FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株の上昇に連れた買い戻し中心

前日の米国株市場で主要3指数が2%超と大幅上昇し、日本株にも幅広い業種で買いが先行した。特に、値がさ株の上昇圧力が強く指数を押し上げ、日経平均は節目の2万7000円を回復した。市場では、何か好材料が出て買われているわけではなく、今日の上場は投機筋の買い戻しが中心ではないかとの声も出ていた。香港などアジア株の大幅な上昇も投資家心理をさらに上向かせ、上げ幅は900円を超える場面があった。結局、前営業日比853円高の2万7090円と大幅反発して終了した。10月第1週(3日~7日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は4.035億円買い越し、買い越しは8週ぶりとなった。個人投資家は4544億円の売り越しとなり、売り越しは4週ぶりとなった。信託銀行は2301億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:ドル下落後に147円台半ば近辺までじり高

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、147.45円まで値を上げた。日経平均株価の大幅高で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、政府・日銀による為替介入への警戒感から、積極的な上値追いは見られなかった。その後、米長期金利低下を眺めたドル売りに押され、147.10円近辺へ軟化する場面があった。午後は、日米金融政策スタンスの違い意識したドル買い・円売りが入り、147.47円付近までじり高となった。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの押し上げにつながった。ユーロ/ドルは、0.97ドル台後半で小動きに終始した。

 

英年金基金の損失が最大25兆円に:JPモルガン

英トラス政権の大規模減税策などをきっかけとした金利上昇による英年金基金の損失は、最大1500億ポンド(約25兆円)になったとみられることが明らかとなった。米JPモルガンが13日のリポートで試算した。年金基金は損失に伴う支払いのために、債券や海外株式を売却したという。金利上昇による打撃を受けたのは『ライアビリティー・ドリブン・インベストメント(LDI=債務主導投資)』という運用戦略をとる年金基金だ。デリバティブ(金融派生商品)による損失が、8月上旬からの累計で1250億ポンドから1500億ポンドに上るとした。年金基金がファンドを通してLDIの運用戦略をとる場合、2~4倍のレバレッジ(てこ)をかけるのが一般的とされる。損失がかさんで取引相手方の金融機関からマージンコール(追加担保の差し入れ要求)を突きつけられた。支払いのための現金を捻出するために、保有資産の多くを占める物価連動国債を含めた国債、社債や海外株式の売りに動いたとしている。英投資協会によると英国でのLDIの運用規模は2020年時点で約1・5兆ポンド(約250兆円)と、11年の0・4兆ポンドと比べて4倍近くまで膨らんだ。英国の機関投資家全体の運用資産の4割を占めるまでに広がった。

 

トルコ中銀の外貨準備高が大幅増加

トルコ中銀が発表した7日時点での外貨準備高は124.4億ドルと前週から27億ドル増加した。市場参加者によれば、9月末に韓国中銀と行われた通貨スワップが準備高拡大に寄与した。 ところでエルドアン・トルコ大統領は昨日、訪問中のカザフスタンでプーチン露大統領と会談した。ここ3カ月で4回目となる首脳協議では、良好な貿易関係の継続を確認した。プーチン大統領からは、トルコを経由地として露産天然ガスの輸出を拡大させたい意向が伝えられた。なお、注目されたウクライナを巡る和平協議はされなかった。

 

南ア中銀総裁もランド安をある程度覚悟

クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁も、ドル高にもかかわらず『米国が利上げすることは賢明なことだ(Wise to hike)』と発言している。また、『ドルは上昇する可能性がある。(南アの)債務返済コストはその債務で少し上昇するだろう』と述べていることもあり、ランド安をある程度覚悟していることで、ランドの売り場探しは変わらないのではないかと思われる。

 

メキシコ政府と米国はベネズエラ人移民の対処計画で合意

メキシコ政府は米国とベネズエラ人移民の急増に対処する計画で合意したことを明らかにした。数千人がベネズエラから空路で米国に入国する一方、一部のベネズエラ人がメキシコ側に入国するとしている。中南米諸国からの不法移民問題はメキシコと米国にとって共通の課題であり、根本的な解決も急がれている。

 

FOMCで11・12月に75bpの利上げ予想を維持:ノムラ・セキュリティーズ

13日に発表された9月の米消費者物価指数(CPI)が前月比0.4%上昇、前年同月比で8.2%上昇し、共に市場予想(前月比:0.2%、前年比8.1%)を上回った。強いCPIを受け、ノムラ・セキュリティーズは13日付のリポートで『利上げ局面の最終的なFF金利の到達水準であるターミナル・レートの予想を5.25~5.50%で維持する(23年3月に到達)。これには11月、12月FOMCでの75bp利上げを含む』との見解を示した。リポートでは、コアCPIが前月比0.6%上昇したことから、『歴史的にタカ派的な方向転換と、今年に入ってからの300bpの引き締めにも関わらず、米連邦準備理事会(FRB)がインフレとの闘いにおいてどれほどの進展を見せていないかを改めて浮き彫りにしている』と指摘した。インフレ率が上昇した主因は家賃だが、CPIの住居費(シェルター)、中古車を除くインフレ率も高いことに着目した。その上で『重要なのは、多くのFRB幹部がサプライチェーンや商品価格(例えば、調整平均CPI/PCEインフレ率に注目)ではなく、トレンドや基調インフレを強調し始めていることである』とし、FRBのタカ派姿勢が長引く可能性があるとみていた。

 

米国市場では9月小売売上高が公表:予想は前月比+0.2%

8月は13部門中8部門が増加した。自動車ディーラーの伸びが目立った。9月については、自動車ディーラーは小幅な増加にとどまる可能性があるが、8月に減少した無店舗小売は反動増の可能性があるため、全体的には小幅な増加となる見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月独卸売物価指数(WPI)
○15:45   9月仏CPI改定値(予想:前月比▲0.5%/前年比5.6%)
○17:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:00   8月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済450億ユーロの赤字)
○21:30   8月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.8%)
○21:30   8月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.8%)
○21:30   9月米小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○21:30   9月米輸入物価指数(予想:前月比▲1.1%)
○23:00   8月米企業在庫(予想:前月比0.9%)
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:59.0)
○23:00   ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演
○23:30   クック米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○15日01:15   ウォラーFRB理事、討議に参加
○IMF国際通貨金融委員会(IMFC、ワシントンDC)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ