FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:インバウンド銘柄が相場を下支え

米小売大手が見通しを引き下げ、年末商戦期を前に小売業界を巡る懸念が高まって米国市場で株安となったことが重しとなった。米ハイテク株安を受けて、半導体関連株が軟調な一方、百貨店や旅行関連、空運、陸運といった経済再開(リオープン)関連がしっかりとなり、相場を下支えした。前日に発表された10月の訪日外国人旅行者数が9月から2.4倍の急増となり、インバウンド需要はコロナ禍前の水準にはまだ距離があるが、ひとまず期待が先行した先行した。結局、前営業日比97円安の2万7930円と反落して終了した。11月第2週(7日~11日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は5209億円買い越した。買い越しは3週連続となった。個人投資家は6504億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。また、信託銀行は1071億円の買い越しとなり、買い越しは2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑がドルの重し

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、139.65円付近へじり高となった。中国景気の減速を警戒した人民元安・ドル高(オフショア市場)の流れが波及した面もあった。午後に入っても、ドル買い・円売り基調は続いて一時139.80円付近まで値を上げた。ただ、前日の海外市場でつけた高値140.05円が視野入りすると、上げは一服した。その後は、FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑からドル売りも見られ、やや値を下げて139.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。今晩発表される米経済指標やFRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.03ドル台後半で方向感に乏しい値動きが続いた。

 

債券市場ではトルコのリスクは後退

トルコリラは対ドルでは、ある意味では『安定的な』弱さを維持している。市場ではリラの買い手は主にトルコ国営の銀行とされ、断続的にリラ買いドル売り介入が実行されていることが想像できる。もっともトルコ中銀の外貨準備高に限りがあるなかでは、どこかの時点で『リラの水準切り下げ』はあり得るかもしれない。なお、トルコ国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、信用リスクを示す)を見ると、5年債が560ベーシスポイント(bp)前後と4月初め以来の水準まで低下してきた。今年は夏にかけて900bpを超えたこともあったが、(依然として水準は高いものの)、債券市場におけるトルコリスクは後退している。

 

ストライキの拡大が南アランドの重し

国内最大の3つの労働組合連合(Cosatu、SA労働組合連合 (Saftu)、SA労働組合連合 (Fedusa))は本日賃上げを要求し、ストライキに入ることを宣言するとの報道が流れている。すでに公務員協会 (PSA)が部分的にストライキに入っているように、今後もストライキの拡大はランドの重しになる。南アの抱えているファンダメンタルズの弱さは明確なこともあり、現在の多くの通貨に対してのドル売りトレンドが収まった場合はランド売り・ドル買いに急転するリスクには要警戒となる。

 

11月NAHB住宅市場指数は11カ月連続の低下:10月鉱工業生産も予想外のマイナス

全米住宅産業協会(NAHB)が発表した11月NAHB住宅市場指数は33と、11カ月連続の低下となった。また、4カ月連続でマイナスセンチメントを示す50割れとなった。予想も下回りパンデミックによる経済封鎖直後2020年4月来で最低。米9月企業在庫は前月比+0.4%。伸びは8月+0.9%から予想以上に鈍化し昨年4月来で最小となった。事前に発表された米10月鉱工業生産は前月比‐0.1%と、9月+0.1%から予想外のマイナスに落ち込んだ。同月の設備稼働率は79.9%と9月80.1%から上昇予想に反して低下した。9月分もそれぞれ下方修正された。

 

ウォラー理事が12月のFOMCで50pb利上げを示唆:エバコア

FRBのウォラー理事が16日、インフレ鈍化を示唆する最近の指標を踏まえ、今後利上げペースを落とす可能性を示唆した。12月の米FOMCで50bpの利上げ、さらにそれ以降は25bpの小幅な利上げとなる可能性を検討することを『より快適と感じている』と述べた。エバコアISI16日付リポートで『ウォラー理事の講演では、12月に50bpの利上げがかなり確実視されたが、彼は今後のデータ次第とし、必ずしも固まったものではないと警告した。適切な政策バスについて彼の見解を変えるほどにはまだシフトしていないと指摘しており、議論はいつ、どの程度の水準で利上げ局面の最終的なFF金利の到達水準であるターミナル・レートに到達するかに完全に移行したようだ』との見解を示した。リポートでは、12月FOMCで公表される四半期経済見通し(SEP)のドットプロットに関して、FF金利見通しの中央値は4.75⇒5.00%に上昇する可能性が高いとしながら、5.00~5.25%にドットの大きな群れが集中するともみていた。

 

機関投資家の8割が景気後退を予想:米BofA

米BofAが15日公表した11月機関投資家調査(4-10日実施)によれば、今後12ヵ月以内に世界景気後退に陥る可能性が『高い』とする回答比率から『低い』との回答を引いた値は、前月から3pt上昇し77%となった。米11月FOMC後の利上げペース鈍化観測が強まる状況下でも投資家の景気後退懸念が弛緩していない実態が示された。また、2023年にインフレと低成長が同時に進む『スタグフレーション』が起こると答えた割合は92%となり、運用資産のうち現金比率は6.2%と前月比0.1pt低下したものの過去平均(4.9%)より高い01年以来の高水準だった。

 

23年の世界成長率は1.8%と予想:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは16日付リポートで、2022年の世界経済の成長は経済再開の後押しの減少、財政と金融の引き締め、中国のゼロコロナ政策と不動産の不振、ロシア・ウクライナ戦争によって減速しつつ、2023年には世界成長率が1.8%になると予想した。その理由はとして、『これは米国の回復力が欧州の景気後退や中国の経済再開の困難と対照的であるため』と指摘した。米国は変動激しい食料はエネルギーを除いた米個人消費支出(PCE)物価上昇率が現在の5%水準から23年後半には3%に鈍化し、失業率は0.5ポイントに上昇はとどまり、リセッション(景気後退)は辛うじて回避するとみている。実質所得の伸びが強まる中で洗剤成長率を下回る状態を維持するため、米連符準備理事会(FRB)はターミナルレート(利上げの最終到達点)を5~5.25%まで引き上げ、23年中の利下げはないと予想した。失業率が小幅な上昇と雇用への打撃が限られるのに、コアインフレが大きく低下することについては、高インフレ期と比べ状況が変化している点を挙げた。具体的には、まずパンデミック(感染の政界的流行)後の労働市場の過熱は過剰な雇用ではなく、かつてないほどの求人で現れた。次に、最近のサプライチェーン(供給網)と賃貸住宅市場の正常化によるデフレの影響はまだ先が長い。最後に、長期的なインフレ期待は依然として安定している点に注目していた。

 

欧米市場イベント

○19:00   9月ユーロ圏建設支出
○19:00   10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比10.7%)
○19:00   10月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比5.0%)
○21:30   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○22:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/150.0万人)
○22:30   10月米住宅着工件数(予想:141.0万件、前月比▲2.0%)
         建設許可件数(予想:151.4万件、前月比▲3.2%)
○22:30   11月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲6.2)
○23:15   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30   テンレイロMPC委員、講演
○23:40   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○24:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18日00:40   ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○英政府、中期財政計画発表

 

 

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