FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:材料不足から方向感のない値動き

前日の米国株市場では主要3指数が小幅に下落した。日本株市場は売り優勢でスタートするとみられていたものの、小高く始まった。半導体関連株がしっかりで、相場を下支えした。ただ、寄り付き後はもみ合う展開が続き、方向感のない値動きとなった。一方、昨日の米国市場で米長期金利が上昇したことを受けて、グロース株の一角では売りが広がった。市場では、足元のマーケットは材料不足との指摘が聞かれ、12月2日の米雇用統計の発表に向けては、日経平均は2万7500円から2万8100円付近でもみ合いが続きそうだとの声が聞かれた。結局、前営業日比30円安の2万7899円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:北朝鮮による地政学リスクが高まると円買いが優勢に

ドル/円は、前日にブラード・セントルイス連銀総裁からタカ派的な発言が伝わり、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの思惑からドル買いが先行、140円台前半から140円台半ばへ水準を切り上げた。しかし、東京市場に入ると、週末を控えた利食い売りなどで140円台前半へ押し戻された。本日は実質的な五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く観測された。その後も、複数のメディアが『北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られるものを発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾したようだ』と報じた。この報道でリスク回避姿勢が強まると、さらにドル売り・円買いが進み、140円を割り込んで139.80円付近へ下落した。午後も、軟調地合いは一時139.65円付近まで値を下げた。ただ、今晩予定されている米経済指標やFRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識してドルを買い戻す動きも見られ、値を切り返して139.80円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、1.03ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコのネット外貨準備高が増加:ロシア国営企業からのドル送金が反映か

昨日トルコ中銀が発表した11日時点でのネット外貨準備高は182.3億ドルと前週より37億ドル増加していた。公には明らかにしていないが、中銀は国営銀行を通してリラ買いドル売りを断続的にしていると見られている。それにもかかわらず準備高が増加していたのは、一部通信社によれば、トルコから原子力発電所の建設を請け負ったロシア国営企業からのドル送金が一部反映されている。しかしながら、トルコ中銀の準備高の多くは、他中銀や市中銀行との通貨スワップによりなんとか維持されているとも言われている。スワップ無しでは外貨準備高が事実上マイナスとの見方もあるなか、リラ支え策はそう長くは続けられないかもしれない。

 

格付け会社が南ア債の格付け見直しを公表

本日は格付け会社のムーディーズ社とスタンダード&プアーズ(S&P)社が南ア債の格付け見直しを公表する。例年発表がNY時間の引け間際ということもあり、市場流動性の悪い中での発表になることで市場の反応も限られる。また、すでに両社ともに南ア債を投資不適格(=ジャンク債)にしているし、そこから抜け出すことも難しいことで値動きは限られる。ただし、サプライズリスクには要警戒とはなりそうである。なお、連日記載している南アのストライキについては、来週火曜日22日に公共サービスの7つの組合は、政府との賃金交渉が行き詰まっていることで、ストライキに突入するとの声明を出している。

 

メキシコ観光業が好調:消費額はパンデミック以前を上回る

メキシコの観光業は順調に回復基調を辿っている。国立統計地理院(INEGI)が発表した9月の外国人観光客は277万人と、夏季休暇の影響で増加する傾向にある8月の310万人よりは低下したものの、前年同月比では12.9%増となった。新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる2019年の同月からは8.8%減の数値であるが、各国で感染対策が緩和するなか、メキシコの観光業も受難の時期が終わろうとしている。また、観光客の消費額も好調である。世界的なインフレの影響もあり、今年1月から9月までの累計消費額は193億ドルとなった。この数字は前年同期を56%超上回っており、2019年同期の169億ドルも超える結果となっている。

 

FTAの破綻で分散型暗号資産にも打撃か:米WSJ

米ウォールストリート・ジャーナル紙は、FTX破綻、分散型暗号資産にも打撃か、分散型金融は暗号資産をめぐる多くの難問に解決策を提示していない、というコラム記事を掲載した。多くのデジタル通貨推進派にとって、暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの破綻は、『悪い』中央集権型暗号資産と「良い」分散型暗号資産との境界線を示すものだ。ただ残念ながらこの二つは、双方の支持者が認めるよりも複雑に絡み合っている。FTX破綻の余波は広がり、投資家がデジタル通貨を投げ売りしたり、他の中央集権型取引所から資金を引き揚げたりしている。暗号資産データ分析会社カイコによると、FTXの関連会社で、バランスシートに穴が開いた投資会社アラメダ・リサーチは、マーケットメイクで大きな役割を果たしていたため、その不在が値動きをいっそう不安定にしている。

 

米失業保険の申請は4週ぶり減少:ハイテク分野の解雇増はまだ現れず

17日に発表された11月6~12日の週間の新規失業保険申請関数は前週比4000件減の22万2000件による市場予想(22万1000件)をわずかに上回ったものの、4週間ぶりに減少した。労働市場の引き締まりが続いていることが示された。ツイッターやアマゾン、フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズなどが数千人規模の人員削減を発表しているが、現時点では公式データには表れていないようだ。製造業や娯楽、ホスピタリティーなどの産業は引き続き求人を満たすのに苦労している。季節調整前の実数も19万9603件と前週比で6101件減少した。一方、4週間平均では22万1000人と同2000件増え、すう勢としては緩やかながらも増加傾向を維持する。労働市場のひっ迫が徐々に緩んできているとの見方も継続しよう。10月30日~11月5日の総受給者数は150万7000人と前週比で1万3000人増えた。5週連続の増加で、150万人台を超え3月下旬以来の高水準となった。

 

FRBが6%までの利上げを行う見解を支持:ブラード総裁

セントルイス連銀のブラード総裁が17日の講演で、景気を熱しも冷やしもしない中立金利の水準を巡り、『制限的な水準に到達するために、政策金利をさらに引き上げる必要がある』と述べた。ウルフ・リサーチは17日付リポートで、ブラード総裁が経済指標をもとに適切な政策金利の水準を見積もる『テイラー・ルール』をもとに政策金利の水準が5~7%の幅にあると示したのを踏まえ、『これは、ウォラー理事が最近、1回のインフレ指標だけではトレンドにならないと強調し、ウィリアムズ総裁がやや驚くべきことに金融安定の確保よりもインフレ率の低下を優先すべきだとコメントしたことに続くものだ』と指摘した。リポートでは、『我々の見解では、最近のフェドスピークは、FRBが6%までの利上げを行うかもしれないという我々の見解を強く支持している。我々の中期的な弱気のベースケースは完全にそのまま残っていると信じている』との見解を示した。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.3%/前年比▲6.5%)
○16:00   10月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.6%/前年比▲6.9%)
○16:00   7-9月期ノルウェー国内総生産(GDP、予想:前期比1.3%)
○16:30   7-9月期スイス鉱工業生産
○17:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○22:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○22:15   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○22:15   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   9月対カナダ証券投資
○22:30   10月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.4%)
○22:30   10月カナダ原料価格指数(予想:前月比0.1%)
○22:40   コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○24:00   10月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲6.6%/年率換算440万件)
○24:00   10月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.4%)
○19日02:15   ハスケルMPC委員、講演

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