FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米金融引き締めに対する警戒感から売り

日経平均株価は休場の間の米国株が弱かったことを嫌気して、寄り付きから300円を超える下落した。安く始まった後も下値模索が続いた。序盤では米金融引き締めが景気を冷やすという警戒感があらためて広がり、半導体株の弱さが目立った一方、インバウンド関連には買いが入ったが、空運株や鉄道株は買い先行から失速した。全体でも先安懸念が高まった。指数は26500円付近では下げ渋る動きを見せていたが、前引けにかけて売り崩されて600円を超える下落となった。結局、前営業日比714円安の2万6401円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドル底堅い展開が続く

ドル/円は、政府・日銀による為替介入を警戒したドル売り・円買いが先行し、145.55円付近へ下落した。日経平均株価の下げ幅拡大でリスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。しかし、本日は3連休明けで仲値に向けた本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、145.75円付近へ値を切り返した。午後は、米長期金利が節目の4%を超える水準へ上昇したことがドル買い要因となり、145.86円付近までじり高となった。ただ、9月22日につけた24年ぶりの高値145.90円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて145.70円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気から、0.96ドル台後半で小動きに終始した。

 

ドル買い比率は51.0%に低下:前週のFX概況

QUICKが11日に算出した7日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から4.2ポイント低下の51.0%だった。前週の外国為替市場で円は3日に1ドル=145.40円近辺と、9月22日に政府・日銀が円買い介入を実施して以降の安値を更新する場面があった。145円台では再び介入が実施されるのではないかとの警戒感も強く、個人投資家や利益確定の円買い・ドル売りに動いた。同時点の豪ドルの対円での買い比率は70.8%と前の週末に比べて3.0ポイント上昇した。オーストラリア準備銀行は4日に、政策金利を0.25%引き上げて2.60%にすると発表した。市場では利上げ幅が0.5%になるとの見方が大勢だった。豪中銀の利上げペースが鈍化したとの受け止めが広がり、豪ドルには売り圧力が強まった。豪ドルが対円で下落した局面で、相場と反対方向の売買をする『逆張り』傾向の強い個人から豪ドル買いが入った。ユーロの円に対する買い比率は27.4%と前の週末に比べて1.5ポイント上昇した。

 

世界外準減と米債金利上昇は3カ月前比で相関

ブルームバーグによる10月5日時点での試算によれば、世界の外準合計は『今年に入って約-1兆ドル(約144兆5000億円、7.8%相当)減の12兆ドルと、ブルームバーグがデータ集計を始めた2003年以来、最大の落ち込みを記録した』という。世界の外準減は外準マネーによる米債処分や米債投資の余裕減退を通じ、米債金利の上昇要因となっている。世界の外準合計は今年2月以降、3カ月前比での減少トレンドが続いているが、米10年債金利の月間最高も3カ月前比での切り上がりが連動観測されてきた(8月のみ-0.01%の小幅低下)。その点、来年前半にかけての世界減速懸念や米FRBの利上げ継続、付随したドル高圧力の持続、戦争長期化などを踏まえると、世界の外準は来年前半にかけて減少持続が見込まれる。連動して米10年債金利についても、『3カ月前比での切り上がり』トレンド持続が注視されやすい。直近では9月の月間最高金利が4.02%前後となっていた。3カ月後の12月にかけては、4.02%以上の金利上昇余地が無視できない。

 

トルコは金輸入量が急増:自国通貨の価値下落から逃避資金が金に流入

トルコメディアは先週、トルコの9月金輸入が前年比543%増の31億ドルに急増したという貿易省の発表を報じた。インフレ率が足もとで83%台にまで達したことが、ヘッジとしての金購入に繋がっている。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した2021年金需要レポートによれば、国別の金消費需要シェアでは、中国が世界全体の約29%、インドは同24%を占めている。二大消費国に続くのが3位の米国ですが、シェアは8%と差がある。消費シェア4位はドイツ、そしてトルコはシェア3%の5位だった。 ただし、記事によれば、このところ金の供給元はインドへの出荷を減らし、トルコ向けを増やしている。というのも、トルコのバイヤーはインドとは比較にならないほど高いプレミアムを払っているため、供給側としてもより利益率の高い方を選んでいる。インフレ高騰にもかかわらずエルドアン・トルコ大統領が利下げを中銀に要求しているため、自国通貨の価値下落に歯止めがかからない中、金への逃避がトルコでは積極的に進められている。

 

南アから巨額の資金が債券や株式市場から流出

先週南アのDFMグローバルが発表した最新のデータでも、南アからの債券や株式市場から巨額の資金が流出しているという結果が判明している。ランド/円は、日本と南アの金利差が拡大していることが支えとはなっているが、世界各国の景気減速懸念や、南ア国内の洪水や電力不足などの影響で、南ア債の格上げも期待できないことは、中長期的にもランドは重しになると思われる。

 

メキシコではインフレ高進により金利先高観がペソの支え

メキシコ国内の状況を見ると先週に公表された9月分の消費者物価指数(CPI)は前年比8.70%の上昇となった。依然としてインフレ率が2000年以来の高水準で高止まりするなか、メキシコ銀行(中央銀行)による追加の大幅利上げ観測も高まっており、金利先高観を手掛かりにした円売り・ペソ買いの流れが大きく変化することはなさそうである。

 

冷めない米労働市場で利上げ減速は望み薄:米WSJ紙

9月の米雇用統計が堅調だったことで、11月の大幅利上げへのお膳立てが整った。米連邦準備制度理事会(FRB)は労働市場を軟化させてインフレ圧力を緩和するため、借り入れコストを引き上げる考えだ。9月の非農業部門就業者数は前月比26万3000人増加した。伸びはここ数カ月の平均に比べやや鈍化したものの、失業率が低下しない下限とされる5万人程度を大きく上回った。失業率は8月の3.7%から3.5%に低下した。平均時給は前月比0.3%、前年同月比5%それぞれ上昇し、8月より緩やかな上昇ペースとなった。FRBは約40年ぶりの高インフレを抑制するため、今年に入り急ピッチで利上げを進めている。当局者は昨年時点では、サプライチェーン(供給網)の目詰まりと政府の景気刺激策による旺盛な需要が物価上昇の要因だと考えていた。だが今では、たとえエネルギー価格が下落し、昨年高騰した中古車などの品目が値下がりしたとしても、米労働市場のひっ迫が物価上昇を数年先まで持続させかねないと懸念している。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   6-8月英失業率(ILO方式、予想:3.6%)
○16:00   8月トルコ経常収支(予想:31.5億ドルの赤字)
○21:00   9月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比7.10%)
○21:45   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○12日01:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○12日02:00   米財務省、3年債入札
○12日03:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○12日03:35   ベイリーBOE総裁、講演

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