力が強まった。前日に堅調だった値がさ株で利益確定売りが優勢となったほか、為替市場で円高が進んだことを嫌気して輸出関連株が値下がりした。米長期金利の低下に伴い、銀行株も売られた。今晩、米国では11月雇用統計が公表される予定で、マーケット参加者の関心が集まっている。米国のインフレ動向を見極める上で賃金の伸びに注目が集まっており、仮に予想よりも賃金の伸びが鈍化していないとなると、インフレピークアウト感の期待が後退し、株式市場にとっては重しになりやすいとの見方もある。結局、前営業日比448円安の2万7777円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米景気減速が警戒されドルの上値も重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、135.60円付近まで上昇した。低下していた米長期金利で持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。ただ、前日に発表された11月米ISM製造業景況感指数が2年半ぶりに景気判断の分岐点となる50を下回り、米景気減速が警戒されていることから上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、やや値を下げて135円台前半でもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、135.10円台を中心に取引された。今晩発表される11月米雇用統計のイベント控え、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.05ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ラマポーザ南ア大統領の辞任のうわさがランド売り要因

ラマポーザ南ア大統領の『ファラファラ・スキャンダル』(*スキャンダルについては下記を参照してください)で、大統領が辞任を表明するのではとのうわさが流れたことが売り要因になった。ここ最近では『7月暴動』『コロナウイルス・オミクロン株』以来となる、南ア独自の問題でランドが動意づいている。現時点では大統領報道官はラマポーザ氏の辞任を否定しているが、南アからの多くの報道はラマポーザ氏が遅かれ早かれ辞任するという論調が多くなっている。仮に辞任しなくても、今月の16-20日に行われるアフリカ民族会議(ANC)の党首選で勝利を収めるのが困難になっていることで、このまま居座っている意味がなくなる。また、辞任をしなくても党首選に出ない(=自動的に党首及び大統領職を失う)という選択肢もある。

 

*『ファラファラ・スキャンダル』は、2020年にラマポーザ大統領が所有する農場でドルが盗まれた事件あり。問題となっているのが、多額のドルの盗難にもかかわらず、大統領がランドからドルへの換金を南アフリカ準備銀行(SARB)に報告をしていなかったことが一つ(外為法違反)。また、動物を売って利益を得ていたことは認めたものの、その利益と申告に誤差がある脱税の可能性も問題視されている。

 

メキシコ中銀はインフレはピークアウトした可能性が高いとの見解

メキシコ中銀は、四半期のインフレリポートを発表した。今年の第3四半期にインフレはピークアウトした可能性が高いとの見解を示し、昨年6月から続く利上げサイクルを終了する段階に入ってきたと強調した。インフレの見通しについては、第4四半期に鈍化が始まり、来年は一段と鈍化ペースが早まると予想している。中銀メンバー間では政策金利の最終到達点であるターミナルレートに関する見解は様々で、ロドリゲス総裁は少なくともあと1回の利上げが必要としている半面、ヒース副総裁は『この先の大幅な利上げは考えられない』と述べています。

 

米国の製造業はリセッション域でFRBの利上げ減速の思惑

米供給管理協会(ISM)が発表した11月ISM製造業景況指数は49.0と、10月50.2から予想以上に低下し、パンデミックによる経済封鎖直後の20年5月来で初めての50割れで活動縮小となった。重要項目の新規受注は47.2と、10月49.2から一段と低下した。3カ月連続の50割れとなった。支入れ価格は43.0と、2カ月連続で50割れで20年5月来で最低となり、インフレピーク達成の可能性も示唆された。また、製造業の雇用も予想外に50を割り込み6月来で最低となった。このため米国経済が23年に景気後退入りするとの懸念を一層強めた。FRBの利上げ減速を正当化する。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているコアPCE価格指数が前年比+5.0%と9月+5.2%から伸びが鈍化したことも利上げペース減速を支援する。

 

来年から米大都市で頭金3%で住宅ローン1億3500万円:米WSJ

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は1日、ロサンゼルスやNYなど住宅価格が高い一部都市で近く100万ドル(約1億3500万)の住宅ローンを頭金3%で借りることが可能になると報じた。ファニーメイ(連邦住宅抵当公社)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が保証する住宅ローン上限が97万0800ドルから108万9300ドルに来年引き上げられるとしている。頭金は20%が一般的だが、購入者の一部は最低3%でも借り入れが可能になると伝えた。

 

パウエル議長は意図しないハト派シグナルを送ったか:ウルフ・リサーチ

ウルフ・リサーチは1日付リポートで、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が行った11月30日の講演を踏まえ、『意図的かどうかはさておき、既に行われた金融引き締めを踏まえると、パウエル議長はインフレ率を2%に押し下げることよりも、成長見通しと雇用情勢に重点を置いているとのメッセージを送った』と指摘した。意図的稼働か不明だが、パウエル議長の発言がハト派的だったため、『今後2日間で5人の米連邦公開市場委員会(FOMC)講演者が予定されており、いくつかの大きな経済報告が予定されている。市場がパウエル議長を誤って解釈したという非常に明確なシグナルや、予想を大幅に上回るインフレ指標がなければ、株価は短期的に上昇する可能性が高い。特に年末商戦の力学が作用している』とも指摘した。ウルフ・リサーチでは、『我々の感覚では、これもまたパウエル議長が意図しないシグナルを市場に送った事例だ』とみており、来年に目を向けると利上げについてはコンセンサスは長く5%前後で休止した状態が続くとみている一方、同社では5.5%超へ利上げを続けるとの従来予想を維持した。パウエル議長はバランスシートに関してはハト派的な発言をしたように聞こえるものの、『我々はFRBの全体的なQT(量的引き締め)目標は変わっていないと強く信じている。さらに、FRBの全体的な流動性ダイナミクス(FRBの公開市場操作を実施する口座や、リバース・レポなど)がさらにマイナスに転じ、今後数ヵ月でさらなる逆風が生じる』とみていた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独貿易収支(予想:52億ユーロの黒字)
○16:00   10月独輸入物価指数(予想:前月比▲1.7%/前年比23.3%)
○16:45   10月仏鉱工業生産
○16:45   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:00   10月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲2.0%/前年比31.5%)
○21:00   デギンドスECB副総裁、講演
○22:30   ナーゲル独連銀総裁、講演
○22:30   11月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化0.50万人/失業率5.3%)
○22:30   11月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化20.0万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.6%)
○23:15   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○3日00:15   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○4日 石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合

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