FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:地政学リスクが和らいだことで買い戻し

日本株は小高くスタートとした。前日の米国株市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。その後は、すぐにマイナス圏に沈み、前日終値近辺で一進一退の展開になった。ポーランド政府が16日、ロシア製のロケット弾がウクライナとの国境付近に着弾したと発表したことを受けて、地政学リスクへの警戒感から徐々に売りが優勢になり、一時240円安まで値を下げた。その後、バイデン米大統領が、米国とNATO同盟国が調査しているが、ロシアから発射されたミサイルが原因ではない可能性を示す予備的情報があると述べたことが伝わり警戒感が和らいだ。信用評価損益率は11日申し込み時点でマイナス10.18%と前の週のマイナス10.62%からマイナス幅が0.44ポイント縮小した。改善は4週連続となった。

 

東京外国為替市場:FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑からドル売り

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、138円台後半から139円台半ばへ水準を切り上げた。その後も、短期筋からポジション調整などのドル買い・円売りが持ち込まれ、140.00円付近まで上昇した。バイデン米大統領が『ポーランドに着弾したミサイルは、軌道を見る限りロシアから発射された可能性は低い』との見解を示し、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。午後も、ドル買い・円売り基調は続いて一時140.29円付近までじり高となった。ただ、今晩予定されている米経済指標や米FRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、前日に発表された10月PPIが予想を下回り、FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑からドル売り・円買いみ見られ、やや値を下げて139.70円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、一部メディアが『ポーランドに着弾したミサイルは、ウクライナが迎撃したものの可能性がある』と報じたことで、海外勢などがユーロ買い・ドル売りに動き、1.03ドル台半ばから1.037ドル台へ上昇した。

 

非製造業がけん引して9月中間の純利益は最高水準

上場企業の2022年9月中間決算の純利益合計額が21兆円を超え、中間期ベースで過去最高水準となる見通しとなったことが15日、分かった。新型コロナウイルス禍で苦境に陥った鉄道や空運の復調を背景に、非製造業の伸びがけん引するなど業績上方修正が目立った。ただ円安進行に伴うコスト上昇が響き、製造業の営業利益は前年同期から1.1%減だった。

 

顧客は米国株を3週ぶり買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの15日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は11月7日~11日の1週間に米国株を33億5800万ドル買い越した。3週ぶりに買い越しとなった。この週は米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったのを受けて、NYダウの週間の上げ幅が1300ドル超(4.1%高)に達し、S&P500種株価指数は週間で5.89%高となって大幅反発した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が3億2600万ドル買い越して2週ぶりに買い越しに転じた。機関投資家は45億4200万ドルの買い越して4週ぶりに買い越しに転じ、買い越し額は2008年以降で3番目の大きさだった。個人投資家は15億6700万ドルの売り越しで、3週連続の売り越しとなった。企業の自社株買いは11億4100万ドルと、10月以降に例年の季節的傾向を上回る買いが続いたが、先週は下回る水準に鈍化した。傾向としては顧客はディフェンシブセクターよりもシクリカルセクターの株式を多く購入しており、過去2ヵ月の傾向から逆転した。

 

G20でトルコ・米国首脳会談:両国間のいくつかの問題を話し合う

インドネシアのバリ島で開催されたG20サミットに参加したエルドアン・トルコ大統領は、現地でバイデン米大統領と会談した。両国間のいくつかの問題を話し合い、またウクライナの穀物輸出についても協議されたようである。黒海を経由する貨物船の安全や検査に関する合意は19日に合意の期限を迎える。食料の安全保障を維持するうえでも、合意延長に向けてトルコのイニシアティブが問われる。昨日は、ウクライナを攻撃していたロシアのミサイルが北大西洋条約機構(NATO)加盟国ポーランドにも着弾し、被害者も出たことが報じられた。同じ加盟国でありながら露製地対空ミサイルを購入するなどロシアに接近しているトルコにとって、今後のNATOの対応次第では難しい立場に追い込まれる。

 

南アランド高で燃料基準価格も低下する可能性

昨日、南アの中央エネルギー基金 (CEF) が発表した12月の燃料基準価格では、ガソリン価格は大幅上昇、11月高騰したディーゼル価格はその反動から低下する見込みになる、との予想を発表した。もっとも、このままランド高が続くと、輸入価格が抑えられることで燃料基準価格も低下する可能性があるとの見解を示している。

 

債務上限引き上げは年内不要:米共和党上院トップ

米共和党上院トップのマコネル院内総務は、連邦債務上限を引き上げる法案は来年まで必要ないと指摘し、上院での年内採決の可能性は低いとの見方を示した。債務上限問題は来年まで浮上しないと述べている。

 

インフレはFRBの目標を大幅に上回る展開

消費者物価指数(CPI)に続き生産者物価指数(PPI)も伸びが鈍化し連邦準備制度理事会(FRB)の利上げピークが視野に入ったためドル売りが優勢となった。ただ、CPIは前年比+7%、コアCPIは+6.3%。PPIは+8%、コアPPIは+8.0%と、依然FRBのインフレ目標である2%を大幅上回る。パウエル議長始めFRB高官は不十分な利上げのリスクは過剰な利上げのリスクを上回るとしており、インフレ鈍化の軌道が明確になるまで、利上げを終了する姿勢はなくドルの下値を支える。利上げの軌道はインフレ動向次第である。ガソリン価格は6月をピークに低下していることがインフレ抑制に繋がったと見られる。しかし、EUのロシア産石油輸入禁止で、原油価格が再び上昇する可能性も除外できない。

 

米国市場では10月小売売上高が公表:予想は前月比+0.9%

9月実績は前月比横ばいとなった。売上高の減少は13業種中7業種に及んだ。高インフレは消費者の購買意欲を低下させる要因となった。業種別にみると、ガソリンスタンドの売上高が減少した。10月については9月に伸び悩んだ反動でこうインフレの影響はあるものの、やや高い伸びとなる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.8%/前年比10.7%)
○16:00      CPIコア指数(予想:前年比6.4%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比1.9%/前年比13.6%)
○18:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○18:40   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○20:00   9月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.0%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:45   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:15   10月カナダ住宅着工件数(予想:27.00万件)
○22:30   10月カナダCPI(予想:前月比0.8%/前年比6.9%)
○22:30   10月米小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比0.5%)
○22:30   10月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.4%)
○23:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○23:15   10月米鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
          設備稼働率(予想:80.4%)
○23:50   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○24:00   11月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:36)
○24:00   9月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○24:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○24:00   バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、議会証言
○17日00:30   EIA週間在庫統計
○17日01:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比▲4.7%)
○17日02:00   ラガルドECB総裁、講演
○17日03:00   米財務省、20年債入札
○17日04:35   ウォラーFRB理事、講演
○17日06:00   9月対米証券投資動向

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