FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:香港株が急落したことで上値を抑える動きに

米国で利上げペースが緩むとの見方が出たことにより、前週末の米国株が上昇するなど、一連の動きを好感され幅広く物色されて堅調に推移した。米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、FRB当局者の一部から近く利上げペースを緩めるべきとの声が上がり始めている。米国では半導体関連株などの上昇が目立ったが、日本株においても同様に、同関連株を筆頭にグロース株が堅調となった。これらの中で指数寄与度が大きいい銘柄が買われ、株価全体を押し上げた。結局、前営業日比84円高の2万6974円で終了した。一方、23日に発足した中国新指導部の経済運営を巡る不透明感から香港株が急落し、日経平均の上値を抑えた。

 

東京外国為替市場:為替介入観測から148円台後半でこう着相場

ドル/円は、シドニー市場で政府・日銀による為替介入が再び実施されたとの観測が高まり、149円台後半から一時145円台半ばまで急落した。しかし、下値では日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、147円台後半へ切り返す荒い値動きとなった。午前の東京市場では、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、149円台を回復する場面があった。なお、中国国家統計局が発表した7~9月期GDPは、前年同期比で+3.9%と予想の+3.3%を上回ったものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、148円台後半で小動きに終始した。本日は政府当局者による円安けん制発言が相次いでおり、積極的な上値追いは手控えられている。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を眺めたユーロ買い・ドル売りが入り、0.98ドル台前半から0.98ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

ドル買い比率は2カ月半ぶり高水準:前週のFX概況

QUICKが24日に算出した21日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は69.9%と前の週末から24.7ポイント上昇した。8月上旬以来2カ月半ばぶりの高水準となる。前週末に日本政府・日銀が円買い・ドル売り介入に踏み切り、円相場が7円ほど円高・ドル安方向に振れる場面があった。相場の流れに逆らって取引をする『逆張り』戦略をとる傾向が強いとされる個人投投資家は、相場が円高方向へ戻した場面で円売り・ドル買いに動いた。前週末21日のNY市場で、政府・日銀が前月に続く追加の円買い・ドル売り介入を実施した。1ドル=152円台に迫る水準で推移していた円相場は、144.50円付近まで戻す場面があった。『英ポンド/円』取引でのポンド買い比率は前の週末から12.2ポイント上昇し45.3%だった。英国のトラス主要が20日に辞意を表明した。英国の財政懸念を背景とした英金融市場の混乱が収束に向かうとみた個人投資家は、ポンド買いに動いた。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は6.6ポイント上昇の24.2%、『豪ドル/円』取引の豪ドル買い比率は5.9ポイント低下の63.3%だった。

 

27-28日の日銀金融政策決定会合:金融緩和策に変化なしとの予想

今週27-28日に開催される日銀金融政策決定会合では、9月のコア消費者物価指数が1991年8月以来となる前年比+3.0%まで上昇したことで、世界で唯一のマイナス政策金利(▲0.10%)との整合性がどのように説明されるのか注目点となる。黒田日銀総裁は、『賃金上昇を伴う持続的なインフレ率上昇まで、現状の大規模金融緩和策を継続する』と繰り返し述べていることから、日銀の金融緩和策には変わりがないと予想されているが、ドル/円の下支え要因となっている。

 

トルコ中銀は年内の金利一桁に向け猛進

トルコ中銀はエルドアン大統領の要求通り、『年内の金利一桁』に向けて突き進んでいる。当初は12月会合で金利9.00%に引き下げと見られていたが、米ゴールドマン・サックスは次回11月会合でも1.50%の利下げが実行され、大統領の望む一桁台の金利が達成されると予想している。そこでようやく緩和サイクルが終了すると見込んでいる。米JPモルガンなどは、インフレ高騰のもとでの利下げという矛盾した政策は持続不可能と見ている。同行は、トルコ経常赤字の拡大や景気後退を回避するため、中銀は大幅利上げに転じざるを得ない可能性も指摘した。一部世論調査では、エルドアン大統領の支持率が若干ながら持ち直したとされており、大統領は現状の金融政策を力づくでも続けさせる。ただ、来年の総選挙後にJPモルガンの言う『可能性』を視野に入れ始めた市場参加者がいるかもしれない。

 

南アランドは米国市場やプラチナ価格の動きに左右される相場

今週は南アからは9月の卸売物価指数(PPI)が発表されるが、いつも通りで消費者物価指数(CPI)の翌週発表ということで、PPIではなかなかランドは動意づきにくい。よって、引き続き米国をはじめとした金利や株価の動向、またプラチナ価格の動きに左右される相場になりそうである。なお、あまりにも継続的に行われていることで、感覚が麻痺しているが、国営電力会社エスコムは無制限でステージ3の電力負荷制限を実施することを発表している。エスコムは新たに役員を交代させるなど、内部体制を整えているが、一向に電力不足の問題が解決する見込みが立っていない。

 

メキシコ大統領が12月には3か国首脳会談実施を発表

米国とメキシコ、カナダの貿易協定(USMCA)で、メキシコ側のエネルギー政策を巡って紛争パネルを発動する可能性があることを示唆した。メキシコのロペスオブラドール大統領は米国側が発動しないことに自信を示すなど楽観的な見解を示しているが、米国側は完全にそれを否定する形となっている。クルティエル経済相が辞任するなど、国内のいざこざが収まらない状況の中で、12月には3首脳会談が行われることをメキシコ大統領が発表しており、関係改善に向けて前進するかどうかが注目される。

 

今週後半の米国経済指標に注目が集まる

27日に発表される米国7-9月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+2.0%と予想されており、2四半期連続のマイナス成長からの脱却が見込まれている。予想通りに景気回復が確認された場合、ドルの下支え要因となる。さらに、28日に発表される米国9月のPCEコア価格指数は、前年比+5.2%と予想されている。8月の+4.9%からの上昇が見込まれており、9月の消費者物価指数(+8.2%)を裏付けることになる。予想通りならば、11月と12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利0.75%の追加利上げの確率が高まることになる。そのため、ドル買い要因となる。なお、9月のFOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)では、年末のFF金利の予想中央値は4.4%だった。現在の3.00-3.25%から1.25%程度の利上げが示唆された。しかし、現状では、0.75%x2回=1.50%の利上げ、つまり、4.50-4.75%までの利上げを織り込みつつあるほか、ターミナルレート(利上げの最終到達点)は、5.00%付近だと示唆されている。

 

米国市場では10月S&Pグローバルサービス業PMIが公表:予想は49.6

9月実績は49.3だった。一部の原料価格が低下したため投入価格も低下したが、物価の高止まりと金利上昇が全体の指数を圧迫している。10月については高インフレの影響は消えていないことから、企業活動はやや低下しており全体の指数は50を下回る見込みとなっている。

 

欧米市場イベント

○16:15   10月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:47.0)
○16:15   10月仏サービス部門PMI速報値(予想:51.5)
○16:30   10月独製造業PMI速報値(予想:47.0)
○16:30   10月独サービス部門PMI速報値(予想:44.9)
○17:00   10月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:47.9)
○17:00   10月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:48.2)
○17:30   10月英製造業PMI速報値(予想:48.0)
○17:30   10月英サービス部門PMI速報値(予想:49.0)
○22:45   10月米製造業PMI速報値(予想:51.0)
○22:45   10月米サービス部門PMI速報値(予想:49.6)
○22:45   10月米総合PMI速報値(予想:49.3)
○23:15   ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○英保守党党首選、第1回議員投票
○シンガポール(ディーパバリ)、インド(ディワリ)、休場

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