FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末の米国株市場の上昇を好感した買い優勢に

前週末の米国株市場は主要3指数がそろって上昇した。この流れを引き継ぎ、堅調に寄り付いた。指数寄与度の高い銘柄群や好決算を発表した銘柄が堅調に推移し、相場を押し上げた。日経平均株価は堅調に推移しているが、市場では米金融引き締め長期化による世界景気減速懸念は強いとの声が聞かれた。また、米中間選挙や米物価統計の公表を控えて様子見姿勢も広がりやすく、日本株がどんどん上値を追う展開は見込みにくいとの声もあった。結局、前営業日比327円高の2万7527円と3営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:147円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動きとなり147.05円付近へじり高となった。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。その後も、ドル買い・円売り基調は続いて、147.34円付近まで上昇する場面があった。ただ、今週予定されている米中間選挙や米消費者物価指数(CPI)のイベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、米国の利上げペースが鈍化するとの観測からドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて147.10円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、4日に米FRB当局者から大幅利上げに慎重な発言が相次いだことで、海外勢などがユーロ買い・ドル売りを持ち込み、0.99ドル台前半から0.99ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

ドル買い比率は1年10ヵ月ぶり高水準:前週のFX概要

QUICKが7日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買い比率は4日時点で73.6%と、前の週末から3.2ポイント上昇した。2020年12月末以来およそ1年10ヵ月ぶりの高水準となった。米連邦準備理事会(FRB)による利上げベースが鈍るとの観測から円が対ドルで強含む場面があり、相場の流れに逆らう『逆張り』的な個人投資家の円売り・ドル買いが膨らんだ。前週2日の外国為替市場で、円相場は一時1ドル=145.68円まで上昇した。この日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が利上げペースの減速を示唆したと受け止められ、円相場を押し上げた。4日も10月の米雇用統計で失業率が上昇したことなどを受けて円は146円台半ばまで上昇する場面があり、円高・ドル安が進んだ局面でFXを手掛ける個人はドルの押し目買いに動いた。英ポンドの買いが急増した。『ポンド/円』取引でポンド買い比率は54.5%と24.9ポイント上昇した。イングランド銀行(英中銀)のベイリー総裁が3日、利上げの終着点(ターミナルレート)は市場予想よりも低くなる可能性を示唆し、主要通貨に対して英ポンドが大きく下落していた。『ユーロ/円』取引では、ユーロ買いの比率が4.3ポイント上昇の26.1%となった。

 

トルコの実際のインフレ率は公式データの倍以上:民間調査機関の調べ

先週トルコ統計局が発表した10月消費者物価指数(CPI)は前年比で85%台と1997年以来の高水準を記録した。しかしながら独立系の民間調査機関の調べでは実際のインフレ率は公式データの倍以上と算出されており、トルコ市民も統計局の数値を信じていない人が多い。そのためか、CPI発表後のリラ相場の反応は限定されている。カブジュオール・トルコ中銀総裁は先月、インフレとの戦いに苦戦していることを認め、抑制のために有効な手段を取ると述べた。もっとも、中銀はエルドアン大統領の圧力には抗えず、今月下旬に予定されている中銀会合では利下げが確実視されている。大統領が『金利を引き下げれば物価も下がる』という非正統的な考えを捨てない限り、市民が物価上昇に苦しむことが続いてしまう。

 

南アはテクニカルリセッションに陥る可能性

南アでは、毎月第1水曜日(今月は2日)に国内のエネルギー基準価格が発表される。11月は無鉛ガソリンが1リットルあたり0.51ランド、ディーゼルは1.43ランド上がることになった。ディーゼル価格は欧米でも供給不足となっていることもあり、基準価格も過去最高値を更新している。国内エネルギー価格の高まりは、トラック輸送、農業、建設業界に追加コストを強いることになることで、インフレ高進と経済的な打撃が懸念されている。インフレ高進は金利上昇の通貨高よりも、景気減速懸念の高まりで通貨売りに反応していることで、今後もランドの重しになる。11月のインフレ指標の発表はまだ先になるが、南アも高インフレによる景気悪化でテクニカルリセッションに陥る可能性が高まる。

 

メキシコ中銀発表のエコノミストによる最新予測

メキシコ中銀が発表したエコノミストによる最新の予測によると、今年のGDP見通しは前回の+2.01%から+2.12%に引き上げられた一方、2023年GDPは+1.15%から+0.97%に下方修正した。また、インフレについては2022年は8.48%から8.54%に、2023年は4.81%から5.09%にそれぞれ引き上げられた。

 

米中間選挙は8日(日本時間9時)に投開票を迎える

各州によって投開票の時間が異なる。投票終了時間が早い州は日本時間9日8時に投票を終え、開票作業に入る。一方、西海岸のカリフォルニア州などは13時に投票を終える。開票作業が終わり次第、順次結果を発表する。大勢は日本時間の9日午後に判明するとみられる。ただ、郵便投票の処理・確認手続きの開始時間は州ごとで異なるため、接戦なら結果判明に数日~数週間かかととの見方もある。

 

米国市場では10日に10月の消費者物価指数が公表

今週は、米国10月の消費者物価指数は前年比8.1%と予想されており、6月の9.1%、7月の8.5%、8月の8.3%、9月の8.2%からの鈍化傾向が続くことが見込まれている。予想通りに鈍化傾向が確認された場合は、12月FOMCでの0.50%の追加利上げ確率が高まり、ドル/円の上値を抑える要因になる。しかし、上昇基調が確認された場合は、12月FOMCでの0.75%の追加利上げ確率が高まることで、ドル/円の買い要因になる。ただ、ドル/円が強含む局面では、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に警戒が必要となる。

 

欧米市場イベント

○15:45   10月スイス失業率(季節調整前、予想:2.0%)
○16:00   9月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年同月比2.0%)
○17:40   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:30   パネッタECB専務理事、講演
○8日05:00   9月米消費者信用残高(予想:330.0億ドル)
○8日05:40   コリンズ米ボストン連銀総裁、メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○米国は6日から冬時間に移行済み

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ