FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安を嫌気しハイテク銘柄の下落が目立った

前日の米国株安を嫌気する形で日経平均は軟調な展開が続いた。特に半導体関連や電子部品関連などハイテク銘柄の下落が目立ち、重しとなった。一方、内需株は底堅さもみられ、相場を下支えした。日経平均は一時、前日比約260円安まで下落したが、前場引けにかけては下げ幅が縮小した。中国でゼロコロナ政策に対する反発が強まっており、アジア株の動向に注目が集まっていたが、アジア株がプラス圏で底堅い展開となったことが日本株を下支えした。結局、134円安の2万8027円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日米金融政策の違いを意識され138円台半ばでもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大がリスク回避の円買いを誘い、138円台後半から138円台半ばまで下落した。しかし、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、138.90円付近へ値を戻した。仲値発表後は、日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が和らぐとドル買い・円売りが強まり、139.35円付近まで上昇する場面があった。ただ、上値では戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、138円台後半へ下落する荒い値動きとなった。午後は、ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル安が波及、一時138.41円付近まで値を下げた。しかし、今晩の米国株動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う値動きは限られた。その後は、日米金融政策の違いを意識したドルの押し目買いが入り、値を切り返して138.50円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、中国の『ゼロコロナ』政策に対する抗議活動が鎮静化しつつあることで、海外短期筋などがユーロ買い・ドル売りに動き1.03ドル台半ばから1.0395ドル付近まで上昇した。

 

23年末のTOPIXを2150と予想:モルガン・スタンレー

モルガン・スタンレーは25日付の日本株ストラテジーリポートで、2023年12月の東証株価指数(TOPIX)を2150と予想し、日本株のオーバーウエートを維持した。国内企業の22年度中間決算について、営業利益はコンセンサスを下回ったものの、売上高と純利益はいずれも市場予想を上回ったと指摘した。『日本企業の業績修正トレンドは依然として上向き』であるとし、23年は現在の高い水準から更なる業績の伸びが見込まれている。

 

トルコ中銀の利下げサイクル宣言は金融引き締めに転じる意味ではない

先週トルコ中銀が公表した声明では、利下げサイクルの終了が宣言された。しかしながら、中銀が引き締めに転じるという意味ではない。というのも、エルドアン・トルコ大統領が先週末の演説で、1桁台に引き下げられた政策金利はこのまま低い状態が今後も続くと強調したからである。また、エルドアン大統領は『心配しなくても、インフレも鈍化するだろう』と述べた。トルコでは足もとの公式インフレ率は85%を超え、民間調査ではその倍の上昇率とも言われており、大統領の発言は逆に市場を心配させるだけではないだろうか。なお、大統領が先週示唆した『シリア北部のクルド系武装組織に対する地上戦展開』だが、今週にも実行される可能性が高まってきた。米軍は既にトルコ軍の行動終に懸念を表明しており、米トルコ間の亀裂にも繋がりかねず、今後も事態を注視する必要がある。

 

南アではCPIが引き続き高止まりの可能性

先週発表された、10月の南ア消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回るも7.6%になった。市場では10月の南ア国内のエネルギー基準価格がディーゼルは上昇したものの、ガソリンが下落したことで、9月(7.5%)よりもインフレ低下になるのではとの予想だった。しかし、インフレは更に高まった。その主要因が、食力品価格、輸送などの高騰である。食品とノンアルコール飲料で、前年比で12%増加し、輸送は17.1%増加した。特に、パンとシリアルは前月比で19.3%、前年比で19.5%と急上昇、スイートビスケット、マカロニ、トウモロコシミールなども毎月大幅に値上がりしている。食肉の年間インフレ率は9月の9.9%から10.5%に上昇し、牛乳、卵、チーズの価格は10.5%上昇し、2017年2月以来の高値となった。上述のようにガソリン価格が下落したことで、ある程度のインフレ抑制にはなっていたが、11月の基準価格は上昇に転じたことを考えると、来月発表される11月CPIも再び高水準を記録する可能性が高そうである。

 

CTAがS&P500をほぼ中立圏まで買戻し:TD

加TD証券は28日時点で商品投資顧問(CTA)の米株先物ポジションについて、Eミニ・S&P500種株価指数先物が過去最大ロング比でマイナス2%(売り超)、Eミニ・ナスダックは100先物が同マイナス11%のポジショニングであると推計した。11月以降、CTAはS&P500先物で買戻しを進めており、直近のポジショニングはほぼ中立圏まで戻した。ナスダック100先物の買戻しペースは鈍い。TDは最も接近したCTAの買いトリガーをS&P500で4028、ナスダック100で1万1963とそれぞれ推計している。

 

OPECプラス会合を含めた原油相場の動向:全般ドルに影響

原油相場については、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどを加えた『OPECプラス』が12月4日に閣僚級会合を予定している。前週にはサウジアラビア主導で原油増産の検討が報じられ、原油相場は下落場面があった。その後にサウジが増産報道を否定し、原油は反発の乱高下となっている。週明け28日のアジア市場では、中国でのコロナ感染再増加や抗議デモ拡大への懸念などにより、原油は再下落となっている。
12月4日の会合に向けて原油に下落圧力が続くと、為替相場では資源国通貨の下落やリスク回避の円高要因となる。同時に原油下落は米国など各国でインフレ低下の要因となり、各国での金利低下(債券価格は上昇)がドル/円、クロス円での円高・外貨安を促す。さらに原油下落は『資源輸入国』通貨である円やユーロにプラスとなり、『資源輸出』通貨であるドルにはマイナスの材料となる。反対に今週以降、原油が反発となれば、こうした原油安影響は逆回転を生む。原油高の場合は資源国通貨高や円安、ユーロ安、ドル高という市場反応が意識される。

 

米国市場では11月CB消費者信頼感指数が公表:予想は100.0

10月実績は102.5で9月実績を下回った。11月については10月時点の現況と期待指数がいずれも低下していること、インフレ緩和への期待が広がっていないことから、10月実績と差のない水準にとどまる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   7-9月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比0.7%)
○16:00   10月トルコ貿易収支(予想:80.0億ドルの赤字)
○17:00   7-9月期スイスGDP(予想:前期比0.3%/前年比1.0%)
○17:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:30   7-9月期南アフリカ失業率(予想:33.5%)
○18:30   10月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○18:30   10月英マネーサプライM4
○19:00   11月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:93.0)
○19:00   11月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲23.9)
○21:00   10月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.20%)
○21:35   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:00   11月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.2%/前年比10.4%)
○22:30   9月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比3.8%)
       7-9月期カナダGDP(予想:前期比1.5%)
○23:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00   9月米住宅価格指数(予想:前月比▲1.2%)
       7-9月期米住宅価格指数
○23:00   9月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比10.5%)
○24:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○24:00   11月米消費者信頼感指数(予想:100.0)

 

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