★日経平均株価:米金利の上昇を嫌気した売り優勢
前日の米国株式市場が下落したことが嫌気され、幅広く軟化した。ただ、売り一巡後は売り買いともに新たな手掛かり材料がなく下げ渋り、そのまま安値圏で小動きとなった。円安を好材料として捉える関係者が少なくないが、ハイテク株の比重が高いナスダックの下落によって、輸出関連株も広く軟調となった。ただ、売りが一巡した後は、全体的に下げ渋るとともに、徐々に模様眺め気分が強くなり、日経平均株価は2万7000円を挟んで一進一退となった。新たな手掛かり材料が見当たらず、戻りも鈍いいものとなっている。午後に入ると、一部、メディアが『中国が新型コロナウイルス感染対策のための入国者に対する隔離機関の短縮を議論している』と伝わったことが手掛かりとなり、下げ渋る展開になった。10月第2週(11~14日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1524億円買い越した。買い越しは2週連続となった。個人投資家は136億円売り越した。売り越しは2週連続。信託銀行は1459億円買い越した。買い越しは3週連続となった。
★東京外国為替市場:ドル/円は150円目前でもみ合う展開
ドル/円は、仲値前にかけて、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、149.93円付近まで値を上げた。仲値発表後に、149.95円付近まで上値を広げ、およそ32年ぶりの高値を更新した。ただ、朝方、鈴木財務相が『最近のような急速で一方的円安進行は望ますくない』円安けん制発言していたこともあり、心理的節目の150.00円を前に上値は重かった。その後は、149.90-95円水準でこう着気味となった。午後は、米長期金利が4.15%大と高水準にあることから、ドル買い環境が整っているものの、政府・日銀による介入警戒感が相場の上値を抑え、149.90-95円水準でもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは、中国のコロナ規制緩和検討が伝えられると、リスク選好のユーロ買い・ドル売りとなり0.9780ドル台へ短時間で上昇する場面が見られた。
★年度半期の貿易赤字は史上初の10兆円台に:円安進行が輸入物価押し上げ
財務省が発表した貿易収支速報によると、2022年4-9月の累積赤字額は11兆0075億円となり、年度半期ベースで過去最大だった。これまでの最大赤字幅は13年度下半期の8兆7601おくえんで、赤字額が10兆円台に乗せた先例はない。急ピッチな円安が輸入物価を押し上げ、巨額赤字を抱える構図が鮮明となった。22年4月以降の年度上半期の輸出額は前年同期比19.6%増の49兆5763億円、輸入額は44.5%増の60兆5838億円だった。原粗油や石炭、液化天然ガスの輸入が増え、全体の輸入額を大幅に押し上げた。
★トルコのMPC発表後のリラの動きに注目
本日はトルコ中銀金融政策委員会(MPC)の結果発表を受けた動きが注目される。MPC決定に対する市場予想は、現行12.00%の主要政策金利を11.00%に引き下げである。見込み通りであれば3会合連続の利下げとなる。エルドアン・トルコ大統領が金利引き下げを叫び続けて中銀への圧力を強めるなか、市場は更なる緩和に警戒感を強めている。中銀声明では今後の方向性についてどのように指摘されるかがポイントになる。いずれにせよ、足もとの公式インフレ率が83%台まで加速しているにもかかわらず、利下げという非正統的な金融政策が続けられる国の通貨はやはり買いづらい。
★南アでは依然としてインフレへの警戒感は緩められず
昨日発表された、9月の南ア消費者物価指数(CPI)は前年比・前期比ともに市場予想通りとなった。また、前年比では8月の7.6%からわずかに低下した。ただし、食品とノンアルコール飲料の価格は8月の11.3%から11.9%に上昇し、パンとシリアルの価格は13年ぶりの高値(19.3%の上昇)に達した。食品と飲料の価格の月間上昇率0.5%となり、8月に記録された月間上昇率1.8%よりも低かったものの、依然としてインフレへの警戒を緩められない状況である。特に9月は燃料価格が下がったことが、インフレ抑制には役立ったが、今後は燃料価格の反発が予想されていることで、予断を許せない状況である。また、8月の小売売上高も市場予想を下回ったことも懸念される。
★バイデン米大統領がSPRを追加放出:ユーラシア・グループ
バイデン米大統領が19日、ガソリン小売価格を低下させるため、国内の原油増産を求めると共に、戦略石油備蓄(SPR)から追加放出を行うことを明らかにした。石油会社に自社株買いでなく原油増産を求める一方、政府が原油を1バレル当たり約70ドルで買い入れ、価格が下がれば備蓄にあてることを表明した。正式発表に先立ち、ユーラシア・グループは19日付のリポートで『冬に価格が上昇すればバイデン氏が追加売却を進めると予想する』との見解を示した。リポートでは、最新のSPR放出は、米国が価格を押し下げる意図を持っている兆候であるため、『石油輸出国機構(OPEC)プラスとの緊張を悪化させるだけである』と指摘。米国は防衛援助や協力の縮小によってOPECプラスの減産に影響を与える計画を進めており、『今冬のOPECプラスの減産を相殺するためにSPRを活用する可能性が高い』とみていた。
★米国株の投資判断は弱気判断に傾く
米金融最大手ゴールドマンサクッスは9月26日に今後3カ月の世界株式の投資判断を『ニュートラル(中立)』から『アンダーウエート(弱気)』に引き下げ、これに先駆けて9月22日にS&P500指数の年末予想値を従来の4300から3600に大幅に引き下げた。その翌23日にはクレディスイス証券がS&P500年末予想を3500に引き下げたが、10月13日にS&P500は3492の安値を付けた。危機感を抱くJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは10月10日の米CNBCのインタビューで『米国や世界は今から6-9カ月後に景気後退に追い込まれる可能性がある』と改めて危機感を表明した。調査会社リフィニティブによれば、米主要500社22年7-9月期の増益率は3.6%と22年4-6月期(8.4%)の半分以下にとどまり、増益率予想は7月初めの11.1%から大幅に切り下がり、景気後退による業績下振れが懸念される。7-9月決算発表による悪材料出尽くしで暫し米国株の反発が期待されるものの、景気後退リスクが高まれば収益力はさらに低下し、米国株の『逆金融相場』からの解放は未だ見通せない。
★欧米市場イベント
○15:00 9月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比1.5%)
○15:45 10月仏企業景況感指数(予想:101)
○17:00 8月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:30 ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:00 トルコ中銀、政策金利発表(予想:11.00%に引き下げ)
○21:30 10月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲5.0)
○21:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/137.5万人)
○23:00 9月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.2%/年率換算470万件)
○23:00 9月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○21日01:00 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○21日01:10 デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21日02:30 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○21日02:45 クックFRB理事、講演
○21日03:05 ボウマンFRB理事、あいさつ
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、21日まで)
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