FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強く米国株の下落に連れた売りがやや優勢

前日の米国株式市場では主要3指数がそろって下落した。日経平均株価も朝方から100円安と続落して寄り付いた。その後は、下落幅を縮小する場面もみられたが、プラス圏に浮上することなく弱含みの展開となった。指数寄与度の大きい銘柄が売られたほか、主力株も値下がりした。ただ、業種別の物色動向に関しては、特段の方向感はみられていないとの声が聞かれた。来週から主要企業の4~9月期決算発表が本格するため、様子見ムードも強かった。結局、前営業日比116円安の2万6890円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇したことで150円台半ばへじり高

ドル/円は、150.28円までじりじりと値を上げたものの、朝方に鈴木財務相が、為替相場について『過度な変動には適切な対応をする』などと、従来通りに円安をけん制したこともあり、政府・日銀による介入警戒感が広がり、およそ32年ぶりの高値150.29円を目前に、積極的な上値追いは鳴りを潜めた。午後は、米長期金利が2008年6月以来の高水準をさらに上回る4.26%台へ上昇したことで、ドル買い圧力が強まり、150.43円までじり高に推移、およそ32年ぶりの高値を更新した。ただ、地方では政府・日銀による介入警戒感が一層強まっており、上値追いには慎重にならざるを得ないことから、その後は、150.40円前後で、米長期金利を睨みながら様子を伺っている状況になっている。ユーロ/ドルは、午前中に下げ幅を帳消していたものの、米長期金利上昇で、再びユーロ売り・ドル買いとなり、0.9780ドル台から0.9760ドル台へ値を下げる場面もあったものの、その後下げ幅を縮小した。

 

9月全国消費者物価コア指数は8年ぶりの伸び

総務省が発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は102.9と、前年同月比3.0%上昇した。前月の2.8%上昇を上回って2014年9月以来の伸び率となった。消費増税の影響を除けば1991年8月以来の伸びとなった。原材料高や歴史的な円安で、生鮮食品を除く食料の伸びが続いたほか、家庭用耐久財も上伸した。日銀が目標とする2%を上回るのは6ヵ月連続となった。生鮮食品を除く食料は4.6%上昇と前月の4.1%上昇を上回り、1981年8月以来の上昇率となった。

 

経済混乱で英首相辞任でくすぶる英政治不安

英国トラス首相は20日、 9月下旬に打ち出した減税など経済政策が金融資本市場を混乱させ、政策の大半を撤回する等経済混乱に支持率が1桁に落ち込み、政権維持が困難と判断、引責辞任した。トラス氏は7-9月の保守党・党首選で減税を軸とする成長戦略を前面に掲げ、ジョンソン派の議員や党員支持を集めて勝利したが、9月下旬に打ち出した大規模減税を含む経済対策が財政悪化懸念に英ポンドと英国債の急落など市場混乱を招き、10月中旬以降に財務相の更迭や大半の減税策を撤回、19日には内相も辞任し保守党内から退陣を求める声が強まっていた。9月6日の政権発足から僅か2カ月弱の異例の短期政権となり、英政治の混乱が続く可能性がある。

 

トルコ中銀は予想を上回る利下げ幅:年内の金利一桁に向けての行動

トルコ中銀はエルドアン大統領の要求通り、『年内の金利一桁』に向けて着実に動いている。昨日の引き下げ幅1.50%を受けて米ゴールドマン・サックスのアナリストは、来月会合でも同じ幅の利下げが実施されると予想する。ただし、政策金利が9.00%まで下がったところで引き下げサイクルは終了と見込んでいる。また、JPモルガンはインフレ高騰のもとでのトルコの政策は持続不可能であり、いずれは政策転換か景気後退につながると見ている。そのうえで、景気後退を回避するために金利を急激に引き上げる可能性にも言及した。いずれにせよ、まだしばらく(おそらく来年の総選挙あたりまで?)は低金利政策が継続されると思われる。そうなると金融引き締め継続が確実視されている米国との差は開くばかりであり、リラの対ドルでの弱さは続く。

 

インフレ高進が南アランドの売り要因の一つ

一昨日に発表された9月の南ア消費者物価指数(CPI)は8月よりもわずかに低下したが、この結果を受けた後も来月の南アフリカ準備銀行(SARB)の利上げ予想はほぼ変わっていない。引き続き0.75%の利上げ予想が優勢となっている。本来であれば、南アと日本の金利差でランド/円は買われてもよいのだが、景気低迷でテクニカルリセッションに陥る可能性が高いことで、インフレ高進はむしろランド売り要因の一つにもなっている。

 

メキシコ中銀の副総裁が利上げにやや慎重姿勢を見せる

一昨日メキシコ中銀のエスキベル副総裁が『来年のインフレは著しく低下する』と発言し、『利上げサイクルの終了時期について協議し始める必要がある』との慎重な姿勢を示した。最近はタカ派寄りな発言が目立っていただけに、今後の中銀会合におけるエスキベル副総裁の見解には注目する必要がある。

 

米国経済指標に景気減速の兆候

米9月景気先行指数は前月比-0.4%と、予想外に8月-0.3%から悪化した。米9月中古住宅販売件数は前月比-1.5%の471万戸と、ほぼ予想に一致した。パンデミックによる経済封鎖直後の2020年6月来で最低となった。ブルーンバーグのモデルによると、住宅市場の悪化がけん引し米国経済が来年にも景気後退入りする確率は100%だという。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.5%/前年比▲5.0%)
○15:00   9月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.3%/前年比▲4.1%)
○17:30   9月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比4.1%)
○21:30   8月カナダ小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.4%)
○22:10   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:00   10月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲30.0)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)

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