FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安の流れを引き継ぐ展開

米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて米国株安となった流れを引き継ぎ、日本株は軟調な展開が続いた。米金利先高観から値がさ株やハイテク株の売りが加速し、相場を押し下げた。市場では、FOMCの結果について今後の利上げペース鈍化が示唆された一方で、利上げの最終到達点はまだまだ上方向ということが明確になり、景気の減速感が強まったとの声が聞かれた。また、今晩の米雇用統計で米金融引き締めの長期化が意識された場合は、節目の2万7000円を割り込む展開も考えられるとの見方も出ていた。結局、前営業日比463円安の2万199円と続落して終了した。10月第4週(24~28日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は835億円買い越した。買い越しは2週ぶりになった。個人投資家は1041億円売り越しとなり、売り越しは2週ぶりとなった。信託銀行は1100億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。

 

東京外国為替市場:売り買い交錯するも147円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、2日に行われたパウエル米FRB議長の会見がタカ派的な内容となり、積極的な金融引き締めが今後も続くとの思惑からドル買いが先行、148.40円付近へ上昇する場面があった。しかし、今晩発表される10月米雇用統計を前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、148.00円付近へ下落した。日経平均株価の大幅安で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。午後は、米長期金利が小幅に低下すると、さらにドル売り・円買いが進んで一時147.83円付近までじり安となった。中国でコロナ規制緩和期待が高まっているため、これを好感した人民元高・ドル安が波及した面もあった。ただ、下値では日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りも見られ、値を切り返して147.90円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、週末を控えて利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、一時0.9790ドル近くへ値を上げた。

 

ドイツ政府は景気後退入りを予測

ドイツ政府が2023年の経済成長率予測(暫定値)が前年比0.4%減となり、景気後退に陥るとの見通しをまとめたことが分かった、と報じている。欧州最大の経済大国であるドイツは、エネルギー危機と物価上昇、供給のボトルネックなどの圧迫を受けるという。

 

クレディ・スイスGはジャンク級の1段階手前へ格下げ:S&P

格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループの長期格付けを1段階引き下げ、ジャンク級(投機的)の1段階手前の『BBBマイナス』とした。一連の不祥事や損失を受けて先週発表した再建計画に『重大な実行リスク』があるためとした。S&Pは1日付のノートで、再建計画は以前より断固としたもので、同グループの簡素化や安定化、リスク低減につながる可能性があるとの見方を示した。だが『複数年にわたる計画の複雑さや困難な経済・市場環境を踏まえると重大な実行リスクがあり、非中核資産圧縮の速度とコストに悪影響をもたらす可能性がある』とも指摘した。ムーディーズはクレディ・スイス・グループの主要事業部門であるクレディ・スイスの一部格付けを引き下げたが、グループ全体の格付けは据え置いた。

 

トルコでは高CPIの中で金融緩和リスクが意識される

トルコ統計局が発表した10月消費者物価指数(CPI)は前年比85%台と1997年以来の水準まで加速したが、市場インパクトは弱かった。なおトルコメディアによればエルドアン大統領は先日、国内の経済状況を褒め称える演説を国会で行った。大統領は『経済の歯車は回っている』とし、『投資、雇用、生産や輸出、そして経常黒字などによる成長という我々の経済モデルは実を結んでいる』と述べた。大統領選を来年に控えて物事を良く見せたいのだが、現実を直視できていないとも言える。その大統領はトルコ中銀への利下げ圧力を緩めず、今月の会合でも1.5%の引き下げが決定されるとの見方が広がっている。一部ではそれ以上の金利引き下げも否定できないとの声も出ている。中銀会合が予定されている今月下旬が近づいて来れば、金融緩和リスクがより意識されることになる。

 

南アでは労使交渉が様々な面で経済に影響を与える

国際通貨基金(IMF)のアフリカ担当者は、先日発表された南アの中期予算政策声明 (MTBPS) について、予想外の税収の増額を節約することに対して『正しい』『非常に前向き』などと発言している。しかしながら、MTBPSには今後の公務員組合の賃上げを織り込んでいないことで、今後のリスクになるとも述べている。組合のストライキが本格化する可能性が高いことで、今後の労使交渉は様々な面で南ア経済に影響を与えそうである。 南ア国内では、政府との賃金交渉が決裂したことで、約80万人の公務員がストライキに入る。

 

メキシコへの順調な送金が継続:国内製造業の景況感の維持も好材料

メキシコ銀行(中央銀行)が1日に発表した9月の国外労働者によるメキシコへの送金額は50億3080万ドルとなった。単月の数字として過去最高額を記録した7月から2カ月連続で送金額が減少しているものの、前年同月の水準を29カ月連続で上回っている。 これで今年5月から5カ月連続での50億ドル台とあって、好調な米雇用情勢を背景にメキシコ国内への順調な送金が続いている。メキシコ国外労働者の大半が米国に居住していることから、今後も米雇用情勢の推移には注目しておきたいところである。 また、同日に公表された10月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3となり、2カ月連続で景況改善・悪化の分水嶺となる50を上回りまった。メキシコ銀行(中央銀行)が積極的な利上げを続けているにもかかわらず、国内製造業の景況感が維持されていることはポジティブな材料と言える。

 

米10月ISM非製造業景況指数はパンデミック来の低水準

米10月ISM非製造業景況指数は54.4と、9月56.7から予想以上に低下し、50割れとなったパンデミックによる経済封鎖直後の2020年5月来で最低となった。米商務省が同時刻に発表した9月製造業受注は前月比+0.3%と、8月+0.2%から伸びが拡大した。また、米9月耐久財受注改定値は前月比+0.4%と、8月+0.2%から伸びが拡大した。変動の激しい輸送用機器を除く耐久財受注改定値は前月比-0.5%と、2月来のマイナスとなった。下落率は2020年4月来で最大。国内総生産(GDP)の算出に用いられる航空機を除く非国防資本財の出荷改定値は前月比-0.5%と、昨年2月来で最低となった。10-12月期のGDP成長のマイナスに寄与する。事前に発表された米10月サービス業PMI改定値は47.8と、速報値46.6から予想外に上方修正された。ただ、4カ月連続で50割れと活動は縮小。同月総合PMI改定値も48.2と、速報値47.3から上方修正された。

 

来年の米成長率見通し引き下げ:ゴールドマン

米ゴールドマン・サックス・グループは、米連邦準備制度の利上げ幅見通しを上方修正したことを受けて、2023年の米経済成長率見通しを下方修正した。同社のエコノミストは16日のリポートで、23年の米国内総生産(GDP)の成長率見通しを1.1%と、これまでの1.5%から引き下げた。今年の成長率は0.0%に据え置いた。ゴールドマンはまた、成長率見通しの引き下げを踏まえて米失業率の見通しを引き上げた。今年末までの失業率は約3.7%(従来予想3.6%)、23年末までは4.1%(同3.8%)、24年末までは4.2%(同4.0%)との予想を示した。

 

米国市場では10月雇用統計が公表:良好な結果に期待

米労働省が発表する最新10月雇用統計で失業率は依然50年ぶりの低水準付近が維持される見込みとなっている。非農業部門雇用者数も前月比+25万人前後の伸びを維持する公算で、労働市場の健全性が明らかになると見られる。米連邦準備制度理事会(FRB)の歴史的にも大幅な利上げが継続しているにもかかわらず、労働市場が減速する兆候はあまり見られず、予想通りの結果はFRBの利上げ継続する方針を後押しする可能性が強い。雇用統計の先行指標のひとつ民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の10月分は予想を上回る伸びとなった。週次の失業保険申請件数も歴史的な低水準で推移した。 ただ、一部先行指標では雇用が若干弱まり始めた兆候も見られる。全米の製造業活動を示すISM製造業景況指数の10月雇用は50と、9月から活動の拡大と縮小の境目を回復したものの若干弱さが伺える。また、米国経済は消費が7割を占めるため注目となる米ISM非製造業景況指数の雇用が49.1と7月以来の50割れとなったことも警戒材料となる。FRBのパウエル議長が特にタカ派色を強調したのは、10月雇用統計が良好なことを示していると期待感が台頭している。ただ、逆に、ネガティブサプライズとなった場合はドル売りが加速する可能性がある。

 

市場予想:失業率:3.6%(9月3.7%)非農業部門雇用者数:前月比+26万人(+31.5 万人)民間部門雇用者数:前月比+27.5万人(+30.8万人)平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+5.0%(+0.3%、+5.2%)

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.5%/前年同月比▲7.2%)
○16:45   9月仏鉱工業生産(予想:前月比▲1.0%)
○17:30   ナーゲル独連銀総裁、講演
○17:50   10月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:51.3)
○17:55   10月独サービス部門PMI改定値(予想:44.9)
○18:00   10月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:48.2)
○18:15   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:30   10月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.5)
○18:30   ラガルドECB総裁、講演
○19:00   9月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.7%/前年比42.0%)
○21:15   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○21:30   10月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化0.50万人/失業率5.3%)
○21:30   10月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化20.0万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.7%)
○23:00   10月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00   コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○ロシア(民族統一の日)、休場
○6日 米国が冬時間に移行

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