FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:主要企業の決算の結果に振れる展開

米大手ハイテク企業の決算悪化が重しとなったが、一方で国内企業の好決算が注目され、強弱感が対立してもみ合う展開となった。市場では、戻り高値を更新した後に伸び悩み、テクニカル的に日経平均株価は正念場にきている。そうした中、日米主要企業の決算が注目されており、これらの内容が株価の方向性を示すことになっている。結局、前営業日比86円安の2万7345円と4営業日ぶりに反落して終了した。10月第3週(17~21日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は4930億円売り越しとなり、売り越しは3週ぶりとなった。個人投資家は1482億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。信託銀行は1330億円の買い越しとなり、買い越しは4週連続となった。

 

東京外国為替市場:海外短期筋などからのドル売りで145円台前半へ

ドル/円は、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが先行し、146.10付近へ下落した。このところ低調な米経済指標が相次ぎ、米景気減速懸念が強まっていることもドルの重しになった。東京市場でも、軟調地合いが続いて146円台を割り込み145.90円付近へ下落した。ただ、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、146.30円付近へ値を切り返した。本邦輸入勢が月末に絡むドル買い・円売りフローも観測された。午後は、米FRBの利上げペースが鈍化するとの観測から、海外短期筋などがドル売り・円買いを持ち込み、146円台を再び割り込んで一時145.10円付近まで急落した。明日の日銀金融政策決定会合結果発表を前に、一部で政策が修正されるとの思惑が浮上していることも円買いを誘った。ユーロ/ドルは、今晩のECB理事会やラガルド総裁の会見を控えて積極的な売り買いは目立たず、1.00ドル台後半で小幅な値動きに終始した。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)政策金利発表:予想は2.00%

ECBは会合毎にデータに依存して政策を決定するとしつつも、現在のインフレ見通しでは2%目標への回帰は極めて困難であり、さらなる引き締めが必要であることを伝えている。賃金と物価のスパイラル的な上昇を回避する必要があることから、今回の理事会でも0.75ポイントの利上げが決定される見込みである。

 

トルコでは財政悪化への懸念高まる:リラ建て損失補填定期預金継続

トルコ政府は、昨年12月に導入した『為替変動の損失を補填するリラ建て定期預金』を継続する。政府が預金者に支払った額は9月が93億リラ、1月からの合計だと849億リラにも達した。景気減速で法人税収が減少するなかで、政府支出は拡大しており、財政悪化への懸念が高まっている。本日はトルコの9月貿易収支が発表される。赤字幅は前回からやや縮小すると見られているが、それでも100億ドルを超えており、エルドアン政権が進めようとしている輸出主導の経済成長には程遠い状況である。

 

南アではリセッション懸念の高まりがランドの重し

今週に入り食糧農業政策局 (BFAP) が、来年には南アの食料品価格が3割上昇するリスクがあると発表するなど、インフレ高進によるリセッション懸念が高まっていることもランドの上値を圧迫することになる。本日は南アから卸売物価指数(PPI)が発表されるが、毎月1週間前にCPIの発表が行われることで、よほど市場予想と乖離がない限りは、値動きが限られそうである。

 

メキシコ国内からポジティブ材料

メキシコ国内からはポジティブな材料も伝わっている。8月分のメキシコ経済活動指数は前年比で5.69%増となり、市場予想の3.10%増を大きく上回る結果となった。昨年7月以来の大幅な上昇となり、メキシコ国内の経済活動が予想以上に回復していることが明らかになっている。さらに、メキシコのロペスオブラドール大統領は、今週末に米連邦航空局(FAA)とメキシコの航空安全性評価の『カテゴリー1』復帰に向けて協議が行われると公表した。メキシコの航空安全性評価は昨年5月に最上位の『カテゴリー1』から『カテゴリー2』に引き下げられており、米国への新路線開設や増便などが禁止されてきた。『カテゴリー1』への復帰となればメキシコの観光業にとっても大きな後押しとなる。

 

カナダ中銀が予想外の利上げのペースダウン

カナダ銀行(中央銀行)は26日、予想に反して利上げのペースを落とした。同国はリセッション(景気後退)入りが予想されている。ただ当局者は、インフレが根強いことから追加利上げをなおも見込んでいる。マックレム総裁率いる政策委員会は、主要政策金利である翌日物金利を0.5ポイント引き上げ3.75%に設定した。利上げ幅は市場関係者およびエコノミストの大半が予想した0.75ポイントを下回った。同中銀は9月に開いた前回会合で0.75ポイント、7月には1ポイントの利上げを行っていた。当局者はインフレとの闘いに関して比較的タカ派寄りの論調を維持した。しかし、予想より小幅な利上げとなったことで、カナダ中銀が金融引き締め策をどこまで積極化させ、景気を抑制しようとしているのかは分かりづらくなる。他の中銀も、この動きを注視しているとみられる。

マックレム総裁は記者会見で『引き締め局面は終わりを迎える。そこに近づきつつあるが、まだ到達していない』と述べた。当局者はインフレはなおも広範に及ぶと指摘した。各種統計は、基調的な物価上昇圧力が和らいでいるとの『有意な証拠』を示していないと説明した。インフレ期待が高水準で定着するリスクについてもあらためて注意を呼び掛けた。このことは、利上げペースを落としている可能性はあるが、終着点はそのままとすることを示唆している。当局はまた、米ドルの強さが世界的なインフレに拍車を掛けているとも指摘した。

 

11月のFOMCでは利上げ鈍化の議論が行われたことを伝えるだけ:BofA

11月1~2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。BofAセキュリティーズは26日付リポートで、フェデラルファンド(FF)金利を3.25%から0.75%引き上げ、4.00%にする予想をした。23月以降に金利の引き上げペースを鈍化させることを協議するとの報道を受けて、『議論が行われたことを伝えるだけで、現在予想されているように12月に0.50%の利上げに踏み切る道が開かれるはずだ。とはいえ、パウエル議長は決定を下されておらず、委員会は引き続きデータに依存していると述べることを期待する。11月のFOMCから12月のブラックアウト期間までの間に2件の雇用統計と1件の米消費者物価指数(CPI)が発表されており、FRBはこれまでよりも小幅な利上げを事前に約束することに消極的になるだろう』とみていた。リポートでは、『9月の政策金利の中央値の道筋を再確認し、インフレ見通しに対するリスクは以前として上方向にあるというコンセンサスのFOMC見解を繰り返し、過度な引き締めよりも引き締め不足の方がコストは高いとの意思を強調することで、FRBは利上げペースの鈍化がより低い最終金利やより早い利下げへの転換を意味するという解釈を押し戻すことに成功すると考える』との見解を示した。

 

米国市場では7-9月期国内総制裁(GDP)速報値:予想は前期比年率+2.1%

4-6月期の実績は-0.6%だった。アトランタ連銀の経済予測モデル『GDPNow』の直近予測によると前期比+2.9%である。9月の鉱工業生産と住宅着工件数は良好だったことが成長率予想を引き上げた。成長率は+2.0%台となる可能性が高いが、住宅着工や個人消費のさらなる改善は期待できないため、10-12月期の成長率は鈍化する見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:00   11月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲41.9)
○16:00   9月トルコ貿易収支(予想:104.0億ドルの赤字)
○18:30   9月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比15.7%)
○20:00   9月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.50%)
○20:00   9月メキシコ貿易収支(予想:48.15億ドルの赤字)
○21:15   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:2.00%に引き上げ)
○21:30   7-9月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率2.4%)
       7-9月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率1.0%)
       7-9月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率4.5%)
○21:30   9月米耐久財受注額(予想:前月比0.6%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/138.8万人)
○21:45   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○28日00:55   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、7年債入札

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