FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高を好感して幅広く買い戻し

前週末の米国株高を好感する動きが先行した。寄り付き前に発表された9月の鉱工業生産は予想を下回ったものの、株価への影響は小さかった。ハイテク株やグロース(成長)株を中心に幅広く買い戻された。決算内容が良好と受け止められた個別銘柄への物色も目立った。結局、前営業日比482円高の2万7587円となり、3営業日ぶりに反発した。9月20日以来およそ1カ月ぶりの高水準となった。

 

東京外国為替市場:重要イベント控え147円台後半でもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などから月末に絡むドル買い・円売りが多く持ち込まれ、一時148.28円付近まで上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドル買いにつながった。ただ、明日から開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)のイベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ148.00円付近へ下落した。午後は、米長期金利上昇一服を眺めたドル売りに押され、やや値を下げて147.80円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、この後参入してくる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気から、0.99ドル台半ばで小動きに終始した。

 

ドル買い比率3ヵ月ぶりの高さ:前週のFX概況

QUICKが31日に算出した28日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は70.4%と前の週末から0.5ポイント上昇した。7月25日以来、およそ3ヵ月ぶりの高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを鈍化させるとの観測が強まり、米長期金利の低下で円相場が上昇した。このタイミングで相場の流れに逆らう『逆張り』の個人投資家が円売り・ドル買いに動いた。21日に米ウォール・ストリート・ジャーナルが『FRBが11月のFOMCで、12月会合での利上げ幅縮小を協議する』と報じたのをきっかけに、日本政府による円買い介入観測も浮上して円は同日のニューヨーク市場で1ドル=144円台半ばまで上昇した。円に対するポンド買い比率は前の週から15.7ポイント低下の29.6%となった。2021年10月以来、1年ぶりの低水準だった。英スナク新首相が25日に就任し、財政規律と市場の安定を重視する姿勢を打ち出した。英国の政治や財政への不透明感が和らいで英ポンドが上昇した場面で、個人投資家が逆張りに動いた。

 

10月の中国製造業PMIと非製造業PMIは50割れ

中国国家統計局と中国物流採購聯合会が31日発表した2022年10月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、市場コンセンサス予想(50.0)を下回った。前月比0.9ポイント低下し、22年7月(49.0)以来3カ月ぶりの低水準になった。また、2022年10月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.7と、前月比1.9ポイント低下した。22年5月(47.8)以来5カ月ぶりに50を割り込んだ。PMIは50を上回ると景況感の改善、下回ると景況感の悪化を示す。

 

欧州市場ではユーロ圏域内総生産(GDP)速報値:予想は前年比2.5%

4-6月期の実績は、前年比+4.1%だった。個人消費の伸びが寄与したが、エネルギー不足がインフレをさらに押し上げており、景気の勢いは弱まりつつあることを示唆する内容だった。7-9月期については、個人消費が衰えつつあること、純輸出の伸びは期待できないことから、全体の成長率は前期を下回る見込みである。

 

トルコの10月CPIに注目:一部ではインフレの伸び率加速予想

日本時間3日夕方にはトルコの10月消費者物価指数(CPI)が発表される。9月分は前年比83%台と約24年ぶりの大幅上昇率を記録したものの、中銀が緩和姿勢を継続しているためインフレ悪化に歯止めはかからない。一部では85%台まで伸び率加速が予想されている。もっとも、トルコ最大の都市イスタンブールのインフレ率は三桁を超え、民間の物価調査機関の調べでは統計局の発表値よりも2倍以上も高い数値が算出されている。そういった状況のなかで、80%以上という公式データが持つ市場インパクトはある意味弱まっているとも言える。

 

9月貿易収支と国内エネルギー設定価格に注目

今週は南アからは9月貿易収支が発表されるほか、11月分の国内エネルギーの設定価格にも要注目である。すでに、11月は上昇するとの見解が発表されているが、もし大幅上昇となった場合は南アの景気悪化が懸念され、テクニカルリセッションに陥る可能性が高まる。

 

メキシコと米国との関係悪化による悪影響も懸念

メキシコのスアレス副農相は今週、2024年に米国産のイエローコーンの輸入を半減させる方針だとの見解を示した。メキシコ政府は2024年までに遺伝子組み換え作物の使用を段階的に禁止させる法案を成立させており、米国産コーンの輸入量削減もその一環となる。米農業関係者はかねてからこの法案によってコーンの輸出が削減される可能性に懸念を示していたが、メキシコ側はこれまで米国産コーンの輸入を制限しないことを米国側に示唆していた。今回の副農相の発言はこれを覆すものとなり、米国側からの反発は必至の状況である。米国とメキシコはすでにエネルギー政策を巡って対立している。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の基で協議を進めているが、今後は農業政策にも火種が拡大する可能性が高まってきた。米国との関係悪化による悪影響も懸念される。

 

米国では新規上場やM&Aが急減

米国で企業の新規株式公開(IPO)や合併・買収(M&A)が急減している。米調査会社によれば、今年の新規上場件数は9月末時点で64件と、前年同時点に比べて約8割減った。北米のM&A件数も2割近く減った。歴史的な高インフレや急激な利上げで金融市場が不安定化し、先行き不透明感が増しているためだ。新規上場やM&Aの低迷は、経済の活力でもあるベンチャー投資の停滞も引き起こしている。米国では2020年夏以降、新型コロナウイルス危機を受けた大規模金融緩和を背景に株式相場が上昇した。ITや電気自動車(EV)関連企業などを中心に新規上場ブームに沸き、昨年の上場件数は、ITバブルだった00年以来の高水準だった。低利での借り入れが可能になり、M&Aも急増した。

 

米政策金利が来年3月に5%でピークと予想:ゴールドマン

ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは米金融当局が政策金利を5%まで引き上げるだろうとの予想を明らかにした。従来予想より0.25ポイント引き上げた。
ヤン・ハッチウス氏らエコノミストはリポートで、政策金利が来年3月に4.75-5%のレンジに引き上げられると予想した。今週の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75ポイント利上げの後、12月0.5ポイント、来年2月と3月にそれぞれ0.25ポイントの利上げが実施されると予想している。同社エコノミストは2月以降の利上げ予想の理由として、不快なほどの高インフレや景気沈静化の必要性、金融情勢を性急に緩和させることを回避するという3つを挙げた。

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独小売売上高(予想:前月比▲0.5%/前年比▲3.4%)
○16:30   9月スイス小売売上高
○17:30   7-9月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比1.2%/前年比▲0.9%)
○18:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○18:30   9月英消費者信用残高(予想:10億ポンド)
○18:30   9月英マネーサプライM4
○19:00   10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比10.3%)
○19:00   10月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比4.9%)
○19:00   7-9月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比0.1%/前年比2.1%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   9月南アフリカ貿易収支(予想:62億ランドの黒字)
○21:00   7-9月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.9%/前年比3.3%)
○22:45   10月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:47.3)
○24:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○欧州は31日から冬時間に移行済み

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