FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:全般弱含みも大きく崩れる展開にならず

米国の金融引き締めやそれに伴う景気後退への警戒感が引き続き重しになった。9月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて模様眺めとなる中、広く薄く売られた。個別では、決算を材料にした物色が見られた。前日の終値付近で寄り付いた後、マイナス圏での推移となったが、大きく崩れる様子はなかった。米国株先物が小幅ながらプラスで推移したことで、投資家心理を支えた。結局、前営業日比159円安の2万6237円と4日続落して終了した。信用評価損益率は7日申し込み時点でマイナス12.09%と、前週のマイナス13.07%からマイナス幅が0.98ポイント縮小した。改善は4週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:146円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、米長期金利上昇を眺めたドル買いが先行し、146.90円付近へ上昇した。仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く観測されたことも、ドル/円の押し上げ要因となった。ただ、前日のNY市場でつけた24年ぶりの高値146.98円に接近すると上げは一服した。その後は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて146.80円を挟んだもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、146.80円台を中心とする狭い値幅で取引された。今晩発表される9月米CPIのイベントを前に、様子見ムードが広がった。鈴木財務相が『過度な変動は望ましくない、本当に緊張感を持って相場を注視している』『水準でなくボラティリティに注目している」などと発言して市場をけん制したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、0.970ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国債が下落後に英中銀の緊急債券購入で急反転

12日の英債券市場は激しい変動に見舞われた。期間が長めの英国債はマイナス圏で始まり、午後も下げ幅を拡大。30年債の利回りは一時5%を上回った。イングランド銀行(中央銀行)報道官が予定通りの債券購入プログラム終了を確認したことを受け、トレーダーが保有債券を売却した。ところがその数時間後、英中銀は先月の介入開始以来最大規模の緊急債券購入ラウンドを実施。投資家が提示した従来型債券を全て買い入れ、購入額は45億6000万ポンド(約7400億円)に達した。30年債は一時の下げをおおむね打ち消し、利回りは4.8%と前日比ほぼ横ばいで終了した。

 

エルドアン・トルコ大統領とプーチン露大統領が会談

欧州序盤に発表された8月トルコ鉱工業生産(前月比)は+2.4%と、マイナスだった前回からは改善したものの市場予想+3.0%には届かなかった。また同前年比は+1.0%と予想や前回から下振れした。なお、本日は、カザフスタンでエルドアン・トルコ大統領とプーチン露大統領が会談する予定である。『ロシアとウクライナの停戦に向けた仲介役』として役割を果たせるかが注目される。

 

南ア国内情勢の2つのニュース

南ア国内情勢で2つ興味深いニュースが流れている。一つ目は、南アフリカ民主教師組合 (Sadtu) の労使交渉がまとまったが、公務員協会 (PSA)は政府提案の賃上げを拒否した。明日に、もう一度話し合いが持たれるが、この交渉でもまとまらない場合は来週より本格的なストライキが始まる。2つ目は、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FTAF)による格付け変更についてで、南アは再び『グレーリスト』に残る可能性が高まっていると報じられている。ここから抜け出せれば国内総生産(GDP)が1-3%改善する可能性もあるとされていることで、南ア政府は透明性を高めようとしていたが、まだ改善には不十分のようである。まだ、結果は出ていないので、今後も推移を見守りたいとことである。

 

メキシコの国外労働者による送金額がやや鈍化

メキシコ銀行(中央銀行)が3日に発表した8月の国外労働者によるメキシコへの送金額は51億2150万ドルとなった。単月の数字として過去最高額を記録した7月には及ばなかったものの、前年同月の水準を28カ月連続で上回っている。ただ、前年同月比では7.9%増となり、伸び率は2022年に入って初の1桁台になった。好調な米雇用情勢を背景に、国外労働者の大半が米国に居住しているメキシコ出身者の送金額は大幅な伸びが続いていたが、すでに歴史的な高水準にあることから今後はやや伸びが鈍化していく可能性もある。一方で、同日に公表された9月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3となり、3カ月ぶりに景況改善・悪化の分水嶺となる50を上回った。2020年からの改善基調が今後も継続するか注目される。

 

米9月PPIは予想を上回る結果

米労働省が発表した9月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.4%と、3カ月ぶりプラスとなった。前年比では+8.5%と、3カ月連続で伸び鈍化も予想を上回った。変動の激しい燃料や食品を除いたコアPPIは前月比+0.3%と、前月、予想に一致。前年比では+7.2%と、予想外に8月+7.3%から伸びが鈍化した。 結果を受け、米国債相場は依然軟調(利回りは上昇)した。

 

米9月CPIは住宅関連のコスト上昇で大幅な伸び予想

今後の連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ軌道を探る上で注目の消費者物価指数(CPI)の9月分は再び40年ぶりの大幅な伸びとなり、高インフレ抑制が容易ではないことが証明されると警戒されている。予想通りの結果となると、FRBは11月連邦公開市場委員会(FOMC)で4会合連続0.75%の利上げに踏み切ることがさらに確実視される。FRBが特にインフレ指標として注目している変動の激しい燃料や食品を除いたコアCPIの9月分は前年比+6.5%と、1981年10月以降41年ぶり最大の伸びとなった3月の水準に並ぶと予想されている。燃料価格が6月にピークを受けたのち下落基調にあることはインフレ改善を支援した。しかし、住宅関連のコストの上昇がインフレをさらに押し上げると見られている。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.9%/前年比10.0%)
○15:00   9月スウェーデンCPI(予想:前月比1.1%/前年比10.5%)
        コア指数(予想:前月比0.7%/前年比9.3%)
○15:30   9月スイス生産者輸入価格
○16:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30   9月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比8.1%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/136.5万人)
○24:00   EIA週間在庫統計
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、最終日)

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