FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売り優勢も売り一巡後は下げ渋る展開

米国のインフレ見通しが悪化する中、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げが景気後退を誘発するとの懸念が根強く、米長期金利の上昇を受け前週末の米国市場では株安となった。そのたことを嫌気して、寄り付きから売りが先行した。日経平均株価は前営業日比約300円安でスタートした後も下げ幅を広げた。先週末に800円超の大幅高だったこともあり、利益確定売りが優勢となった。ただ、米株先物が小高く推移し、投資家心理を支援したことで売り一巡後は下げ渋った。結局、前営業日比314円安の2万6775円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:為替介入に対する警戒感のなか148円台後半でもみ合い

ドル/円は、政府・日銀による介入警戒感からドル売り・円買いがやや優勢に推移、148.40円台へじり安となった。その後、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、148.60円付近まで値を上げた。その後は、日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら148.60円前後で小動きとなった。黒田日銀総裁が衆議院予算委員会で『金融緩和を継続することが適当』と発言したものの、為替介入に対する警戒感が広がっていることから、上下に動きにくくなっている。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りで、148.60円付近から148.80円付近まで値を上げた。ただ、先週末のNY市場でつけたおよそ32年ぶりの高値148.86円が意識されるとこれ以上の上値追いは限られた。鈴木財務相が『過度な変動、投機筋の動きがあれば、必要な対応をしっかりやる』などと述べ、政府・日銀による介入が警戒されていることもドル買いを慎重にさせている。その後は、小幅に値を下げ148.70円台でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、この後参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており、0.97ドル台半ばで小動きとなった。

 

企業の54%が円安はマイナス:東京商工リサーチ

東京商工リサーチは17日公表した、9月1ドル143円前後の円安局面で実施した円安の企業への影響調査(10月3-12日)によれば、円安が企業経営に『マイナス』の影響を及ぼすと回答した企業が2718社と回答企業(5019社)の54.1%に上り前回8月調査から5.4pt増えた。中小企業では『円安はマイナス』と回答した企業比率が54.7%を占めた。

 

ドル買い比率は7ヵ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが17日に算出した14日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉教協によると、円に対するドルの買い比率は45.2%と前の週末から5.8ポイント低下した。3月18日時点以来7ヵ月ぶりの低水準となる。前週の外国為替市場では米物価指標が市場予想を上回ったことなどを材料に、米FRBによる金融引き締めが長引くとの見方から円相場は一時1ドル=14886円付近と1990年8月以来32年ぶりの安値を付ける場面があった。円安・ドル高が急速に進んだ場面で、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる傾向が強い個人投資家は円買い・ドル売りに傾いた。『ポンド/円』取引の買い比率は前の週から20.3ポイント低い33.1%と、2021年10月以来1年ぶりの低水準となった。英イングランド銀行(中央銀行)による緊急の国債購入策の延長観測が出てポンドが急伸した場面で、個人投資家の間では利益確定するためにポンドの買い持ち高を減らす動きが広がった。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は9.8ポイント低下の17.6%と今年6月上旬以来の低水準となった。

 

豪州の9月雇用統計に注目:賃金の動向に注目集まる

豪準備銀行(RBA)の金利先高観が後退していることが豪ドルにとって重しとなっている。今週は20日に9月雇用統計の発表が予定されている。市場ではRBAが利上げペースを鈍化させた要因として賃金上昇が抑制されつつあることにくわえ、直近(8月分)の失業率が10カ月ぶりに上昇したことも後押しになったとの見方があり、9月分の推移についても注目しておきたい。 

 

英ポンドは不安定な動きが継続

クワーテング英財務相が先月下旬に発表した『ミニ予算』とも呼ばれている大型減税を柱とする財政政策は市場に混乱をもたらした。このミニ予算への修正圧力が与党・保守党内からも高まるなか、トラス英首相が計画変更に踏み切れるかがポイントになる。13日には、一部通信社が『当局者は減税政策の方針を転換すべきか議論している』と報じた。検討されている一つが、『法人税引上げ廃止』の撤回のもよう。報道を受けて財政悪化への懸念が後退し、英長期債は買い戻しが強まり、ポンドも急上昇した。ただ、その後のインタビューでは、クワーテング財務相は『ミニ予算の実現に全力を注ぐ』と発言するに留まっている。なお、年金基金救済を目的としたイングランド銀行(BOE)による一時的な超長期国債買い入れについて、ベイリーBOE総裁は『予定通り14日で終える』と明言した。期限終了を控えて1日辺りの購入額が倍増され、物価連動国債も購入対象になるなど臨時措置が強化された。ただ年金基金のマージンコールは少なくとも3200億ポンドに達すると一部では算出されており、それらを今後も満たすことができるかは不透明である。17日以降も英中銀は『適格担保の要件を緩和して現金を投資家へ貸し出す』という新たな枠組みは続けるが、それで市場の動揺が収まるかが注視される。

 

トルコ中銀は3会合連続の利下げ:露から天然ガスの供給ハブの案を受け入れ

トルコのインフレ高騰にもかかわらず、MPCは3会合連続となる政策金利1.00%引き下げに踏み切ると市場は見込んでいる。エルドアン大統領は、金利が下がればインフレ抑制ができると本気で考えているようであり、最高権力者から中銀への利下げ圧力は強まるばかりである。中銀は完全に独立性を失っている状態であり、リラの買いづらさは変わりない。先週のトルコ露首脳会談では、ウクライナ和平については話題とならなかったようである。その代わりプーチン露大統領は、トルコ経由で欧州への露産天然ガス輸出を拡大させるとして、トルコを新たな供給ハブとする案を示した。エルドアン大統領も受け入れたとみられ、今後はエネルギーを巡る両国の関係がより密接になると思われる。ウクライナについては、プーチン大統領は『大規模な攻撃をする必要はない』と述べ、ひとまず核兵器の使用リスクは後退した。もっとも追い詰められたプーチンが何をするかは分からず、ウクライナ情勢はまだ予断を許さない。

 

南アでは今週に9月のCPIが発表:他国よりややインフレが抑制

今週19日に、南アから9月の消費者物価指数(CPI)が発表される。南アも引き続き高いインフレで苦境に陥っているが、他国よりもややインフレが抑えられている。インフレ高進による金利上昇のランド買いよりも、インフレ抑制でスタグフレーション懸念の払しょくの方が南アにとっては好材料になるのではないかと思われる。また、今月発表の金融活動作業部会で、南アがマネロンのグレーリストにとどまることが決定されるか、公務員協会 (PSA)による大規模ストライクが行われるか、などにも引き続き目を向けておきたいところである。

 

メキシコの金利先高観が高まる可能性も

メキシコ銀行(中央銀行)は昨日、9月29日に開催された政策決定会合の議事要旨を公表した。議事要旨では『大半のメンバーはインフレの衝撃が予想より大きく、インフレの影響も想定より長く続くと認識している』ことが明らかになり、インフレリスクに対する強い懸念が示された。今後も中銀の金融引き締め姿勢は維持される見込みで、メキシコの金利先高観もさらに高まることになりそうである。

 

今週の米国市場の注目点:住宅指標に注意

今週も9月鉱工業生産をはじめ、米経済指標の発表が目白押しとなっているが、注目は住宅指標である。13日にフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が発表した住宅ローン金利が2002年4月以来の高水準を記録し、住宅需要の急速な落ち込みが見込まれている。専門家の間では『今後数カ月の住宅指標には警戒』との声も聞かれるなかで、18日の10月NARB住宅市場指数や19日の9月住宅着工件数、20日の9月中古住宅販売件数には注意が必要である。

 

米経済は今後12ヵ月以内に景気後退入りか:WSJ調査

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が実施した最新のエコノミスト調査によると、今後12カ月以内に米国が景気後退入りする確率は平均63%と、7月調査の49%から上昇した。50%を上回るのは、短期ながらも大幅な景気後退に陥った後の2020年7月以来となった。エコノミストらは、米連邦準備制度理事会(FRB)が持続的なインフレを抑えようとする中、景気が縮小し、企業の人員削減が進むとの見方を示した。米国内総生産(GDP)については、2023年上半期に縮小すると予想している。前回調査では小幅な成長を見込んでいたが、今回は1-3月期に年率0.2%、4-6月期に同0.1%のマイナス成長を記録するとみている。非農業部門就業者数については、4-6月期に月平均で3万4000人、7-9月期に同3万8000人それぞれ減少するとした。

 

欧米市場イベント

○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   10月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲4.0)
○24:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18日04:00   ナーゲル独連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ