FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りが重しとなり下げ幅拡大

前週末の大幅高の反動で利益確定売りが重しになった。指数寄与同の大きいソフトバンクグループなどの下落が指数を下押しした。小幅続伸で始まった後、短時間でマイナスに転じ、軟調となった。また、米国株先物が軟調に推移したことは、投資家心理の重しになった。今週は米国で10月小売売上高や小売り大手の決算を控えており、利上げによる米実体経済への影響を見極めたい側面もあるという。大引けにかけて次第に下げ幅を拡大し、節目の2万8000円を下回って安値引けとなった。結局、前営業日比300円安の2万7963円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇からじり高地合い

ドル/円は、オセアニア市場でドル/円はウォラー米FRB理事がインフレ抑制するために、積極的な金融引き締めを継続する姿勢を示したことからドル買いが先行、139円台前半から一時139.90円台まで急上昇した。しかし、東京市場では、先週末に発表された11月ミシガン大学消費者信頼感指数が低調で、米国の景気減速を警戒したドル売り・円買いが入り、139円を割り込んで138.80円付近へ下落した。その後、黒田日銀総裁が金融緩和を続けていく方針を改めて示したことから円売りも見られ、139円台前半へ持ち直す荒い値動きとなった。午後は、このところ下げ基調が続いていたため、利益確定などのドル買い・円売りが入り、139円台半ばへじり高となった。米長期金利が高い水準で推移していることも、ドルの買い戻しにつながった。ユーロ/ドルは、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のユーロ売り・ドル買いに押され、1.03ドル台を割り込む場面があった。

 

高水準も損失覚悟のドル売りでドル買い比率低下:前週のFX概況

QUICKが14日算出した11日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は71.8%だった。2020年12月末時点(81.2%)以来およそ1年10ヵ月ぶりの高水準だった前の週末からは1.8ポイント低下したものの、高い水準が続いた。10日発表の10月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びとなったことから、円相場は前週に大きく円高・ドル安へ振れた。相場の流れに逆らって取引する『逆張り』戦略をとる傾向が強いとされる個人投資家には円売り・ドル買いの動きが出た。ただ、円相場が一時1ドル=138円台半ばと8月末以来、約2ヵ月半ぶりの円高・ドル安水準をつけるなど、節目として意識されていた140円を割り込んで円高・ドル安が進むと損失覚悟の円買い・ドル売りが広がり、円に対するドルの買い比率は下がった。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は前の週末から8.7ポイント高い67.3%と、5週間ぶりに上昇した。『NZドル/円』取引のNZドル買い比率は、前の週末から11.6ポイント上昇の67.0%と大幅に上昇した。米国でインフレがピークアウトしつつあるとの見方から市場心理が改善に向かった。リスク資産の価格と連動しやすいとされる豪ドルやNZドルには『押し目とみた買いが入りやすかった』との声があった。

 

欧州市場ではユーロ圏9月鉱工業生産が公表:予想は前月比+0.1%

8月実績は、前月比+1.5%だった。製造業が投資を拡大した。資本財や消費財の清算もまずまず増加した。ただ、9月については8月に増加した反動で資本財の生産は伸び悩み、全体的には横ばいか、小幅な伸びにとどまる可能性がある。

 

トルコ中銀の金融政策発表を控えリアは動きにくいまま

来週にはトルコ中銀の金融政策発表を控えており、リラに資金は向かいづらいままである。中銀は現行10.5%の主要政策金利を、エルドアン大統領の望み通りに一桁まで引き下げると見られている。先週は国際通貨基金(IMF)の事務方代表団に『政策金利の早期引き上げ』を勧告されたトルコだが、相変わらず聞く耳を持とうとしていない。なおトルコ現地時間の13日16時過ぎ、イスタンブール中心部で爆発が起きた。東京朝までに伝わっているところでは、6人が死亡し、80人以上が負傷した。オクタイ副大統領は爆弾テロとの見方を示している。オセアニア市場では事件への反応は限定的だったが、今後の情勢を見守る必要はある。

 

南アでは今週は動意づく材料は乏しい

南ア国内からは、9月の小売売上高が発表されるが、ランド相場が動意づくのは難しい。また、週末18日には3大格付け会社のムーディーズとスタンダートアンドプアーズ(S&P)の両社が南ア債の格付けを発表する。すでに南ア債はジャンク債扱いで、格上げされるのも難しくもあることで、サプライズがない限りは反応は限られる。また、南アの公務員組合のストライキが先週から開始されたこと、ラマポーザ南ア大統領のスキャンダルに対する調査などの国内状況にも引き続き目を向けておきたいところである。

 

メキシコではサマータイム廃止法案が施行:世界的にも廃止の流れ

メキシコでは多くの州が10月30日でサマータイム(夏時間)を終了し、冬時間へと切り替わった。ただ、メキシコの夏時間は今年が最後となる。メキシコ政府は同国の時間帯に関連する法案を公布した。国を跨いだ労働者などへの配慮もあって、米国との国境付近の都市など一部例外はあるものの、首都メキシコシティなどの大半の州では夏時間が廃止となる。こうしたサマータイム廃止の流れは世界的に進んでいる。欧州連合(EU)は2019年にサマータイム制度を廃止する法案を可決(その後に世界を襲ったパンデミック対応が優先されたことで、廃止議論は先送りに)。一方、米国では今年3月にサマータイムを恒久化させる法案を米上院が可決。選択する時間帯の違いはあれど、時計の針を1時間動かすという国は今後減っていくことになる。

 

米中間選挙後の米国株高アノマリー

米中間選挙後の『米国株高アノマリー』は、中間選挙の結果を踏まえて、現職大統領が積極的な政策を打ち出すとの期待が選挙後から高まり、第2次世界大戦1994年以降において中間選挙から1年後のNYダウ及び米S&P500指数は平均十数%上昇、勝率100%が80年間続いている。それだけに40年振り高インフレ退治で過去最速FRB大幅利上げペースの減速及び打ち止め、そして利下げ転換への期待と相まって年末から新年に向けた米国株の上昇に期待する強気派は少なくない。

 

欧米市場イベント

○16:30   10月スイス生産者輸入価格
○18:30   米中首脳会談(バリ島)
○19:00   9月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年比3.0%)
○19:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   10月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.70%)
○15日01:15   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○15日01:15   デギンドスECB副総裁、講演
○15日01:30   ブレイナードFRB副議長、講演
○15日03:00   ナーゲル独連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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