FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国の感染拡大懸念や利益確定売りに抑えられる展開

前週末の米ハイテク株安や、中国での新型コロナウイルス感染再拡大が警戒された。前週の上昇からの反動もあって、利益確定売りが優勢になった。米国株先物がマイナスで推移したことも、投資家心理を圧迫した。上海株や香港株の軟調な値動きとなる中、日経平均が下げ幅を拡大する場面もあった。頃案の感染拡大が続く中国では、行動制限を伴う厳格な規制が実施されており、進出する日本企業の一角で工場が稼働停止となるなど懸念がくすぶっている。また、中国では前週末、規制に反発する抗議活動が複数うの都市で相次いだことも重しになった。結局、前営業日比120円安の2万8162円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:世界的な株安からドルは戻りの鈍い展開

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれ、138.85円付近へ下落した。その後も、米長期金利低下や日経平均株価のさえない動きを眺めてさらにドル売り・円買いが進み、一時138.35円付近まで下落した。中国で『ゼロコロナ』政策に対する抗議デモが拡大しているため、これを嫌気した豪ドル/円やユーロ/円の急落が波及した面もあった。ただ、下値では利益確定などのドル買い・円売りも見られ、138円台半ばへ値を戻した。午後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、138.75円付近へ値を切り返す場面があった。しかし、世界的な株安でリスク回避姿勢が強まっていることもあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、米長期金利を睨みながら、やや値を下げて138.40円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.03ドル台半ばで方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は69.6%に上昇:前週のFX概況

QUICKが28日算出した25日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から2ポイント上昇の69.6%だった。前週(21~25日)は米利上げペースが鈍化するとの観測が強まり、これまでに積み上がった持ち高を解消する目的の円買い・ドル売りが優勢になった。相場の流れに逆らう『逆張り』の傾向が強いとされる個人は、円高・ドル安が進んだ局面で、ドルの押し目買いとみて円売り・ドル買いに動いたようだ。円に対するユーロ買いの比率は28.1%と、前の週末(28.0%)からほぼ横ばい。円に対する豪ドルの買い比率は62.4%と同2.7ポイント低下した。

 

トルコ中銀は利下げサイクル終了発言:更なる利下げの可能性も残る

トルコ中銀は先週、政策金利を10.5%から9%まで引き下げることを決めた。150bpの下げ幅は予想通りであり、10月会合で示唆していた『8月に開始した利下げサイクルの終了』を決定した。しかし、エルドアン・トルコ大統領が現状に満足せず、更なる利下げを求める可能性は否定できない。今年あと12月にも中銀会合は予定されており、今後も大統領によるトルコ中銀への圧力は続いてもおかしくない。今週のトルコ経済指標は、10月貿易収支、7-9月期GDP、11月製造業PMIなどの発表が予定されている。赤字幅は前回からやや縮小するとみられているが水準はまだ大きく、GDPは成長率鈍化が予想されている。PMIも景況判断の境目となる50を割り込むのは確実である。さえない数値が確認されれば、リラの更なる重しとなる。 

 

南アの貿易収支と失業率に注目:12月ANCの代表を選ぶ議会投票に影響

南アからは貿易収支と失業率が発表される。特に7-9月期の失業率は要注目となる。市場に直接影響を与えない可能性もあるが、間接的な影響は大きくなる。なぜならば、12月に与党・アフリカ民族会議(ANC)の代表を選ぶ第55回全国選挙会議投票が控えているからである。4000の支部から指名された候補者6名の中で、ラマポーザ南ア大統領は2000票以上獲得し優勢とはなっている。しかし、国内インフレ高進、景気低迷、高失業率などで反ラマポーザ勢も盛り返そうとしている。失業率が悪化した場合は、反ラマポーザ側にとってはまたとない攻撃材料となる。

 

メキシコ経済のリスクシナリオは米国の景気後退:格付会社フィッチ

米格付け会社フィッチが21日、メキシコの格付けを『BBB-』で据え置き、見通しを安定的とした。格付けの位置づけについて、BBB格はデフォルトリスクへの期待が現在低いことを示す。ただ、投機的等級より1ランク上だけということで現在の政策金利などを鑑みれば、この格付けは低いと言える。フィッチは声明で『慎重なマクロ経済政策の枠組み、安定的で強固な対外財政、政府債務/GDP(比率)がBBBの中央値以下のレベルで安定的に推移すると予測される』ためとのことである。また、見通しが安定的な理由について『経済成長見通しが低調であるにもかかわらず、安定した財政と、政策立案者がこれと広範なマクロ経済の安定に優先的に取り組んでいることに支えられている』と前向きな見解を示した。なお、今後のメキシコ経済におけるリスクシナリオについて、米国のリセッションを挙げた。予想以上に急激な米国の景気後退は、メキシコ経済にとって重要な下振れリスクであると強調している。一方で、米中貿易摩擦が米国からのメキシコ製品輸入の拡大につながっているとして、米国が一段とメキシコに貿易面で依存することでメキシコの回復力が向上するとポジティブな意見も示した。

 

欧米市場イベント

○17:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:00   10月メキシコ貿易収支(予想:27.50億ドルの赤字)
○22:30   7-9月期カナダ経常収支(予想:40億カナダドルの赤字)
○23:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○29日02:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○29日02:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、イベントに参加
○29日02:10   ナーゲル独連銀総裁、講演

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