FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:来週の重要イベント控え様子見ムードの強い相場

前日の米ナスダックの下落を嫌気した売り優勢で始まったものの、国内企業の好決算を支えに次第に下げ渋り、徐々に底堅さを増した。一方で、本日は週末で参加者が少ないうえに、来週に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)を意識し、後場は取引が見送られた。市場では、2万7000円以下は底堅さが確認されたものの、2万7500円を超えると戻り売りが活発化しやすく上値が重くなるとの声もあった。結局、前営業日比240円安の2万7105円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日銀の会見待ちで146円台前半でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などドル買い・円売りに支えられ、146.70円付近へ上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。ただ、米FRBの利上げペースが鈍化するとの観測から、上値ではドル売りも見られ、やや値を下げて146円台半ばでもみ合いとなった。日銀は27~28日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の現状維持を決めた。発表直後は、日米金融政策の違いが改めて意識されてドル買い・円売りが強まり、146.80円台へ上昇した。しかし、まとまったドル売り・円買いフローが持ち込まれると、146.00円付近へ急速に値を下げた。その後、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、一時146円台半ばへと切り返す荒い値動きとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、146円台前半を中心に取引された。黒田日銀総裁の会見待ちとなっている。ユーロ/ドルは、0.99ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀のETF買入見直し買い入れ銘柄選択ルール変更:ゴールドマン

日銀が27~28日に開いた金融政策会合で、市場の予想通り金融政策の現状維持を決めた。ただ、会合後に発表された上場投資信託(ETF)の買い入れの見直しについての文書によれば、従来の『銘柄毎の市中流通残高に概ね比例するよう買い入れ』することから、『原則として信託報酬率が最も低い銘柄を買い入れる運営に変わった。市場の流通残高、すなわち市場実勢を反映せず、保管時のコスト削減を重視するかのようなものだった。ゴールドマン・サックス証券は28日付のリポートで『これはあくまで銘柄選択上のルール変更に過ぎないため、市場インパクトは皆無と思われる』と指摘した。市場への影響は皆無とみていた。

 

クレディ・スイス銀行のSNS型取り付け騒動

『2022年10月の最初の2週間に不正確な噂に基づき、メディアとネットに情報が流れた結果、クレディ・スイスは、極めて高水準の預金引き出し、定期預金解約に見舞われた。この資金流出は、その後非常に低い水準に落ち着いたが、(流出が収入に)流れが変わったわkではない』金融大手クレディ・スイスは、27日発表した22年第3四半期決算報告書で、SNS(交流サイト)発の取り付け騒動があったことを明らかにした。同決算書によれば、当該機関のネット資金流出は129億スイスフランと明記されている。1スイスフラン=147円で換算すれば、1兆8900億円を超える。この騒動の直前、9月30日にクレディ・スイスの5年物CDSが急騰し250bpに接近した。年初は50bp大であった。クレディスイス幹部は、週末に大口顧客や金融機関、投資家に、同社の流動性や資本状況に問題がないことを説明して回っていた。しかし、SNSやダブロイド紙など一部のメディアには『破綻』の文字が流れた。『クレディ・スイスが危ない』との未確認情報が瞬時に拡散された。1.8兆円規模の資金流出規模は、パニックに陥ったクレディ・スイス顧客が預金引き出しに殺到したさまを想起させる。ネット時代の新型取り付け騒動といえる。

 

トルコ中銀が四半期のインフレレポートを公表:現実的ではないとの意見

高騰するトルコのインフレは全く収まる気配はなく、それにもかかわらずエルドアン大統領は中央銀行への金利引き下げ圧力を強めている。来週に発表予定の10月トルコ消費者物価指数(CPI)も伸び率加速が見込まれており、実質金利マイナス幅が広がるばかりの国の通貨は買いづらいままである。昨日はトルコ中銀が四半期のインフレレポートを公表した。インフレ見通しを22年末65.2%(従来60.4%)、23年末22.3%(従来19.2%)と引き上げている。ただ水準的には現実的ではないとの意見は依然として多く、特に24年の8.8%というのは80%超えの現状から考えると楽観的過ぎると言わざるを得ない。また、昨日発表された21日時点のトルコ中銀・外貨準備高はネットで約116億ドルと前週から25億ドルも減少した。準備高枯渇への懸念は常にくすぶっており、他中銀などとの通貨スワップに頼る綱渡りの状況が続いている。

 

南アではテクニカルリセッションの可能性高い

昨日発表された9月の南ア卸売物価指数(PPI)は前年比、前月比ともに上振れる結果となった。市場の反応は限られたが、南アのインフレがなかなか低下に転じないことは、金利上昇のランド買いよりも、テクニカルリセッションに陥る可能性が高いと思われる。ここ最近で久々に南アにとってポジティブなニュースとしては、南アの中期予算政策声明(MTBPS)で、法人税などの予想以上の税収増加で、今年の南アの財政赤字が予想より減少するとの見解が示された。

 

米7-9月期GDPは一時的な純輸出増が成長押し上げ:持続困難との見方

米商務省が発表した7-9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.6%と、今年上半期2四半期連続のマイナス成長からプラス成長に回復した。予想+2.4%も上回った。7-9月期個人消費速報値も前期比年率+1.4%と、4-6月期+2.0%から伸び鈍化も予想+1.0%を上回った。結果は景気後退懸念を緩和した。米国の欧州への武器輸出や、石油やガスなどの商品の輸出という一過性の要因で、成長は押し上げられた。持続性はなく、市場の景気後退への警戒感は存続している。同期の価格指数も前期比+4.1%と、80年以降で最大となった4-6月期から伸びが大幅鈍化、20年10-12月以降で最低の伸びとなった。FRBが11月FOMCで、今後の利上げペースを協議することは理に適う。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○15:45   10月仏CPI速報値(予想:前月比0.5%/前年比5.7%)
○15:45   9月仏PPI
○16:00   10月スイスKOF景気先行指数(予想:93.2)
○17:00   7-9月期独GDP速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.2%/前年同期比0.8%)
○17:00   7-9月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比0.7%)
○18:00   10月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:92.5)
○18:00   10月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲27.6)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○21:00   10月独CPI速報値(予想:前月比0.6%/前年比10.1%)
○21:30   8月カナダGDP(予想:前月比横ばい/前年比3.7%)
○21:30   7-9月期米雇用コスト指数(予想:前期比1.2%)
○21:30   9月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       9月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       9月米PCEデフレーター(予想:前年比6.3%)
       9月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.5%/前年比5.2%)
○23:00   9月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲5.0%/前年比なし)
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:59.8)
○30日 欧州が冬時間に移行

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