FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上昇後は材料難でもみ合い

先々の米金融政策について、米連邦準備理事会制度(FRB)が引き締めペースを鈍化させるのではないかとの期待感が投資家心理を支えた。日経平均株価は底堅く推移した一方、上昇一服後は材料難でもみ合いとなった。物色動向としては、値がさ株の一角がしっかりで、決算など個別材料を手掛かりにした売り買いも見られた。前日発表の決算や業績見通しを手掛かりとした個別銘柄の物色も目立った。結局、前営業日比275円高の2万7250円で終了した。

 

東京外国為替市場:148円台後半でもみ合う狭いレンジ相場

ドル/円は、前日に発表された米指標が低調で、FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑からドル売りが先行し、148.80円付近へ軟化した。東京市場でもこの流れを引き継ぎ、148.60円付近まで下落した。しかし、本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、149.00円付近へ値を戻した。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、148.90円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、148.90円前後で小動きとなった。政府・日銀によるドル売り・円買い介入への警戒感が根強く、積極的な上値追いは手控えられた。ユーロ/ドルは、0.98ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

週末の日銀金融政策会合で緩和修正などサプライズはあるのか

日本市場では27-28日に日銀の政策会合が予定されている。声明や総裁会見で円安や市場急変動への配慮姿勢や、政策面で円安抑止の工夫検討などが示唆されると、短期的な円高を招く可能性がある。基本的に日銀による金融緩和の修正自体は見込まれていない。中長期スパンでは円の戻り売りと、ドルなどの外貨の押し目買いが支援される。日銀の緩和修正に関しては先行きを含め、①世界的に金融引き締めと流動性の減少、国債価格の下落(金利は上昇)が懸念されているなか、日銀も引き締め方向に追随すると、世界的な金利上昇と株安、債務懸念、金融不安を助長させる、②日銀が金利抑制策の手を緩めると、日本の国債金利が急上昇(国債価格は急落)。米国債金利の上昇も後押しさせる。日本の民間銀行は保有する国内の債券や米国債の価格下落に見舞われ、債券損失の拡大が深刻化する、③現状の円安・ドル高の反動修正的な円高・ドル安の市場混乱を誘発させる、といった市場混乱の潜在リスクを内包している。

 

スナク氏の英首相就任で市場の信頼回復目指す

次期英首相となる見通しのスナク元財務相は米金融大手ゴールドマン・サックス出身で、経済通として知られる。ばらまき型の大型減税で混乱を招いたトラス首相とは異なり、財政規律を重視した政策を推進する見通しだ。新型コロナウイルス禍で膨らんだ債務の膨張を抑制しつつインフレ対策に取り組み、市場からの信頼回復を目指す。スナク氏はトラス氏と争った党首選で財源の裏付けに乏しい減税策を『おとぎ話』と断じ、減税が物価高を助長させかねないことから当面はインフレ対策を優先させるべきだと訴えた。ただ、トラス氏が招いた混乱から英国の政治リスクが強く意識されるようになり、スナク氏の首相就任が市場の警戒を完全に解くかどうかは不透明である。

 

南アランドは引き続き外部要因に振れる展開が継続

南アからのニュースとしては、ポジティブな話題として懸念されていたヨハネスブルクを中心とした断水の9割が解決したことがあげられる。一方ネガティブな話題としては、公務員協会 (PSA)が昨日から賃上げ要求で7日間のストライキに入ったことがあげられる。両ニュースともに、南ア経済への影響はあるが、ここ最近は株・債券などの動きが中心となっていることで、市場の動意は限られている。本日も南アからは市場を動意づける経済指標やイベントはない。引き続き、本邦の為替介入、英国の政治動向、ロシアとウクライナの状況などを背景とした、金利や株に左右される動きになりそうである。

 

メキシコの金融政策についての言及には注目

メキシコでは先週にメキシコ銀行(中央銀行)のエスキベル副総裁が『来年のインフレは著しく低下する』『利上げサイクルの終了時期について協議し始める必要がある』などの見解を示した。また、米国でも一部報道で米利上げペースが鈍化するとの観測も浮上しており、米国との金利差を維持したいと思われるメキシコ中銀の利上げペースにも変化が生じる可能性が出てきている。米国が米連邦公開市場委員会(FOMC)前のブラックアウト期間(中銀関係者が金融政策に関して踏み込んだ発言をしてはならない期間)に入ったことで、しばらくは米金融当局者からの発言はないものの、今後も米・メキシコの金融政策についての言及には注目しておく必要がある。

 

米10月製造業PMIは予想外の50割れ

米10月製造業PMI速報値は49.9と、予想外に9月52.0から50割れとなった。パンデミックによる経済封鎖直後の20年6月以来の低水準。また、同月サービス業PMI速報値は46.6と、9月49.3から上昇予想に反し大幅低下し、20年5月来で最低になった。また、同月総合PMI速報値は47.3と、9月49.5から予想以上に低下し、20年5月来で最低となった。

 

欧米市場イベント

○17:00   10月独Ifo企業景況感指数(予想:83.3)
○17:55   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○20:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:00   8月米住宅価格指数(予想:前月比▲0.6%)
○22:00   8月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比14.4%)
○23:00   10月米消費者信頼感指数(予想:106.5)
○23:00   10月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲5)
○26日02:00   米財務省、2年債入札
○26日02:55   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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