FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:出遅れバリュー株買いで底堅い展開

日経平均は高く始まった後も上げ幅を拡大した。ドル高/円安を受け、自動車など輸出関連株が堅調だったほか、値上げへの思惑から電力株が買われた。商社株もしっかりだった。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが保有率を引き上げたと伝わったことを好感した前日の流れが続いた。一方、半導体関連は軟調な銘柄が目立った。市場ではこのところ、米国の金融引き締めへの過度な警戒感が後退する中でグロース株がリバウンドしてきていたが、今日は出遅れたバリュー株が買われたとの声が聞かれた。上げ幅は一時200円を超える場面もあったが、明日は勤労感謝の日で休場となるため様子見ムードが広がった。結局、前営業日比170円高の2万8115円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:高値警戒感からドル買い続かず141円台後半でもみ合い

ドル/円は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、141.80円台へ下落した。米長期金利が低下したこともドル売りを誘った。仲値にかけて本邦輸入勢がドル買い・円売りに動き、一時的に142.10円付近へ値を切り返した。しかし、高値警戒感からドル買いは続かず、その後は141.65円付近へじり安となった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、141円台後半でのもみ合いが続いた。明日は東京市場が勤労感謝の日の祝日となるため、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.02ドル台半ばで小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国政府は銀行に信用支援強化を指示:インフラ投資など促進

中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は21日、インフラ投資を支援するための中長期融資の拡大など、国内銀行に信用支援を強化するよう指示した。発表文で『投資安定と消費促進、生活を保証する金融サービス提供へあらゆる努力をする』と表明した。『新型コロナウイルスの影響を受けた業界などへの信用支援を強化し、さらなる景気回復を促進するためにあらゆる努力をする』としている。大手国有銀行などの商業銀行は、中小企業や自営業者などへの信用拡大を率先して行い、製造業やサービス業の信用需要を支援すべきと指摘している。不動産部門は、開発業者や建設会社への融資を安定させるとともに、個人向け住宅ローンの妥当な需要を支援する必要があるとした。

 

24日のトルコ中銀の金融政策に注目:政策金利を一桁台まで利下げ予想

24日にトルコ中銀が公表する金融政策では、政策金利が現行10.5%から9.00%まで引き下げられるというのが市場のコンセンサスとなっている。10月の公式インフレ率が85%を超えたにもかかわらず、相変わらずエルドアン・トルコ大統領は金利を下げればインフレも低下するという、一般的な金融経済学を無視した考えに固執している。中銀は人事権を握る大統領の言いなりであり、市場からの信頼度は低下する一方である。

 

トルコ軍のクルド系武装組織攻撃で米国との関係悪化懸念

トルコ軍が週末、イラク北部に加えてシリア北部のクルド系武装組織の拠点を攻撃したことは米国との関係悪化に繋がりかねず、通貨リラにとっても懸念材料と言える。13日にイスタンブールで起きた爆破事件についてトルコ政府は、非合法の分離主義組織『クルド労働者党(PKK)』によるテロと断定した。その報復として、組織の司令部などを空爆で破壊したと報じられている。問題は、PKKの支部と見られているシリア北部の組織が米軍と関係性が近いということである。シリア北部のクルド系武装組織は、イスラム過激派組織ISの掃討作戦で米軍に代わり地上戦で中心的な役割を担った。その後も米軍は同組織を支援していると見られている。

 

南アでは10月のCPIとSARBのMPCによる利上げ幅に注目

南ア国内では23日に10月のCPIの発表があり、翌24日に南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が開かれることで、動きにくい展開が予想される。CPIは前値比で9月の7.5%から7.4%へ低下するとの市場予想となっているが、インフレが予想よりも高まった場合は景気停滞懸念が強まりランド売り要因になる。MPCでは現時点では0.75%の利上げ予想が優勢であるが、CPIの結果により直前に変化する可能性もある。なお、現時点の予想は下記のようになっている。

<世論調査での予想利上げ幅>
据え置き…………10%
0.25%の利上げ…10%
0.50%の利上げ…25%
0.75%の利上げ…50%
1.00%の利上げ…5%

 

感謝祭前の火曜日から新年の2日目まで米国株に強いジンクス:アノマリー

米国は24日が感謝祭(サンクスギビング・デー)の祝日のため、全市場が休場となる。ホリデーシーズンの季節要因が意識されやすい時期だが、相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば、感謝祭前の火曜日から新年の2日目までの米国株には強いジンクスがあるという。同期間中、S&P500指数は1950年以降、上昇したのが58回、下落したのは14回で勝率80.56%となっていた。平均上昇率は2.65%、中央値は2.40%で、下落した際の平均下落率は2.01%安だった。2019年以降は3年連続で上昇しており、FRBの金融政策運営の先行き不透明感が残るとは言え、アノマリー通りなら強い相場展開が期待される。

 

株式のエクスポージャー拡大意向が過去最低に:JPモルガン

JPモルガンが顧客を対象に毎週行っている調査によると、今後数日~数週間で株式エクスポージャーを拡大すると答えた比率は前週の50%から33%に低下し、過去最低となった。8月下旬につけた38%を下回った。10月の米消費者物価指数(CPI)がインフレの変曲点であったと答えた比率は53%、ドル高がピークを付けたと答えた比率は74%だった。暗号通貨の『冬の期間』について、1年続くと答えた比率は26%、『無期限』であると答えた比率は36%だった。

 

23年末の米国株は横ばいと予想:ゴールドマンサックス

ゴールドマン・サックスは21日、多くの機関投資家が運用の参考指標とする米S&P500種株価指数が2023年末は4000になるとの予想を示した。21日の終値(3949.94ポイント)からほぼ横ばいになると見込む。デービッド・コスティン氏らは同日付のリポートで『利益成長ゼロはS&P500種の上昇率ゼロと一致する』と指摘した。23年は米FRBの相次ぐ利上げで金融環境が引き締まることで企業の1株利益の伸びも見込みづらい。同社は米経済の軟着陸(ソフトランディング)を前提としているが、金融引き締めの影響で株価は23年3月末に3600まで下落すると予想。引き締めサイクルが同年5月に終了し、投資家が24年の成長に焦点を移すことで6月末には3900まで回復するとみている。もっとも、米景気が急速な落ち込みを伴うハードランディング型の後退局面に入ることは『依然として明確なリスクだ』とも指摘した。景気後退局面ではS&P500種が足元よりも2割安い3150ポイントで底入れするとみて、金利リスクの低いディフェンシブ銘柄などに投資するなど慎重な姿勢を保つべきだとの考えを示した。

 

欧米市場イベント

○16:00   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○18:00   9月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○19:15   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○22:30   9月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.5%/自動車を除く前月比▲0.6%)
○24:00   11月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲26.0)
○24:00   11月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲8)
○23日01:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23日03:00   米財務省、7年債入札
○23日03:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○23日04:15   ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○23日04:45   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演

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