FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:パウエル議長の講演を控え様子見ムードが下支え

前日の米国株市場でのハイテク株安を嫌気した値がさのハイテク銘柄の下げが大きく、全体の重しとなった。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演内容を見極めたいとして様子見姿勢も広がり、下げが一段と拡大する動きにはならなかった。市場では、利上げを継続を示唆するようなタカ派的な発言が確認された場合、米金利の上昇、米国株安となる可能性があり警戒感が強いとの指摘がある。結局、前営業日比58円安の2万7968円と4日続落して終了した。信用評価損益率は25日申し込み時点でマイナス9.59%と、前週のマイナス10.67%からマイナス幅が1.08ポイント縮小した。改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下や月末に絡むドル売りが強まる

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、138.95円付近へ値を上げた。仲値発表後は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下がドル売り・円買いを誘い、138.45円近辺へ下落した。本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いも観測されたことも、ドル/円の押し下げ要因となった。その後、このところFRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいることで、日米金融政策の違いを意識したドル買いが見られ、138円台後半へ切り返した。午後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、やや値を下げて138.40円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。パウエルFRB議長の講演を控え、積極的なポジションを傾けにくい展開になっている。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気から、1.03ドル台半ば小動きとなった。

 

顧客が米国株を3週連続で買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの29日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は11月14日~18日の1週間に米国株を16億6900万ドル買い越した。3週続けて買い越しとなったが、買い越し額は前週や前々週からおよそ半減した。この週は米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース減速期待が相場を支え、NYダウが4月21日以来の高値で引け、S&P500種株価指数は週間で1.53%高となって反発した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が1億6000万ドル買い越して2週ぶりに買い越しに転じた。機関投資家は17億9400万ドルの買い越して3週続けて買い越した。個人投資家は4億6000万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しとなった。企業の自社株買いは8億4700万ドルと減速した。BofAは最近のフローの流入状況から、投資家は市場が底を打ったと考えている可能性が高いことを示唆しているとみる一方、23年上半期の底に向けてさらなる下振れリスクがあることに警戒感を示した。

 

欧州市場では11月ユーロ圏消費者物価コア指数公表

10月実績は前年比+5.0%だった。外食・宿泊業、輸送費用、光熱費などの上昇が目立った。11月についてもこれらの項目における上昇率は10月並みの水準と予想されており、全体の物価上昇率は高止まりとなる見込み。

 

トルコ政府の掲げた輸出強化による経済成長は厳しい状況

欧州前半に発表された10月トルコ貿易収支は78.7億ドルの赤字と予想よりも赤字幅は縮小した。2カ月連続で前回値から赤字は縮小しているが、前年同月比では約420%も赤字幅が拡大した。商品価格の高止まりで輸入が拡大した一方、輸出の伸びは限定された。トルコ政府が掲げた輸出強化による経済成長は厳しい状況が続いている。トルコ中銀は国営金融機関を通じて断続的にドル売りリラ買いの介入を続けているが、リラの下落スピードを辛うじて鈍らせる程度である。先日はサウジアラビアとトルコの通貨スワップに関連した報道も見受けられたが、市場の反応は極めて限定された。トルコ中銀の外貨準備高枯渇への警戒感は高まったままである。

 

南アの失業率は改善傾向にあるが回復には厳しい状況

南アの7-9月期失業率は、市場予想の33.5%や4-6月期の33.9%から低下し32.9%となった。20万4千人の雇用増となっているが、中でも製造業(12万3千人)、貿易(12万3千人)、建設(4万6千人)、運輸(3万3千人)が雇用を伸ばしている。一方金融は8万人の減少となった。また、求職を諦めた拡大失業率は4-6月期の44.1%から43.1%に低下している。若年層の失業率も61.4%から59.6%まで低下している。総じて改善傾向となったが、まだまだパンデミック前に回復するのは厳しい状況である。なお、明日発表される予定の南ア国内のエネルギー価格であるが、過去最高値だったディーゼル価格は低下しそうである。一方で原油価格が2021年以来の水準まで下落しているものの、ガソリン価格は小幅ながら上昇する予定になっている。

 

米消費者マインドは先行き暗く『景気後退』の可能性を示唆

米調査会社コンファレンス・ボードが29日発表した11月の米消費者物価指数は100.2と前月から2ポイント下がった。現在のビジネスや労働市場の景況感を示す『現況指数』は137.4と前月の138.7から下がり、2021年4月以来の低水準を付けた。消費者の収入、ビジネス、労働市場の短期的な見通しを示す『期待指数』は77.9から75.4に下がった。コンファレンス・ボードは指数の低下について『最近のガソリン価格の上昇に促されたものだろう』と分析した。また、『期待指数』が80を下回り低迷していることを踏まえ『先行きは依然として暗い』と指摘した。『景気後退の可能性が依然高いことを示唆している』との見方を示した。

 

景気後退に直面し利下げの在り方にタカ派とハト派で見解分かれる

BofAセキュリティーズは29日付リポートで『経済が減速し、インフレ率が低下する中、委員会は利上げペースを遅らせる必要性で一致している。しかし、景気後退に直面した場合のターミナルレート(利上げの到達点)の在り方や利下げの是非については意見が分かれるだろう』と指摘した。リポートでは『昨年の春、タカ派の声を聞くことで報われた。そして、今後数ヵ月のうちにそれらを聞くことを価値があると思う』との見解を示した。タカ派を支持する理由として、『第一に、彼らは経済に対してはるかに良い判断をし、失業率が下がると賃金が上がるフィリップス曲線が生きていて『良好』であることを完全に受け入れた。第二に、彼らはそれほど間違っていなかったので、委員会内で進行中の議論において彼らの側に歴史がある。第三に、パウエル議長自身が委員会のハト派からタカ派に転じたと考える。2020年8月に新しい政策枠組みを採択したばかりの彼は、それが翌年には機能していないことを認めたくなかった。しかし、今では1970年と80年の教訓がかなり関連していることに気付いていいるようで、自分の内面のボルカーを発見したようだ』との見解を示した。

 

欧米市場イベント

○16:00   7-9月期トルコGDP(予想:前年比4.0%)
○16:45   7-9月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.2%)
○16:45   11月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.4%/前年比6.2%)
○16:45   10月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   10月仏消費支出(予想:前月比▲0.6%)
○17:00   11月スイスKOF景気先行指数(予想:91.3)
○17:30   ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
○17:55   11月独雇用統計(予想:失業率5.5%/失業者数変化1.30万人)
○18:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比10.4%)
○19:00   11月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比5.0%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   10月南アフリカ貿易収支(予想:169億ランドの黒字)
○21:00   7-9月期インドGDP(予想:前年同期比6.2%)
○22:15   11月ADP全米雇用報告(予想:20.0万人)
○22:30   7-9月期米GDP改定値(予想:前期比年率2.7%)
           個人消費(改定値、予想:前期比1.6%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比4.5%)
○22:30   10月米卸売在庫(予想:前月比0.5%)
○22:50   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:45   11月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:47.0)
○24:00   10月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲5.0%/前年比▲35.0%)
○1日00:30   EIA週間在庫統計
○1日01:00   10月ロシア失業率(予想:4.1%)
○1日02:35   クックFRB理事、講演
○1日03:30   パウエルFRB議長、講演
○1日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)

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