FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:新規材料不足から一進一退の値動き

日経平均は前週末の米国株高を好感して底堅くスタートしたが、その後は小幅安の水準で一進一退の展開となった。市場からは新規材料不足との声も聞かれた。相場全体では明確な方向感がみられなかった一方、商社株はしっかりだった。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが国内大手の商社株の保有比率を引き上げたと伝わり、材料視された。市場からは、先週からの動きの中で日本株は材料出尽くし感が意識され、上値が重いとの声が聞かれ、次に米雇用統計が公表されるまでは横ばい圏での動きが続くと見込まれている。結局、前営業日比45円高と3営業日ぶりに小幅反発した。

 

東京外国為替市場:140円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、140.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。仲値発表後は、先週末に米FRB当局者からタカ派的な発言が伝わり、米金利先高観が高まっていることで海外短期筋などがドル買い・円売りを持ち込み、140.50円付近へ値を上げた。その後は、利食い売りなどに押され、小幅に値を下げて140.40円前後でもみ合いとなった。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが入り、一時140.57円付近までじり高となった。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル高の流れが波及した面もあった。ユーロ/ドルは、FRBがインフレ警戒を強め、積極的に金融引き締めへ向かうとの観測からユーロ売り・ドル売りが優勢となり、1.0270ドル近くまで下落した。

 

バフェット氏が商社株買い増し

著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが子会社を通じ伊藤忠、丸紅、三井物産、住友商事、三菱商事の株式を買い増したことが21日わかった。それぞれ保有比率はこれまでの5%台から6%超になった。保有目的はいずれも『純投資』としている。バークシャー子会社のナショナル・インデムニティー・カンパニーが同日、関東財務局には提出した大量報告書によると14日時点の保有比率は伊藤忠が6.21%(従来は5.02%)、丸紅が6.75%(同5.06%)、三井物が6.62%(同5.03%)、住友商が6.57%(同5.04%)だった。

 

ドル買いや豪ドル買い比率が低下:前週のFX概況

QUICKが21日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると『ドル/円』取引の総建玉に占めるドルの買い比率は18日時点で67.6%だった。前の週末から4.2ポイント低下し、10月中旬以来の低水準となった。週後半にかけて円安・ドル高が進んだ局面で、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略を取る傾向が強い個人投資家は円買い・ドル売りに動いたとみられる。米物価関連指標の伸びが市場予想を下回ったのを受け、15日に一時1ドル=137円台後半まで上昇した円相場は週後半にかけて140円台まで水準を切り下げた。米連邦準備理事会(FRB)高官らが改めて金融引き締めに積極的な発言をきっかけに円安・ドル高が進んだ場面で、FXを手掛ける個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高を減らした。他の通貨に対しても円の売り持ちを縮小する動きが目立った。『豪ドル/円』取引では、豪ドルの買い比率は前の週末から2.2ポイント低い65.1%だった。『ユーロ/円』取引では、ユーロ買い比率が2.5ポイント低下の28.0%、『ポンド/円』取引では、ポンド買いの比率は48.7%と3.1ポイント下がった。

 

24日のトルコ中銀による金融政策の発表が注目点

今週のトルコリラ円の最大の注目は、トルコ中銀による金融政策の発表である。24日20時に公表予定の政策金利は、『現行10.5%から9%まで引き下げ』との予想が大勢を占めつつある。150bpの利下げ幅は前回10月会合と同じ、利下げは4回連続である。エルドアン・トルコ大統領が今年中に望んだ一桁台の金利が、残り1会合を残して達成されることになる。足もとの公式インフレ率が85%を超えているにもかかわらず、大統領の言うがまま緩和を継続する中銀に対し、市場からの信頼は完全に失墜している。ただ、欧米金融機関のアナリストの中には、10%割れで利下げサイクルは終了すると見ている人もいる。声明文に『一旦の緩和打ち止め』を匂わせる文言が含まれれば、リラ買い戻しに繋がるかもしれない。一方で声明に新鮮味もなく、更なる深掘りさえもあり得る内容の場合、リラは対ドルを中心に下値を試す展開もあり得る。

 

南アの注目は23日10月CPIと24日SARBのMPCの結果

今週の南アからの注目イベントは、23日発表の10月消費者物価指数(CPI)と、翌日に行われる南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)になる。CPIは前年比で9月のた7.5%前後になると予想されている。10月の燃料価格はガソリンが値下げ、ディーゼルが値上げとなったことで相殺される。もっとも、11月は両方とも値上げになっていることで、今後のインフレ高進が予想される。ここ最近の市場動向では、米国以外の多くの国ではインフレの高まりが通貨高になるのではなく、利上げによる景気低迷やリセッション懸念の高まりで、通貨売りになることが多い。南アのCPIでも同様の傾向がみられる。SARBについては、中銀の目標インフレレンジより大幅にインフレ率が高まっていることで、MPCでは0.75%の大幅利上げになるとの声が多数になっている。

 

メキシコ中銀副総裁はさらなる利上げを示唆

メキシコ中銀の副総裁を務めるガリア・ボルハ・ゴメス氏がメキシコ経済と金利見通しについて国内イベントでの講演で語り、経済については、『新型コロナウイルスにより、我々は過去最悪の経済危機を経験した。ただ、そこからの回復は過去最大の早さだった』と自信を示した。実際の数値としては、2020年のGDPは8%減速し、2021年には5%近く戻し、2022年はこのままいけば2.4%ほど成長すると見込まれており、ほぼパンデミック前の経済水準を取り戻した格好になる。そして、利上げについては、直近のCPIが前年比で+8.41%だったことを挙げ、インフレが経済活動の足かせとなっていると指摘し、過去最高の政策金利である10.00%を超えて引き上げる可能性があることを示唆した。また、FRBとの関係性については、米利上げに合わせて機械的に利上げを行っているわけではなく、すべての関連する経済データを考慮した上で慎重さをもって判断しているとした。

 

FRBのQTが2つの理由で唐突に終わる可能性も:モルガン・スタンレー

モルガンスタンレーは20日付のリポートで、2023年の見通しに関して同社内での議論を紹介した。それによれば、FRBの量的引き締め(QT)に関していつ終わるのか、リア下げとの優先順位について盛んに議論されたとしながら、『過去の例は全く役に立たない。FRBは2つの政策ツールをそれぞれ独立したものと捉えており、QTを止めるかどうかはマネーマーケットの状況と銀行からの準備金需要次第』との見解を示した。リポートでは、金利の正常化が始まる23年12月前後からQTが終了する可能性もあるとしながら、2つの理由から唐突に終わる可能性もあると見込んだ。具体的には、①景気後退入りで100bp以上の利下げをFRBが検討しなければならない時、②20年3月のような状況、または直近の英国債市場で起きたような市場が期の不全に陥った時を挙げた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.6%)
○17:30   10月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.9%)
○21:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○22日01:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22日01:30   米財務省、2年債入札
○22日03:00   米財務省、5年債入札
○メキシコ(革命記念日の振替休日)、休場

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